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I Love you as you are  作者: 美影∞
01.同居人は甘えた幼馴染み。
5/26

喧嘩と家出 [Side.Minato]

******



――――それは今朝方のこと。



朝から講義を取っている為早起きをして

自室を出て1階を降りてリビングに入ると…。



「…あら。みなと、おはよう。早いのね。」



俺に気付いた母親がそう挨拶をしてきた。



リビングの食卓テーブルには新聞を読みながら

朝食をる父親もいた。




「おはよ。朝から講義あるから。」

「そうなの。今、朝食準備するから待っててね!」

「うん。」



母親の言葉にそう返事をしながら

俺は父親の向かい側の食卓テーブルの椅子に腰掛けた。



すると、俺の存在にやっと気付いたかのように一瞬俺の方に視線を向けるもすぐに目を逸らしてから父親は口を開いた。



「…就職先はもう決めてあるのか?」



父親から発せられた言葉に理解できなかった。



「…は?」



確かにもう来年には就活に入る時期ではあるけれど

俺が何の仕事に就きたいかなんて…父親には関係ないはず。



ちなみに父親は成績優秀で大学も有名なエリート大卒で…

仕事もIT企業につとめている。



だけど、俺は……。

まあそこまで頭悪いほうではないけれど

父親とは違い、偏差値もそこそこの大学に通学しているし

就職先もIT企業にきたいと思っている訳ではない。




「…大卒できるんだから就職先も好況こうきょうの良い場所を見つけておきなさい!」

「……わかってるよ。」

「どうせならお前もIT関連に就職したらどうだ?みなとも私と同じで頭は良いんだし。」

「……はあ?…そんなこと勝手に決められたくねぇし。」



父親に就職のことで口出しされるだけでも腹立たしいのに…。

そんな "就職先" まで父親に決められるなんて……。


更に苛立ちを隠せなくなってしまった。



父親の言葉には反論の言葉を返してすぐに椅子から立ち上がり…

リビングの扉の方へときびすを返しながら

今度は母親に向けて言葉をつむいだ。



「母さん。俺やっぱ朝食いらねぇ!」

「え?いらないって…もう準備できるのよ?」

「いらないものはいらない。もう準備して大学行くわ。…それと暫くここには帰るつもりないから!」

「え?帰らないって……?どこ泊まるつもりなの?…ちょっと!?待ちなさいよ、みなと!?」



母親からはそんな言葉が聞こえてきたけれど、それには返事をせずに俺は自室に戻り大学に必要な物と着替え数着とをボストンバッグに押し込め再度自室から出て1階へ降り真っ直ぐ玄関に向かった。


靴を履いていると…物音に気付いたのか母親がリビングから出てきてすぐに口を開いた。



みなと!話は最後まで聞きなさいよ!?」

「…ごめん。でも、親父に俺の就職のことでとやかく言われたら腹立つんだよ!本当頭堅いよねあの人はっ!」

「…確かに頭は堅いけど、湊が就職先で失敗しないか心配はしてるのよ。」

「…わかってる。でも、まだ就職先のことで親父とは何も話したくねぇし。」

「そう。まあゆっくり考えたらいいわ!…ところで暫く帰らないってどういうことなの?」

「そのままの意味だよ。」

「…どこに泊まるつもりなのよ?」

「………たぶん美和ちゃんのところかな。美和ちゃんがダメって言ったら他にアテ探してみるけど……。」



俺がそうある人物の名前を口に出すと母親は驚愕した。




「…は?美和ちゃんって……。鹿嶋かしまさんのところの?」

「……他に誰がいるんだよ?」

「…あんた美和ちゃんに甘えすぎじゃないの?」

「……いいんだよ。俺、美和ちゃんにしか甘えられねぇから!」

「…もう~~あんたは…!本当に昔から美和ちゃんばっかりね!…わかった。迷惑かけないようにね?美和ちゃんに!」

「わかってるよ。じゃあ行ってきます!」

「はいはい、行ってらっしゃい!」



母親の言葉を聞き流しながら俺は家出をした。





――母親に "暫く帰らない" と告げたのは事実で……。



"どこに泊まるの?" と聞かれ…


"美和ちゃんところ" と告げたのも事実である。




そして母親の俺が昔から "美和ちゃんに甘えすぎ。" って言っていたのも本当の話だ。





美和ちゃんは俺の大好きな幼馴染みで……

6歳年上だけど、唯一俺が素でいられて甘えられる人。




高校に入学してからは彼女と呼べる存在は何人か作ったけれど

素を出すことはもちろん本気で甘えられる人はいなかったし

本気で好きにもなれなかった。



寧ろ彼女をつくっても自分から告白したことは一度もない。


告白されて恋愛経験はそれなりにあったほうがいいかなって思って何人かの女子と付き合った。



相手のことを嫌いではなかったけれど

付き合っても暫くしてから重大なことに気付くんだ。



それは…………。


好きだけど、本気で好きにはなれない相手なんだと――。


だから毎回……付き合ったことに後悔して自分から

別れを告げることが多かった。



それに、美和ちゃんは気付いていないけれど

俺が抱擁ほうようしながら "大好き" と告げているのは美和ちゃんにだけで……。


美和ちゃん以外の女には一度も "好き" の言葉も

ましてや自分から抱擁ほうようなんてしたこともない。




昔から本気で好きな相手は美和ちゃん。


所謂いわゆる、"初恋" とも呼べる存在かもしれない。





ただ、大人になるにつれ…美和ちゃんには冷たくあしらわれているけれど、それでも構わない。



俺が美和ちゃんを大好きなのは変わらないのだから。









──美和ちゃん、俺が "暫く泊まらせて" って言ったら……

どんな反応するかな??





――俺はそんなことを考えながら大学までの道程を歩いた。





.

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