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幸運なロッソ  作者: 天有酢(テンアリス)
9/14

第8話 グレイの元へ


『カンパニー』の次の仕事の日、前回と同じ位置で仕事が始まり、

作業員達が散り散りに移動して遺物とパーツを今日もかんかん照りの太陽の下で探し始めている。

が、装甲車からさほど離れていない位置でコウは考え事をしながら手持ちレーダーを動かして歩いていたが、

作業そのものには集中出来ておらず適当に思われるようなふらついた動きと言わざるを得ないものであった。


「・・・コウちゃん、コウちゃん!反応しておるよ!」

「へ・・・・・・あ、すみません、有難うございます!」


偶然近くで作業していたチニヴィから声を掛けられ、レーダー反応に気づいていなかったことを指摘されて我に返る。

サルベージを行い『小型』を見つけ、チニヴィに差し出す。


「どうぞ、実績ノルマに使ってください」

「いやいやそれはコウちゃんが見つけたものじゃ、いつまでも世話になるわけにはイカンよ・・・」

「そう・・・ですか」


チニヴィからは遠慮され、自分のノルマにはしておくがコウは何かもやもやとした気持ちになっていた。

ロッソが帰ってきて話した後からずっとそんな気持ちにだった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「そんなことがあったんだ・・・ロッソの身体は見つからなかったけれど、そのグレイって人が手がかりを掴んでくれそうなんだね」


ロッソが体験した一部始終の出来事を聞いて、やや前向きな状態にはなっている事をコウは明るく反応し、ロッソにとってプラスになりそうな出来事を自分の事の様に嬉しそうにしていた。

「ん、まーね。「アタシ」が見つかるとは限んねーけどさ、今んとこ事情を知ってそうなのアイツだけだからどーすっか考えてんだよね」

ソファーに思い切りもたれつつグレイの事をロッソなりに信じて着いて行くべきか考えていた。

「ロッソの身体にいつかたどり着けるなら、行くべきだとは思うけど・・・決めるのはロッソ自身だから無理に行くことは無いと思う」

ある種予防線の張られたコウの言葉にそうなんだよなとは思って溜め息をつくロッソ。

なんとなく行って欲しくなさそうな様子にも見えて、頭を少し掻いた後口を開いて提案する。


「アタシはこうなればアイツの組織ってのに確実についてくって決めてる」

「・・・何か条件があるの?」

「コウもついてくんならアタシはグレイについてく」

「へぇ・・・ぶうっ・・・ええっ!?」


流石に衝撃を受けざるを得ない条件の提示、まさか自分が理由になるとは思いもせず口に含んだ飲み物を噴出してしまいロッソからばっちぃなーと反応されてしまう。


「どうして僕が?僕、特に役に立てることなんかないよ・・・」

自身を卑下しつつロッソに自身が条件材料となってしまったのかを聞く。


「・・・アンタがいないとなんかヤなんだ。アタシを住まわせてくれたし手伝ってくれるって言ってくれたし、そう言って貰ったのにすぐ離れ離れになんのもイヤだから」

「!!・・・でも、ロッソは希望を見つけたんだし・・・」

「そーなんだけどさ、アタシが自分の気持ち言えたのがアンタぐらいだからいないと多分チョーシ狂っちまう気がすんの。まっイヤならいいよ、そん時はアタシも行かないしまたこの家でのんべんだらりしながら次の手掛かり探すからさっ」


ロッソは自分にはコウが必要だと明確に答え、コウはその気持ち自体は嬉しいのだが自分が行かないのなら進まず停滞してしまうと発言から察する。

だが両親が遺してくれたこの家を離れて自分の知らない人と自分の知らない場所へと向かうのもまた不安が募るのも事実。


「てか、グレイと会う約束しちゃったんだよね」

「えっいつっ」

「あさって、シゴト終わりでいいからさ、会うだけ会ってみてよ」

「・・・・・・・・・」


有無を言わさず邂逅の約束まで取り付けられてしまっており、より落ち着かない気分になってしまったののだった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


