第6話 隠されていたリアル
登場人物 第6話
桐沢 水斗(17) きりざわ みなと・お兄ちゃん
桐沢 水伊(14) きりざわ みない・長女
桐沢 水美(12) きりざわ みなみ・次女
桐沢 水早 (9) きりざわ みなさ・末っ子
ゲーム案内人
???
第6話
「転送機能起動。転送先、酒場。」
シュン
「ウッ、頭…が。」
転送による頭痛が水斗を襲う。
「転送完了。」
「ここが酒場か…。酒場と言うかBARだな。」
水斗はゲーム内の酒場と言われる場所に転送された。内装は完全にBARであり、恐らくは現実世界の東京であると考えられた。
「いたー!」
「お兄ちゃん!」
「兄さん!やっと来た!」
3人の声が聞こえた。それは妹たちだ。ゲームがスタートしてから初めて会った。
「おお!お前らもココに転送されたのか!転送されて何分くらい経った?」
「うーん。分かんない。」
「えーと、覚えてない。」
「25分くらいかな。」
「25分か。よくそんなに早く終わったな。」
水斗が説明を聞くのとキャラクター作成をしただけでゲーム開始から30分程が経っていた。
すると、突然!
酒場の電気が落ちた。そして、端っこの方に置いてあった。警報器が鳴り出した。
「緊急クエスト。緊急クエスト。全員参加のクエストです。コボルトゴブリンが大量発生しました。チュートリアルも含め、全員、酒場の外に出てください。」
どうやら、チュートリアルを行うようだ。
「よし!妹たちよ!戦闘開始だ!」
「おー!」
「イエス!」
「了解した!」
水斗たちは酒場の外に出た。そこには鎧を着た赤いゴブリンが大量発生していた。
「随分と多いな。後、ここって渋谷のスクランブル交差点だよな。」
「そりゃあね!」
「リアルドだもんね!」
「現実世界がワールドだからね!」
酒場の外は完全にスクランブル交差点であった。
それもそうだ。このゲームは現実世界をモチーフとしたフィールドで行われるゲームなのだから。
「さあ、皆さん!戦闘準備は出来ていますか?このゲームは1回のクエストで3回、HPがゼロになったらゲームオーバー。ゲームオーバーになったら蘇生されるまで、暗闇の世界に送られます。もし、ゲームオーバーのままゲームがクリアされたら現実世界でも死にます。」
「へぇー!3回死んだらゲームオーバーか。」
「ちょっと待って!お兄ちゃん!」
「なんか今それより大事なこと言ったよね。」
「現実世界で…死ぬ?ホントに!てことは、ゲームオーバーになったらダメってこと?」
「え?え?」とプレイヤー全員が反応する。
「いいえ。一度ゲームオーバーになっても、ゲームクリアの際に蘇生で生き返って入れば死にませんよ。しかし、いくらどんなに優秀な魔法使いでも蘇生魔法は使えないので蘇生アイテムを集めるしかありませんが、誰も死なずにゲームクリアは不可能に近いですね…」
「おい!元の世界に返してくれ!」と全員が反応する。
「それは出来ません。そんな機能はこのゲームに備わっていませんから。ゲームをクリアしない限り。後、1日1回はクエストをクリアしないとゲームオーバーになります。」
「クソ!やるしかないってことか。じゃ、まずはチュートリアルをクリアしないとな!」
水斗は現状を理解し、気持ちを切り替える。
「よし!それじゃ皆!今度こそ戦闘開始だ!」
水斗が中心となって、プレイヤー全員がやる気になる。
「おー!」
「ヨッシャー!やってやるぜ!」
プレイヤー全員がゲームに隠されていた現実を知る。
この出来事を打破するべく、水斗たちは戦闘を開始した。
さあ始まる!命懸けのゲームが!