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幸運なロッソ  作者: 天有酢(テンアリス)
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第4話 ろくでもない噂はろくでもない奴から


ロッソと出会った次の日――。


昼時になり、日も高く昇りカンカンと大地を照らしており、人々はあくせくと働いて日々の稼ぎを、糧を稼いでいく。


そんな中コウの家の屋上にロッソは今度は日に照らされながら本人なりに考えつつ寝そべっていた。


(アタシが暴れた研究所にアタシのカラダは最初から無くて、爆発した研究所内に大人達はあん時全然いなかったから情報も集めらんなかったし手掛かりが全然ないんだよねー)

「はー困った困った」

(アタシのアタマ?、ココロ?、とカラダを分けた場所が見つかればもうそれでバンバンザイなんだけどさ)

「ああ~メンドクセ~」


考えては愚痴り、愚痴っては考えたりを繰り返すも結局のところ無駄な時間が過ぎて行くが、現状それ以外にする事がない故にもどかしく感じていたのだった。


「ロッソー!!」


コウの呼ぶ声が聞こえ、屋上から下を覗き彼の姿を確認する。

買い物ついでに情報収集を行うと言って出かけてから戻ってきたようだ。


「おかえり!よっと」

屋上から飛び降りてズダッとコウの前に立ち、ワッとコウは驚く。

頑丈な身体とわかってるとはいえ普通の人がし辛い行動を見せ付けられると心臓に悪いものだ。


「なんかわかった?」

「それなんだけど・・・」


ドアを開けて話しながら一緒に家の中に入り、居間に向かっていく。


――――――――――――――――――――――――


「・・・『小さい女の子が攫われる事件が起きてないか』って町の人に聞いてみたらそんなのはもうあちこちでしょっちゅうだっていうし、犯人を捜したりするのはやめろって言われたよ。多分しつこく嗅ぎ回ると班長の言ってた金持ち連中の差し金がくるんだろうね・・・」

「んーつまり『手掛かりはゼロでした』ってワケ」

「いや、そう言うワケでもなくて、『砂賊』なら金の話としてそういう噂を嗅ぎ付けてるかもって市場のお兄さんが言ってた、やめとけとも言われたけど・・・」

「フーン」


ろくでもない噂はろくでもない奴から、信憑性は不明だが『砂盗賊』の話をロッソに伝えるコウに対しロッソは少し考えた後口を開く。

「んじゃコウ、その『砂賊』の居場所教えてよ、直接尋ねて来るからさ」

ロッソは真偽も曖昧なまま即決しコウに居場所を聞いて直接行こうとする。

「ええっ・・・一人じゃ危険じゃない?」

「心配すんなって♪晩飯までには戻ってくるからさあ、アタシの強さはもう見てるだろっ」


心配するもロッソの上機嫌なノリを損なわぬよう地図を持ってきて広げ、『砂賊』がいるであろう場所に指を滑らせる。


「ここの東地区から南に行った先の岩壁地帯が今たむろしている場所らしいって最後に聞いたよ、でもこの辺は砂漠というより「荒地」のはずだから『砂賊』にとっては有利とは言えない筈なんだけどな・・・」