今に至り、今日嫌でも会わなくてはならない、ロッソの言ったグレイという人物に。



――昼休憩時間。


チニヴィと装甲車近くで昼食を取り黙々と弁当をむさぼっているコウ、美味いとも不味いとも思うでもなく

考えながら口に運んで飯を噛み、口元からぽろぽろとこぼれてしまう。


「あ・・・あの・・・コウくん、その・・・ロッソちゃんは元気かね」

「ん・・・あっく、ゴクッ!えほっ!」

チニヴィから行儀の面を注意されずロッソについて聞かれ、喉に詰まりそうになり胸を叩いて咽せ、チニヴィも慌ててコウの水筒を渡して中身を飲ませる。

「けほ・・・すみません・・・それでなんでしたっけ」

「あ、ああロッソちゃんは・・・」

「ええ、元気です。ウチでのんびり過ごしています、屋上やベッドの上で寝てたり・・・昨日は料理を手伝ってくれたんですけど新しく手に入れてた装備っていうので金属マナイタごと切り刻んじゃったりして、ははは・・・」

改めてロッソの事を聞かれ、昨日の休みの光景を言葉で説明し、その微笑ましくも思える内容にチニヴィも安堵したかのようになる。

「それはそれは、・・・コウ君はあまり楽しそうに見えないが、何かあったのかね、ワシでよければ相談相手になろうかい」

「え、その」

今度は自分の事を聞かれ、会話の弾みが止まってしまいコウも固まってしまう。

「三日前のお礼をまだ返せたと思って無くてね、頷くぐらいしか出来ないかもしれんが子供の悩み位は聞いてあげられるよ、無理にとは言わないが」

「・・・そんな・・・その・・・・・・実は――」

優しさが返って心に刺さりうつむいてしまい申し訳ないという表情をしてしまうも、コウはロッソ経由の語りを始める。


ロッソが自身の身体を捜す手がかりを見つけその先で出会った人がロリードを、ロリードにされそうな子達を助けようとしている組織だと、そしてその組織にロッソがスカウトされそのついでに彼女が自分が一緒でなければ行かないと表明している事を話しチニヴィはほお、それはそれは、と驚きの含んだ相槌を行う。


「コウちゃんは、その人に会ってどうしたいんだね?その組織に入ってしまうのかい?」

「わかりません、ただ・・・入っても、入らなくても後悔しそうで・・・」


ロッソの今後を考えると入ったほうがいい、けれど自分の今まで住んでいた所から離れ別の場所でなおかつ素性の分からない組織の一員として過ごすのは想像がつかない。

家には面倒を見るべき植物、飼育動物はいないし金目の物は現金を除いて特に無いけれど自宅その物が亡くなった両親からの遺産であるし、家を長く空けていたら誰かが勝手に自分の物にしてしまうかもしれない。

チニヴィから意思について聞かれているのに、答えも出ず内心断る為の言い訳ばかりが浮かぶ。


「ロッソには『僕を置いて勝手に組織に入る』って選択肢は無かったのかな・・・」

「うむ・・・ロッソちゃんは元は君と大して変わらないくらいの女の子だから、傍にいて欲しいのかもしれないねぇ」

ある種ロッソから見れば一番合理的な選択肢に対しチニヴィがロッソの視点になっての考えを述べる。


「元々一人で動いてたみたいだから知らない大人の居場所という点に心細くなったのかもしれんし、君の事が好きなのかもしれんよ。『好きだから関わらないで欲しい』のではなく『好きだからいつでも一緒にいて欲しい』んだろうかねぇ」

「!!・・・・・・」

続けてロッソの気持ちになって考えた発言につい赤面してしまう、本当にそう思っているのかどうか分からないのに。


「もやもやするのはどうしようもないが、コウちゃんの気持ちを伝える事が大事なんじゃよ。コウちゃんがこういう条件なら行ってもいいというものでも、ロッソちゃんの為を思っての事でもなんでもいい、その人にぶつけてやりなさい」

