本能解放
「「不落なる魂の外套!」」
無限に続く暗闇の中で2つの青い光がぶつかり合う
「詠唱無し……これほど強力な特異魔法なのにねぇ、成長?でいいのかな?」
成長……ではない。この空間では俺と死神に大した差は出ないようになってる……それが精神の奥底だ。肉体の優劣は出ない…優劣があるとしたら心
「俺とお前の戦いに言葉はいらないだろ」
「そうだねぇ……必要なのは」
「「殺意だけだ」」
……
………
…………
死神との戦いが始まって……どれくらい時間が経っただろうか
1時間?2時間?……あるいは5分も経ってないかもしれない。この場には時間という概念はないのだ
「死滅する魂の残火」
死神の放つ魔法を
「死の業火!」
自身の魔法で相殺する。そんな作業を延々と繰り返すだけの時間を過ごしている事が、さらに時間感覚を無くしている
「死神……このまま魔法を撃ち合っても終わらない。そろそろ決着をつけないか?」
「どうやって?僕たちに出来ることなんて、魔法の撃ち合いくらいでしょ」
いやいやそんことはないんだよなぁ
「ここは肉体を狂わしたから出来た深層心理の世界だ………この場で力を発揮するのはひとえに精神力。つまり……心が強い方が勝つ」
「なるほど……君が考えている事が少し分かってきた」
まぁここまで言えば分かるかな
「多分その想像通りだ。同時にやろうか……」
2人が息を呑み、同時に魔法の詠唱を行使する
「現は儚き千里の旅路」
「夢は暗き無限の苦行」
「我は歩く終わりある命の道を」
「我は進む終わりなき魂の道を」
「たった一度も命に意味をなせず」
「そんな幾度に魂は消え散りゆく」
「しかし我が死など取るに足らず」
「ならば人の死こそ心身を満たす」
「理解した、意識した、認知した」
「次は行動しよう、魂に枷は要らない」
この魔法を使ったから精神は体から追い出され、この深層心理の世界へと閉じ込められた。ならばこの精神体も狂ってやろうじゃないか……理性じゃない……本能だ。本能で決めよう……心の強さを!
「「我が魂は咆哮し全てを殺す」」




