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5話「寿桂尼」

ブクマ、感想、有り難うございます!

もの凄く励みになります。

今川を舞台に書き始めて気付いたのは、本当に知らない武将が多い。

しかも調べても良く分からない。

ということは、自由にキャラを作っても大丈夫!(え)

これって結構楽しいかもw

 

「氏真殿、三浦殿、よくぞ参られました」


 三浦のオッチャンに駿府の城の中の小さな建物に案内された。二人で前に座っている白い頭巾を被ったおばあちゃんに深く頭を下げる。これが『女戦国大名』と呼ばれた寿桂尼か。意外と小柄で年は70代くらいかな? この時代の人にしてはずいぶんと年寄りなんだろうが、上品で姿勢もいいし話し方もしっかりしたものだ。


化粧けわいをしておられぬのですね?」


 俺が頭を上げると不思議そうな顔をされた。この人は公家の出らしい。義元や氏真の麻呂化粧もこの人の影響だったのかもしれない。


「今川は武家です。武家を率いる者として、公家の格好は時勢に合わぬと思いまして」


「これは雅を好まれる氏真殿の言葉とも思えぬ。ですがこの戦乱の世、そのご覚悟は良いでしょう」


 寿桂尼ばあちゃんは納得してくれたみたいだ。良かった、あの化粧は絶対無理だから。






「して、何やらご相談があるとか」


 俺は寿桂尼ばあちゃんに夢の話を聞かせた。ばあちゃんはじっと目を閉じて俺の話を聞いていた。こうしてみると小柄なのにどこかしら迫力あるな。うー、足が痺れてきた。正座マジ辛いんだけど。


「足を崩しなされ」


 俺が話し終わるとばあちゃんは目を開き、モゾモゾしだした俺に言ってくれた。助かった、お言葉に甘えて胡坐をかく。


「なるほど、有りえぬ話ではないようですね。織田上総介が乾坤一擲、打って出ることは考えられぬ話ではない。義経の鵯越ひよどりごえの故事もあります。狭き谷、そこに大雨となれば不意を打たれることもありましょう」


「では大殿にお知らせしてもよろしいでしょうか」


「無論です。直ちに早馬を出し、お気を付けになるようお伝えするべきです」


 やべえ、このばあちゃん理解力高けえ。話分かるな。俺の後ろに控えていた三浦のオッチャンにばあちゃんが頷くと、オッチャンは慌てて立ち上がって手配をしに行った。





「不思議な夢ですが、これも御仏のお力かもしれませぬ」


「信じて下さってありがとうございます」


 俺が頭を下げると、寿桂尼ばあちゃんの顔がより真剣になった。


「ただ、ここより馬を飛ばしたとしても尾張までは五刻はかかりましょう。間に合わぬやもしれませぬ」


 五刻、って確か一刻は約2時間だから10時間もかかるのか! もし間に合わなかったら終わりだよ。どうかイベントが起きるのが明日以降であるように祈るしかない。


「間に合わなければ大変なことになるでしょうねえ」


 俺がため息交じりにそう言うと、ばあちゃんはマジマジと俺の顔を眺めた。


「氏真殿、何やら――変わられましたね」


「か、変わった?! いえ、何にも変わって無いですが?」


 俺はもう早速バレたかと思って慌てて否定したが、ばあちゃんはゆっくりと首を横に振った。


「いいえ、違いまする。化粧や話言葉もそうですが、何やらもっと元より変わられたような。そもそも氏真殿が自らこの尼の話を聞きに来られるなど考えられませぬ」


 むう、どうやら氏真はこのばあちゃんの事を苦手に思って避けてたみたいだな。分かる気もするけど。


「今回は夢の内容が内容でしたので」


「恐らくその夢が氏真殿にこの今川が磐石でない事を分からせ、心根を変えたのでありましょう。いかに大国といえど、たった一度の負け戦で先がどうなるやも分からぬほど脆いのだと」


 そう言うと何か思い出したように小さく笑った。


「蹴鞠や歌にうつつを抜かし、いくさはもとよりまつりごとにも興味をお持ちでなかった氏真殿がこのような話をなされるなど今日まで考えられぬことです」


 おーい、氏真、お前ダメ人間って言われてるぞー。これだけの大名の後継ぎなのに戦争にも政治にも無関心って終わってるだろ。まあ俺もサッカーとゲームばっかりしてたから言えた義理じゃないけれども。


「お恥ずかしい限りです」(割とマジで)


「いえ、だからこそ却ってその夢を信じることも出来ました。これをきっかけにして下さればそれでよい事です」


 そう言ってばあちゃんはニッコリ笑ってくれた。よかった、怒られなかった(涙)。


「あと、これも夢の影響だと思うんですが」


「どうかなされましたか?」


 えーい、物はついでだ。


「目が覚めてから何だか記憶が曖昧なんです。自分の年さえはっきりしない始末で」


「強い驚きや悲しみのあと、そのような事がまま起きると聞いた事がありまする。次第に思い出されましょうからあまりお気になさるな。何かあればこの尼が取り繕うて差し上げます故」


 どうやら心因性の一過性記憶障害という事で納得して貰えたらしい。かなりホッとした。ばあちゃんのバックアップがあれば百人力だぜ。





「氏真殿」


「は、はいっ?」


 ばあちゃんが改めて真顔で話しかけてくるからびっくりする。


「間に合わず、正夢となってしまった時の事です。この今川は未曽有の混乱に陥りましょう。国人衆も家中も一枚岩とはとても言えませぬ。仮にそうなった時のこと、考えてみて下され。尼も考えてみます故」


「あ、はい。考えてみます」


 とんだ宿題貰っちゃったよ。そんなのどう考えたって無理ゲーだって。間に合うといいなあ、はぁ。

今日もあと1話投稿しますよ!

自分で書いてて結構面白くなってきたと思うんだけど、どうだろう。

ただの自己満だったりして。。。

感想など頂けると嬉しいです。

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