幼馴染の素な一面
──そして、夕飯を食べ始めて暫くしてから私はあること思い出して湊に問い掛けた。
「…ねえ、湊。」
「ん?」
「聞きたいことがあるんだけど…。」
「なに?」
湊に聞きたいこと──。
それは……
お昼休憩の時に香奈と話していたことだ。
「…湊ってさ……。私以外の女の子にはクールなの?」
「…は?」
私がそう問い質すと湊はおかずを食べていた手を止め吃驚したように間抜けな声を出した。
「ねえ、他の女の子にはクールなの?」
「……なに?!突然……。てかなんでそんなこと知ってるの?」
湊から返ってきた言葉の最後で確信した。
"知ってるの?" という疑問符で返ってきたってことは……。
"クール" ってことになるよね。
「…2年前くらいにね…。営業に出てた香奈が偶然街中で湊と彼女が一緒にいる姿を見たらしいの。それで湊がどんな感じだったか聞いたら……。湊は "クールな感じだった。" って言ってたからさ。」
「…それいつの話?」
「2年前の9月頃だって言ってたよ。」
「……あ~~~!あれ…見られてたんだ…。香奈さんに。」
やっぱり否定しないってことは…。
本当なんだよね。
だけど、その私の疑問もその後の湊の言葉に寄って確信に変わった。
「……確かに俺、美和ちゃん以外の女にはクールかも。」
「なんで?」
「…特に心を許せる相手でもないからかな…。」
湊のそんな言葉は正に香奈の言っていた言葉と全く一緒だった。
「…じゃあ、湊が心を許してる女の子って…?」
「美和ちゃんだよ!」
私の言葉になんの迷いもなく湊から返って来たのは私の名前だった。
「え?私?」
湊が "私に心を許してる" なんて何故だか信じられなくて…。
思わずそう聞き返していた。
「そうだよ。俺が心を許してるのは美和ちゃんだけだよ。」
「なんで?」
「なんでって……。言ったでしょ?俺、美和ちゃんしか頼れる人いないって。」
「…じゃあ私の前では "素" の湊なの?」
「当たり前だろ!美和ちゃんとは20年近く一緒にいるんだよ?…そんなに長く一緒にいて…なんで猫かぶる必要があるんだよ!」
「そ、それもそっか…。」
「うん。でも、なんでそんなこと聞くの?」
「気に……なったから。」
「気になったって……。なんで?」
そう聞かれてしまうと、なんだか少し答えづらかった。
だけど、湊が私の前では "素" なんだってことが何故だか─。
嬉しいと思ってしまった。
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