「・・・はい」

チニヴィと話し、鼓舞され少しだけつっかえた物が取れた気分になるコウであった。


そのまま午後の作業もつつがなく終了し、班長の点呼、連絡がそれぞれ伝えられ、仕事の継続、停止に安堵する者嘆く者と個々に違う反応を示している。


「――おつかれさん。次っ、コウ、明日又な」

「・・・・・・」


コウの番が来て、次の日に継続が決まるが、コウは神妙な表情で何も反応しないでいた。

「どうしたコウ、都合わりいのか?ロッソと遊びの約束でもしてんのか?」

「ははっそりゃいい、おねーさんと遊んでもらえるなんてな仕事より楽しそうだ」

「・・・はい」

「えっ」

班長が冗談めかして理由を聞き、他の青年作業員が小馬鹿にするような物言いをするが予想に反したコウの返しに固まってしまう。


「というより明日だけじゃなくしばらくは・・・来れないと思います、決まってるのに迷惑かけてすみません」

「いやあ、まあ・・・当日じゃなりゃ埋め合わせは出来っけどよ・・・」

「私事です、すみません」

『ロッソと遊ぶ』という体にしてしまっているが話をそのまま通し、欠勤としてもらい、表情を強張らせるコウ。

班長なら何かしら察してもらえるという淡い期待もあるが自分が仕事を切られるという覚悟を持っている事の表れでもあり、踏み切った様子にチニヴィが心配そうに見ていた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


―装甲車内で駐車場に辿り着くまでの時間。

作業員達は駄弁っていたり愚痴っていたり疲れからか眠って鼾をかいていたりする中、

コウは俯きながら考えて事をしていた。

ただ表情そのものは思いつめていると言うより、自分の答えを示そうとしている前向きな物である。

後ろ側のシートでチニヴィはなんとなくコウを声を掛けられず、彼が正しい答えを導けるよう祈っていた。


10分後、駐車場に着き、作業員達は散り散り、または仲間と共にそれぞれの家へと帰ってゆき、コウは待ち合わせを仕事終わりのこの場所にしていたので装甲車から少し離れた位置に留まる。

「コウちゃん」

「あっチニヴィさん、お疲れ様です、どうしたんですか」

「いやね、これをと思って、久々に作ってみたんじゃよ」

チニヴィが寄って声を掛け、二つの作品を差し出す。一つは『花』、もう一つは『風車かざぐるま 』の形をしている、小さく細かい金属を折り曲げて形作られたものだ。

「え、いいんですか・・・?これを作品として発表したり販売したりしなくても」

「いやいや、今の時代もうワシの作品はまっとうに評価はされない。これはコウちゃんとロッソちゃんの二人の先を願う為に昨日作ったものだよ、どうかお守り代わりに受け取って欲しい」

「・・・チニヴィさん」


気持ちを無下にせずコウは二つの作品を受け取り、その作りの細かさと気持ちに感服する。

その後また礼を言いチニヴィと別れ、彼が近くの街中に姿が見えなくなるまで見届けていた後、入れ違いになるように別方向からロッソがやって来るのが見えた。


「うーっす!コウー!」

いつもの軽い挨拶が耳に届き、なんとなく安心感が生まれて笑みもつい出てしまう。

会って数日なのにこんな気持ちになれる相手は初めてだがそれがなぜなのかは今は考えずにいようとコウは思った。

「ロッソ、これっ!」

「んんっ!何これ?」

ロッソが思い切りジャンプして接近し、早速貰ったアートを見せられて興味を示す。

「チニヴィさんから貰ったんだ、僕達にだって」

「あ~じっちゃんにも挨拶しとくんだったかな~」

『風車』の方を手に取り、指で弄りつつチニヴィにも挨拶をするか考えるロッソ。


「どっちかをロッソにあげるよ、その『風車』がいい?」

「ん~まあハナってガラでもねーんだけど・・・そっちがいいや」

ロッソは『花』の方を取り、『風車』をコウに返し、自身の左胸に飾るも、差し込めるスペースが無い、少しがっかりし頭を掻くと閃いたように自身のテンガロンハットに金属アートの尖った箇所をピン代わりに刺し、元々のコウからのプレゼントに文字通り花を添える。