ロッソはコウの違和感を感じているような言葉になんとなく怪しい予感がし始め、立ち上がる。


「うし!んじゃ行ってくるわっ!」


ロッソは一直線に玄関に向かいドアを開けて飛ぶように出て行き、コウが続いて外に出たときには小さな点になるほど遠くに走って行ってしまった。

「・・・行ってらっしゃいロッソ・・・必ず戻ってきてね」

コウは溜め息をつき家の中に戻ろうとすると肩をつつかれ後ろを振り向く。

はっと後ろを向くとロッソが戻ってきていた。

「ロッソ?・・・どうかし、うぷっ」

「コウ、ウワサ教えてくれてさんきゅっ、じゃっ♪」

何かと思えば礼をわざわざしに戻り、その豊満な体つきでコウを軽くハグしたかと思えばまた猛スピードで走って行ったのだった。

コウの方は照れはしたが彼女の事が余計に気になり、暫く立ち尽くす他無かった。

「・・・ロッソ」


―――――――――――――――――――――――――――――――


『ジャリー』の広大な砂漠地帯。

そこを南に向けて猛スピードで爆走する影が見えていた。

大股のスキップ走りで『カンパニー』の装甲車にも負けない速さで動き、道中にいるラクダ馬車で通行していた商人達が突風を浴びたかのような衝撃を味わいすっころぶ。

ラクダともども目を丸くして驚き何があったのか通り過ぎた先の方向を見届ける。


そう、その影こそロッソ。

お目当ての『砂盗賊』のいる地点めがけて突っ走っているのだ。

「日が暮れる前には帰れっかな・・・」

ハイペースだがマイペースに、微塵の不安もない面持ちで進行してゆき、すでに前方に目的地と思われる岩壁地帯が見えてきていた。


「あれかねー・・・ん?」


ふと横を見るとやや遠い位置に自身のスピードに並走するホバーバイクとその乗り手が見えていた。

まさか例の『砂賊』なのか、ロッソは警戒しつつ少しずつ自然に距離を縮めていった。

すると乗り手は距離を離して行き、あろうことか手を振って全く違う方向に曲がり走り去ってしまった。


「・・・?うーっす!」

真意の読めぬまま去っていった相手に対してもロッソは適当な挨拶を聞こえるように返していった

気付けば、足元の砂に荒れた地面が混ざるようになり、岩壁地帯にいよいよ近づいているのが分かった。



――到着した岩壁地帯・・・ロッソが辺りをキョロキョロと見回すが、気配は感じられず唯砂埃の舞と風のそよぐ音だけが聞こえ、人っ子一人見当たらなかった。

岩壁の谷間に向かっててくてくと歩いて行こうとすると、


「どうしたの、お姉さん」


背後から突然声がしてハッと振り向くと、ロングコートを着た少年が立っていた。

コウよりはずっと年上で知的そうな顔立ち、ロッソから見れば「アタマよさそー」で片付く見た目であった。

「こんな何もないところにわざわざやってきてどうしたんですか、そんな恥ずかしいカッコで」

ロッソの露出度に関しては余り改善されていない服装を罵りつつ用件を聞いてくる少年、ロッソはとりあえずその件(服)には何も言い返さなかった。


「あー、『砂賊』って知らない?アタシそいつらに用が有るんだけど・・・もしかして引っ越したとか」

少年の出現、素性にも何も言わず自身の用件だけをぶしつけにぶつけ、少年は目を丸くした後にクスリと笑って見せる。

「クス・・・、いやあ直球だなお姉さん、お名前ぐらいは言ってもいいじゃないですか」

「ロッソ。名乗ったよ、で知ってんの」

希望通り名前だけ教え、用件を急くと少年は被っていた帽子を深く被り話し始める。


「ふふ、大丈夫ですよ・・・お姉さん。『砂賊』はまだここに残っていますよ」

「へーそりゃよかった、良ければアジトとかあるなら案内してくんない?」

「その必要はありません、もう皆周りに「配置」されていますから」

その言葉にロッソは再び周りを警戒し見回すが人影は居ない、気配もしていなかった。


「そうだ僕も名前を言っていませんでしたね、失礼いたしました。僕の名前はオード・・・」

自己紹介をしながら左手を天に上げ、一呼吸置くオード。

「以後、お見知り置きをッ!!」


ロッソのいる方向へ左手を振り下ろす合図と同時に地面から顔全体を覆うマスクをした人が6、7人飛び出し、戦闘が開始された。

飛び出すと同時に一人が鉤付きワイヤーガンを彼女に向けてぶっ放して拘束を狙う。

一瞬早く反応したロッソが左腕で防ぐも腕自体に巻きつき、部分的に縛った直後に持ち主が銃を強く引っ張り彼女を一瞬よろめかせる。

続くように手足に長い鉄製爪を装備した者が隙をさらした彼女に素早く飛び掛り押さえつけようと狙う、がロッソはよろめきつつも強烈な肘鉄を脇腹に食らわせて地面にバウンドさせられる。


一瞬驚愕するが別の『砂賊』がフォローに回るように電撃を纏った銃、パラライザーを放つも、ロッソの視界には既にチャージするまでが把握されており、それならばとロッソが巻かれているワイヤーをぐいっと引っ張りワイヤーガン持ちの『砂族』を引き寄せ自分の正面へと浮かした。

