第1話 日常からの旅立ち
登場人物 第1話
桐沢 水斗(17) きりざわ みなと・お兄ちゃん
桐沢 水伊(14) きりざわ みない・長女
桐沢 水美(12) きりざわ みなみ・次女
桐沢 水早 (9) きりざわ みなさ・末っ子
プロローグ
「俺は一体なにを。」
なにもわからない。自分のことも、他の誰のことも。
ただ分かるのは、生きている。それだけ。
第1話
「朝か。」
水斗はながい夢を見ていた。
毎朝起きるとすぐに妹3人が扉を開けて朝ごはんのお知らせに来る。
「お兄ちゃん、ごはん!」
「お兄ちゃん、朝飯!」
「兄さん、ごはんだよ!」
3人揃って、3人とも違う言い方で水斗を呼びに来た。
「はいよ。兄ちゃんは着替えていくから、先に食ってろよ。」
水斗はそういい着替えをはじめた。
「へいへい!」
「りょ!」
「はーい!」
妹たちはそういい、扉をしめ、階段を降りていった。
「やれやれ。毎朝毎朝騒がしいな。これじゃゆっくり休めもしないよ。」
水斗は階段を降りて、リビングの扉を開ける。
妹たちがおかずの取り合いをしている。
「お兄ちゃん、おかず無くなっちゃうよ!」
「お兄ちゃん、水美たちが全部食べちゃうよ!」
「兄さん、早く座って食べて!」
水斗は席に座って言った。
「おいおい、お前ら、いつも小皿にわけてから食べ始めろって言ってるだろ。今まで何回言ったと思ってるんだよ。」
「5回!」
「6回!」
「25回!」
妹たちはいつもこういうのだ。
「回数で争うな!争いよりもそのクセ、治せるようにしろよ。」
水斗は争いを止めて、朝ごはんを食べ始めた。
「それで?今日は兄ちゃんを何処に連れていくつもりなんだ?」
そう。今日は妹たちに迫られて、4人で出掛ける予定になっているのだ。
「ヒミツだよーん!」
「ヒミツ!」
「ヒミツだよ!」
ケチな妹たちだな。水斗はそう思いながらも
「そうかそうか。せめて、退屈じゃないところにつれてけよ?」
と言って話を終わらせた。
「ごちそうさまでした!」
ごはんを食べ終わった4人は食器を洗い、準備を始める。歯磨きを全員が済ませ、トイレも済ませた。
そして、いよいよ出発だ。
「よし!行こうか!」
水斗が声をかける。そして、それに続いて妹たちが一斉に掛け声をかけた。
「ようし!しゅっぱーつ!」
今、扉が開いた。
この後、あんな事になるとも知らずに・・・