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7話「佐奈」

4日目です。

ブックマーク&評価、本当にありがとうございます!

なんと、ジャンル別日間ランキングの歴史〔文芸〕部門で9位に入りました!

これも皆さまのお陰です。

これからもどうぞ応援よろしくお願いします!

 三浦のオッチャンも部屋を出て行き、一人で出された宿題の続きを考える。板の間に置かれた畳の上に仰向けに寝転がって頭の後ろで手を組む。これが俺の定番の瞑想スタイルだ。こんなくだらない習慣はちゃんと覚えてるんだよな。でもいくら考えたところで名案なんて浮かばない。やっぱり無理ゲーだって。難易度設定高杉でしょ。昼ご飯食べてないからお腹すいたなー。もうそろそろ夕方になる。この時代ってお昼は食べないのかな?


 途中で何度か可愛い女の子が白湯を持って来てくれた。佐奈ちゃんって言って氏真オレに仕える侍女メイドらしい。小っちゃくって愛嬌があって、ちょっとドジっ子そうで好きなタイプだ。手を出しちゃおっかなー、俺って殿さまだし。元の世界で全くモテなかったことはちゃんと覚えてるのが悲しい。だけど殿さまの権力振りかざせば落とせるんじゃないだろうか。でもそんなことしたら早川殿おくさんが怒るだろうな。


 こんなくだらない事考えてる場合じゃなかった。イベント回避が成功すれば俺の蹴鞠(サッカー)生活は安泰だろうけど、失敗してたらそれどころじゃない。そもそもなんで転生したのが氏真なんだよ。そこからがおかしいだろ。誰が決めたんだ、クレームつけてやるから出てこい。どうせこの時代に来るなら無名の武将とかの方がよっぽど自由で夢があるよ。好きな大名に雇ってもらえるかもしれないし。氏真じゃあ今川から出て他所へ行く訳にもいかない。せめてタイミングがもうちょっと前なら色々手も打てたかもしれないのに。うーん、辛いところだ。それにしても晩御飯まだかな。




 駄目だ、もっと真剣に。ニートとかやってると現実逃避が得意になるから困る。とにかく桶狭間が起きたら今川はめちゃくちゃだ。そんな中で全国制覇とかデカい目標は立てるだけ無駄。自分がそんな柄じゃないのは充分わかってるし、そういうのは信長とか秀吉とかにまかせとけばいい。氏真としての目標はとにかく『生き残る』。個人的にも、出来れば今川家としても。会社で言えば、うちは規模はデカいけど倒産寸前の大企業だ。例え規模を縮小しても倒産さえ回避出来たらいい方だ。史実では滅亡してるんだから、それを防ぐだけでも大したもんでしょ。


 そうだ、生き残ることだ。その為には……って考えてもその先が浮かばない。出来たら信長とはお友達になりたいところだけどね、信長好きとしては。それこそ徳川の代わりに同盟組んで一緒に長篠の戦で三段撃ちとか出来たら、と思うけど無理かな、やっぱり。今川の家臣からしたら義元殺されてるのにその織田と組むとか、それこそ納得できなくて反発するよなあ。




 うーん、アイデアが浮かばない。白湯を交換に来た佐奈ちゃんに隣に聞こえないように聞いてみた。


「隣の部屋って、誰がいるの?」


蒲原徳兼かんばらのりかねさまと岡部正綱おかべまさつなさまが、殿の警護を兼ねた供回りとして詰めておられます」


 佐奈ちゃんも俺に合わせてヒソヒソ声で答えてくれる。


「へー、二人もいたのか。どんな人なのかな。佐奈の印象はどう?」


「どのような方かと申されましても……殿の方がよくご存じでいらっしゃいましょう。お二方とも今川家重臣のお家柄です。わたくしなどが軽々しく申し上げる訳には参りません」


 佐奈ちゃんは隣の部屋を気にしながら答える。自然と距離が近づいて、なんかいい匂いがするぞ。


「いいからいいから。誰にも言わないし。佐奈から見て、どんな感じの者たちだ?」


 佐奈ちゃんはちょっと困った顔をしながら、でも仕方なく答えてくれた。


「……蒲原さまは真面目で無口な方です。剣の腕は確かと聞いております。岡部さまは明るく、頭の良い方です。先の戦でも活躍されたと伺っています。お二人とも熱心で忠義心のあつい方だと思います」


 なんだ、佐奈ちゃん良く知ってるじゃん。


「信用できそうかな?」


「大殿様がお二人を自らお選びになられたと聞き及んでおります。信用に足る方々だからこそ殿の供回りになられたのだと思いますが」


 なるほど、義元が自分で息子の供回りに選んだのか。なら信用できるか。それにしても女の子っていい匂いがするんだな。早川殿おくさんもいい匂いがしたけど、この子はまたなんて言うかそそられる匂いがする。やっぱり手を出す計画を真剣に検討してみよう。


「ゴメン、もう一度二人の名前教えてくれる?」


蒲原徳兼かんばらのりかねさまと岡部正綱おかべまさつなさまです」


 佐奈ちゃんは不思議そうな顔をしながらも教えてくれた。うん、なんとか覚えたぞ。


「分かった、ありがとう。すまないけど二人をここへ呼んでくれるかな」


「かしこまりました。しかし、どうぞわたくしが話したことはご内密に」


「分かってるって!」


 イケメンぽくウインクして見せたけどこの時代の女の子には通じなかったみたいで、眼がどうかしたのかと心配されてしまった。残念。


早川殿に続くヒロイン候補の登場です。

この佐奈ちゃんって実は……

それはまたいつかw


次は20時ごろの投稿予定です。

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