当然その先には放たれた電撃が飛んできており仲間の攻撃をモロに食らって麻痺することになった。

残りの『砂族』が焦り、素早くロッソの周りを動き回り撹乱を行うが彼女は悠々とワイヤを切断して拘束を解きぶんぶんと左腕を振る。

そうしている内に『砂族』達が一斉に飛び掛る。

「でりゃあぁッ!!!」

彼女の掛け声と共に飛びながらの一回転のローリングソバットが放たれ、4人が衝撃で吹き飛ばされる。

そのまま飛んだ拍子に狙いを見据え、地に足と手を着き次第飛び掛る。

標的はオード・・・ではなくパラライザー持ちで、彼自身も狙いを付けるも弾のチャージが間に合わず勢いをつけたロッソの強烈なとび膝蹴りを喰らってしまい一番遠くに吹っ飛んで転げまわるのであった。


ふぅーと一呼吸つくロッソに対してパチパチと拍手が贈られる、当然残っているオードがその主であるが。


「いやーお見事です!その子達はこの前入ったばっかりの新人、研修生なんですが倒してしまわれるなんて」

「あんたがボスってワケ」

賞賛を贈るオードに対してロッソは質問を送る。

「いえ、僕は区長です。『ジャリー』側のね、ココにいるのは一応お仕事を頼まれたからですよ・・・守秘義務がありますから依頼主と内容は・・・言えませんけどねッ」


自身が区長という立場である事を明かしつつ何処からとも無く電撃を帯びた棒を取り出し、ロッソに飛び掛る。

「ちっ」

ロッソは舌打ちしつつ砂埃を起こしながら飛び退き距離を取るが、

オードはすぐさま投げナイフを三本ほど投擲してくる。

着地した直後ギリギリで反応し腕の一振りでナイフを弾くもオードは攻撃と同時に砂埃に隠れつつ距離も詰めてきており眼前に迫ってきていた。

「でぇえあ!!」

「うっぐ・・・!」

振電撃棒を持った左手の手首を振り下ろされる寸での所で両手で掴み、攻撃を防ぐ。

子供ながらに馬力がなかなかに有り、こちらの身体を押してくる。

「なかなかの握力ですねぇ・・・こちらはどうでしょうかッ」

「・・・!!」

手が空いていた右腕のコートの袖部分からナイフが飛び出してロッソの首をハイスピードで狙い、反応が間に合わず、その凶刃が刺さってしまった。

(討ったっ・・・)

手応えを感じ勝利を確信するオード。だが彼の予想だにしないことが起こってしまった。


「・・・ッ!!?・・・がっ・・・・あっ」

ロッソは痛みを感じていないかのように正気のまま左腕でオードの左腕を強く掴み、両腕とも上に押し上げ無防備な体勢を取らせる。

(バカな・・・痛みを感じていないのか・・・・!?)

困惑している相手をよそにそのままロッソは首を仰け反らせ・・・

「ふぅんッ!」「がっ・・・」

思い切り頭突きを喰らわせ、決定的なダメージを与えその隙に素早く背後に回り、

「あが・・・・・・しま・・ッ」


オードの首裏に勢いのついたエルボーを浴びせて地面に叩き伏せた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――


『砂賊』達はワイヤーガン持ちの持っていた予備のワイヤーでふんじばられ、切断の出来そうな刃物は粗方叩き割られ、半分は気絶させられる。

区長のオードも同様に縛られてかつロッソに踏まれていた。


「んじゃ、あんたが頼まれたッつーお仕事内容と頼んだ人教えてくんなーい♪」


勝利の報酬にとでも言うように依頼の事をロッソが聞くが、オードは誰が言うものかとでも言うように口をつぐんでいる。

ロッソは溜め息を吐き足下のオードをこちらに向けコートの襟を掴み顔を近づける。


「アンタ負けといてそんな態度する~?」

「何とでも言え・・・・・・殺したければ殺すがいい」


「仕事」を真っ当している様子を見てロッソは呆れ、手を離して地面にどさりとオードの身体は落ちる。

殺す気はもともと無いしさてどうしたものかと口元に手を当てて考える。

口を割る気が無い以上ココまで来たことが徒労になってしまうし手ぶらで帰ってはコウに申し訳ない。


「・・・ん?」


ふと気付くと何か近づいてくる音が聞こえる。

モーター音か何かが、辺りを見回すとホバーバイクがこちらに向かって来ていた、ここに来る途中で並走した乗り手が近づいて来ていた。


バイクはロッソの前まで来て横向きにしつつ停車した。

バイクの乗り手は此方を向きヘルメットを被ったまま地に足を付け立ち上がる。


ロッソは警戒しつつ腰にてを当て、何か用でもというように上半身を前に向ける。



「そいつらの仕事内容を知りたいか」



ロッソと『砂賊』オードはその言葉に驚愕し、尚更身構えるのだった。











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