「あ・・・似合ってるよ!」

「ひひっとーぜん♪」

コウもその行為に対し嫌悪など全くせず喜んでロッソの姿を賛美し、彼女自身も嬉しそうに笑って誇る。

「じっちゃんに礼言わなきゃねえ」

「また会った時に元気な姿を見せればそれでいいと思うよ。それで、グレイって人はどこに・・・?」

「そーだそーだ忘れてたっと、こっちだよっ」

グレイの所在を聞き、ロッソが道案内を行う。その方向はロッソがさっきやって来たものと同一で戻っていく事になる。

チニヴィのいる町とは逆方向で寂れた町並みがそこに在り、活気付いているとは決して言えない雰囲気ではあるが人々の顔はさほど沈んだものでもなく貧困を適当に受け入れて生きているような割り切ったような笑顔や楽観視した寝惚け面が所々に見えている。

そちらには向かったことの無いコウはロッソから離れずに歩んでいく。

「たしかねぇ、こっちだった」

対するロッソは臆する様子は微塵も無く呑気に方向を示して導くように早足で進んでいく。

その先はもう町の外であり、

アーチ状の門の外のやや遠く先には大型のトラックが見え、その近くに人が立っている。

「あーあれあれ、おーぅいっ」

その人間こそグレイであり、ロッソが手を振って声を掛けるとこちらを向いて小さく手を上げて返す。

「あれが・・・」

実際に当人に近づくと流石に緊張するコウ。嫌な汗を垂らしながらロッソの後をついてグレイに近づいて行く。


「・・・君がコウか」

(背、高いなぁ・・・)

「は、はい、セク・エーに住んでいるコウです。ロッソと暮らしています」

「お世話なってまーすっ」

グレイとついに話し、その高身長と不機嫌そうに見える顔にも怖気づかずにロッソとの関係を話しロッソ自身も軽く肯定し明るく振舞う。

「グレイだ、まずは勝手にロッソを戦いに巻き込んだことを謝らせてくれ」

「えっいやっそのっ、そんな、ロッソがそこ(の近く)に行くようにしたのは僕のせいです、ロッソが僕と同じ女の子だってわかってて・・・」

「それでも、俺が誘って危険な目に遭わせたのは事実だ・・・すまなかった」

「まーアタシは別に年の事はもういいんだけどさ」

いきなりの謝罪にコウは慌て、うまく受け取ることも出来ず自分の責任を離してしまう、当のロッソは何処吹く風な様子ではあったが。

「それで、話のことだが・・・ロッソに来てもらう条件として、君自身も付いて来るということだが、大丈夫か」

「!・・・大丈夫とは?」

ロッソ加入の件を話し、コウ自身の加入に関しての是非を問い、コウは何を聞きたいか解せずに聞き返してしまう。

「これから向かう場所での活動は、危険を伴う。君自身がアジト側から出撃しなくても命の保障は出来るととは限らない、君から強くロッソに言って加入を承諾して、君自身は安全にいままで通り生活して欲しい所だが」

「・・・っ」

「ちょっとーいきなしヤクソク破んなよ」

コウ自身の事を考えればごもっともな提案、ロッソはブーイングするがコウは何がその組織で出来るかなど考えてはいなかった為グレイの提案が正論として胸に突き刺さる。

「ロッソの事はこちらで手厚くサポートする、無理はさせない、命第一に行動させる。逐一君に様子を報告する・・・どうだろうか」

「・・・・・・あ~・・・どーするコウ・・・なんかヤバそーならコウはウチにいても・・・」

「!!・・・」

畳み掛けるようにグレイ側が自ら課す条件を足され、子供故かロッソも最初の自分の条件を歪めてしまいそうになり、コウはますます息苦しくなる。


『コウちゃんの気持ちを伝える事が大事なんじゃよ。コウちゃんがこういう条件なら行ってもいいというものでも、ロッソちゃんの為を思っての事でもなんでもいい、その人にぶつけてやりなさい』


