第8話 初めての犠牲者
登場人物 第8話
桐沢 水斗(17) きりざわ みなと・お兄ちゃん
桐沢 水伊(14) きりざわ みない・長女
桐沢 水美(12) きりざわ みなみ・次女
桐沢 水早 (9) きりざわ みなさ・末っ子
影月 和哉(17) かげつき かずや リアルドプレイヤー
ゲーム案内人
???
第8話
「じゃあいくぞっ!」
「了解!」
ほかのプレイヤーも必死にコボルトゴブリンと戦っている。
コボルトゴブリンは後20体程だ。
こんなにプレイヤーがいれば後少しでコボルトゴブリンを全滅させることが出来るだろう。
「キュイ!」
コボルトゴブリンが一斉に水斗に襲いかかる。
「剣技 バニッシュスラッシュ!」
水斗が剣技を発動する。
剣は見えなくなるほど素早く振られ、水斗に襲いかかってきたコボルトゴブリンを一掃する。
「
ギィヤッ!
」
「スゲー!俺も負けてらんねぇーな!」
和哉も水斗に続き、剣技を発動する。
「剣技 キング・オブ・バースト!」
この剣技により、和哉が持っていた剣は大きくなり、剣を振った。
剣が大きかったため攻撃が遠くまで届き、遠くにいた敵までもがダメージを受けた。
「おおっ!俺にも出来た!」
「おいおい、遠くまで届くのはいいけど、ほぼ倒せてないじゃないか。」
「えっ!やっ、やべ!ゴブリン達がこっちに向かって飛んできてるぞ!」
「雑魚モンスターのクセに脚力は凄いみたいだな…」
そんなことを言っている間にもコボルトゴブリン達はどんどん近付いてくる。
その様子を見て水美が声をかける。
「お兄ちゃん!そこどいて!」
「分かった!頼んだぞ、水美!
和哉!こっちに来い!」
「お、おう!」
水斗と和哉が横に走っていく。
コボルトゴブリン達は進行方向を変えられず、誰もいない所へと飛んでいる。
そこを狙い、水美が弓を引くように魔法を放つ。
「ファイヤーバード・スタイム!」
放たれた魔法は鳥の形をした炎でコボルトゴブリン達に直撃する。
飛んでいたコボルトゴブリン達は撃ち落とされ、燃えている。
「キュヤーッ!」
燃え尽きたコボルトゴブリン達はエフェクトを放ち消滅していく。
「ふぅ。お兄ちゃん大丈夫?」
「あぁ!おかげ様で!ありがとな!」
「ふふふ~!水美だって役に立つのだぞ!」
「うん。よーく分かったよ!」
水斗、水美、和哉によって合計16体のコボルトゴブリンを倒した。
残るはあと4体だが、ほかのプレイヤーが戦っているため手を出す必要はなさそうだ。
「水美ちゃん。ありがとうね!」
和哉が水美にお礼を言う。
「ちゃんは付けないでよ!気持ち悪い。」
「えっ、あ…ごめんごめん。」
「おい、水美。気持ち悪いは少し酷いと思うぞ。」
水斗は和哉をフォローしたつもりだったのだが、
「…少し、ね。」
「ぁぁ、結構?」
「ふふふふふ、結構…か。」
「えー?あー…凄く。」
「そうだね、凄く傷付いたよ…。」
この出来事だけで随分と傷付くもんだな。
その気持ちを感じ取った水美が声をかける。
「あー、ご メ ン マ多目に!!」
「だから、ふざけるな。」
「ごめんなさい。でも、ちゃん付けはやめてね。」
「うん。分かった。ありがとう、水美。」
「それでよし!」
よくわからない話だが、どうやらまとまった様だ。
と同時に、ほかのプレイヤーが残り4体のコボルトゴブリンを倒したようだった。
コボルトゴブリンを全滅させた事によりアナウンスが入る。
「クエストクリアです。お疲れ様でした。」
「終わった様だな。」
他の所にいた水伊と水早も近くに寄ってきた。
「お兄ちゃん、おつかれー!」
「兄さん、水美、お疲れ様!」
水斗も続いて、
「おう!お疲れ様!」
ここでアナウンスの続きが流れる。
「今回の結果を報告いたします。報酬は各プレイヤー倒した分の報酬が支払われます。それはさて置き、一番大切な結果、ゲームオーバー者の人数をお伝えします。今回のクエストで出たゲームオーバー者の人数は2人です。以上で結果報告を終了します。」
初めてのクエストをクリアした。
初めてのゲームオーバー者が出てしまった。
これから、水斗達の命懸けのゲームがスタートする!