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1話「桶狭間」

他の作品(「作者が転生?!~りっぱな悪役になってやる!」)の続きを書かなくちゃいけないと頑張って考えていたら、なんでか他のストーリーを思いつきまして。

そう言えば昔からテスト勉強やってると関係ない教科を勉強してみたくなったり、部屋片づけてるとふと出てきた本読みたくなったり、逃避癖って変わらないんだなーと懐かしくなりました。


で、またこれが意外に筆が進んで。こういう時って書けるんですよね。で、なんだか良く分からないけど20話ほど書き溜めたんで発表しちゃおうかな、と。


とりあえず10日間、1日2話ずつ出して行きますので、喜んでいただけたら幸いです。

 空一面に雲が厚く広がり、突然の雹交じりの豪雨でまともに前も見えない。雷と雨音で話す声もまともに聞こえない中、陣幕の中で近習たちが大声で叫んでいる。


「早く雨具を持ってこぬか! 治部大輔様がお風邪を召されてしまうわっ」


「兵どもは何を騒いでおるか。これしきの雨雷で騒ぎ立てるなぞ日ごろの鍛錬が足りぬ!」


 そこへ一人の足軽が飛び込んできて片膝をつく。


「何事ぞ」


「申し上げますっ! 織田による奇襲にございます!」


「なにっ?! 織田の軍勢はいかほどじゃ」


「なにぶんこの雨で様子は分からず。ただ久野元宗様、井伊直盛様お討死との由!」


「なんと、まことかっ!」


 報告を聞いた武将は床几に座る主君へ向き直り、頭を下げた。


「大殿様。織田の軍勢が雨に紛れて来ておる由、ここは危のうございます。この松井宗信が防ぎまする故、急ぎ輿にお乗り頂いてお引き下されませ」


「おのれ上総介、雨音に紛れ不意を突くとは卑怯な……よかろう、一旦引くにしかず。左衛門佐、準備いたせ」


「ははっ」


 直ちに用意された輿に乗り込んだ男は公家のようにお歯黒をつけ、置眉、薄化粧をしていた。五枚兜に赤い錦の陣羽織、なるほどこれが『東海一の弓取り』今川義元か。悪役とはいえ歴史上の有名人、ちょっと感動する。


「よいか皆の者、治部大輔様をお守りせよっ!」






 輿を守る兵の数はおよそ200から300というところ。足元がぬかるむ中、急いでも行軍は遅々としたものだ。後方のさっきまで義元がいた陣幕の辺りからもすでに争う気配が伝わってくる。


「雑兵は捨て置け、狙うは義元の首一つ! 首を獲った者は恩賞は望みのままぞ!」


「おおおおおおおっ!」 


「織田の軍勢じゃ! 防げ、防げぇっ!!」


 突如、逃げる義元の真横の斜面を駆け下りて織田の軍勢が襲いかかった。側面を突かれた今川の兵は迎え撃つ者、驚いて腰を抜かす者、逃げ出す者が入り乱れて混乱している。輿を担いでいた兵も幾人かが討たれ、義元は刀を抜いて地に立っていた。





「治部様とお見受けいたす、お命頂戴!」


 一番槍という事はこいつが服部小平太か。その槍は見事に義元の脇腹に突き刺さった。だが義元はその槍を左手で掴むと、右手の刀で小平太の膝を斬る。小平太はたまらず槍を手放して崩れ落ちた。さすが今川義元、一筋縄ではいかないな。やるじゃないか。


「加勢いたす!」


 横から斬りつけてきたのは毛利新介だろう。義元は振り向くが、槍が刺さっているので反応が遅れた。間に合わないと見るや、義元は刀を捨てて組みつく。新介の刀は義元の肩に当たって落ち、組み合ったまま二人は地面に転がった。


「この下郎が!」


 泥だらけになりながら二人は死力を尽くしてせめぎ合う。マウントを取られた義元が新介の左手に嚙み付き、そのまま指を食いちぎる。うわあ、見てるだけで痛え……。だが新介はそれにも構わず抜いた小太刀を義元の首筋に突き立てた。


「ガッ!」


 義元の身体は一瞬硬直して跳ね上がり、脱力した。新介は傷口から血が噴き出すのも構わず、そのまま小太刀で義元の首を切り取る。うう、マジこれスプラッタだよ。


「今川治部の首、織田家臣毛利新介が討ち取ったぁぁ!」


 義元のもとどりを掴み、首を高く掲げて新介が喚く。


「うおおおおおおっ! 織田の勝ちじゃあっ!」


 それを聞いた織田の兵たちも大声で勝ちどきを上げる。抵抗していた今川の兵たちはパニックになって逃げだすが次々と討ちとられていく。もうこうなりゃ一方的だ、どうしようもない。




 その時突然、首だけになった義元の目が開いた。血走った眼で真っ直ぐこっちを睨んでいる。


「氏真よ、我が無念を晴らせ! 織田上総介の首を我が墓前に捧げよっ!」


 頭の中で義元の声が割れんばかりに鳴り響いた。

どうでしょうか?

ハチャメチャな話にするつもりで書いてるんですが、意外と今のところ真面目な感じになってます。

でもそのうち……ですのでそうなっても怒らないでくださいね!

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