手に持っていた『風車』を両手で握り締め、チニヴィの言葉を思い出し口を開く。

「・・・いいえ、行きます、行かせてください。僕はロッソと一緒がいいです。」

その言葉はやや震えた声だったが意思を示すものであった。

「そうか・・・なら来るといい、覚悟は出来て・・・」

「ただ、僕からも条件があります・・・!!」

承諾しようとしたグレイの言葉を遮りコウからも更なる条件の提示され、グレイとロッソの二人は驚いた表情になる。

「様子見です、とりあえず加入して貴方の組織での活動を様子見てロッソを任せられると思えばそのままロッソと一緒に入ります!そうでなければすぐに脱退してロッソと家に戻ります!」

コウの条件はなんと一時加入してからの組織の様子見だった。

「一応こちらも真剣に活動している組織だが、それを様子見とはな・・・」

その条件にグレイはやや神妙な表情になるが、怯まずコウは声を張り上げて続ける。

「僕はロッソの保護者です!だからその組織への加入の決定権は僕にあります!彼女をただ苦しめさせるかもしれない所には行かせられない!ロッソもそれでいいね!」

「・・・ああ」

強引でもあるが彼の意思の篭った言葉にグレイは目を見開き、ロッソは目を瞑り笑みを浮かべて返事をする。

「・・・悪かった、君と彼女を守ると誓おう、むしろ付いて来て欲しい、君達の気に召すよう努力する」

言葉に心打たれたのかは分からないがグレイは承諾し、むしろ彼の方から誘うかのように言い換えて二人での加入を認める。

コウは一瞬呆然とした後、大きく息を吐いて風に吹かれて回る『風車』を見て微笑んだ、チニヴィに言えたよと伝えたくなる気持ちでいた。

「んじゃっよろしくっ♪」

「フッ・・・」

ロッソの軽い挨拶に笑って返し、トラックのコンテナの入り口を開き、二人を中に招く。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



砂漠の上をトラックが走り、目的地に目指して向かっていく。

トラックのコンテナには食品会社『オアシスフーズ』のロゴが刻まれており、至って自然な様子で移動をしている。

このロゴの会社なのだが元々大して売れてもいないし知名度の低い所である為世間も全く気にしておらず、グレイ達だけじゃなく偽装配達には持って来いな会社で、更に哀れにも本物側が気づいていないのである。

そんなトラックにグレイはどこからか入手した作業員姿にサングラスで運転しており、コンテナ内では敷かれた小さい絨毯に柔らかい砂を詰めた枕代わりの袋が置かれた寝床にコウとロッソがゆったり寝そべっていた。

コウの方はやや緊張した様子で視線を天井やロッソに向けて自分に何が出来るだろうかを一応考えている。

ロッソの方はというとそれは機嫌よくくつろいでおり、時折手を伸ばしてコンテナ内に箱詰めであった塩漬け肉の缶詰を取り片手で蓋をぶち開けピクニック気分でつまんでいた。


「お二人さん、気分はどうだ」

グレイがスピーカーでコンテナ内に声を送り調子を聞いてくる。

「ん~快適ッ♪カンヅメもうめーし!」

「大丈夫・・・だよ」

「そうか、それは何より・・・隠すためとは言え窮屈な所ですまないと思っている」

二人の返事を聞いて安堵しつつ場所に関してグレイが謝る。

「だいじょぶだいじょぶ、外でなんかあったらアタシがやってやんよ」

「・・・・・・うん」

楽観した様子のロッソにコウは不思議と不安が湧かず、むしろ安心感さえ湧いてくる。

そんな気分にさせてくれる彼女が自分を必要としてくれてよかったと思うのであった。


「目的地までは遠いしこの辺りには検閲もない、とりあえずはゆっくりしていてくれ」

「うーいもうしてるー・・・そーいやさ、アンタと別れた時になんか目玉みたいのに身体じろじろ見られたんだけど何かしらねー?」

「えっ!?」

「・・・それは、マズイな」


不安な気持ちが、生まれてしまった。


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