第12話 突入、そして
日も上がりきらない午前4時頃。
アングラー艇内のメンバー一部は起き始め、来る作戦の時の為に体を目覚めさせ入念に準備を行っている。
ロッソは早めに就寝していた為数十分前に既に目覚めてはいたがベッドの上で寝転がって二度寝しないよう踏ん張っていた。
対してコウはオペレーションを行うモニタールームで眠ってしまい、
一緒に居たベルデに毛布を掛けられてすやすやと寝息を立てている。
もっともまだ少し余裕はある状態である為かベルデとシアンが音をなるべく抑えて作業を続け一瞬の油断もしないよう徹夜で動いていた。
〔ベルデさん、寝ないでよかったのですか?〕
〔元々あまり寝ない性質でしテ、それにロッソさん達が来るまであまり歯応えの無い時期が続きましたかラ、この程度は温いくらいですヨ〕
コンピュータ上でチャットを行うように喋らずにテキストで会話を行い、作戦工程を何度も確認しては行動メンバーの振り分け、見直しを行いグレイ側に送信する。
グレイ側も数回以上のチェックをうっとうしがらず行い、懸念点があればベルデに返信していく。
〔もうすぐ…ですね〕
〔えエ、初の大仕事でス、全力でサポートしますガ、結局のところ全てはロッソさんに掛かっておりまス〕
〔彼女の労を少しでも減らせるよう勤めます〕
こういった突入、襲撃作戦ができるのもロッソが来てくれたおかげである事を改めて確認し、彼女の酷な運命にも手伝いを行う意思を共有しあう。
この場にいないグレイも当然承知しており、その上で彼女の力を信頼し作戦成功を祈っていた。
「あ―っ・・・」
寝っころがり続けて早十数分、いい加減目が覚めてきたロッソは無気力気味に声を出し体を起こす。
顔を手で拭った後横にコウがいない事を確認し、ぼんやりとなにもない壁を見つめて重い瞬きを繰り返す。
そうしてまた寝転がり、昨日の会議を思い返す。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あ~いよっ!任せときなって!」
ロッソの快諾に盛り上がった後、コウとロッソにわかるように話を進めていった。
幸いコウが年の割には博学で作戦内容を理解して学の無いロッソに通して伝えていった。
「・・・だからロッソはここ以外は気にせずに戦っていいんだよ」
「なぁ~んだ!なら任しときなっての!」
話している様子はまるで姉弟のように見え、グレイ達から見れば心が和らぐ存在に感じられる。
「リーダー・・・力を借りるとはいえさ、俺達も守ってやろうぜこの子らをよ」
「・・・ああ」
壮年のメンバーとグレイが小声で誓い、会議を続けていったのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ふぅー・・・ん」
実を言うとグレイ達の言葉はロッソには聴こえており、大人から久方ぶりに大事にしてもらう感覚を覚え不思議な気分になっていた。
夜明けが近づくとともに柄にも無く神秘的な気持ちになりながらベッドの上で体育座りの体勢で天井を見上げているとなんだか力が沸いて来る感じがして、不思議と彼らの役に立ちたくなって笑みが浮かぶ。
「えへっ・・・」
照れくさそうに笑った後ベッドから降りて帽子を被り、白衣を肩に羽織りいつでも出撃できるようロッソが整える。
―――1時間後、午前5時になった直後。
「・・・ん・・・うわっ!?」
そこそこにけたたましいサイレンが艇内で鳴り、コウが飛び起きて辺りを見回す。
「おはよウですナ、コウ君」
「あ、おはようございま・・・あっその・・・寝ちゃってました!すみません!」
「いえいえ、コウ君はもっと寝ていてもいいくらいですヨ」
昨日のオペレーター練習及び情報整理を行っている内に寝てしまっていた事をベルデに謝罪するが本人は特に気にせず嫌味なく再度の仮眠をしてもいいとのたまう。
「いえっ!ロッソが頑張るから僕も出来る事をしたいんです!お手伝いします!」
「おやおヤ・・・とりあえず何か口にする事をすすめますヨ」
「あっ」
あたふたしながらコンピュータの前に走り寄り、モニターの内容やファイルを確認するも腹の音が鳴りベルデから静止されて朝食を腹に入れることを勧められるのだった。
「皆さーん!おはようございます!いよいよですねっ!」
人員の寝床のモニターが点きシアンがはつらつとした大きな声でメンバーを起こし、驚いた者が飛び起きて床に転んで体を打つ。
「どへっ・・・つつつ」
「朝食は出来ておりますっ!程よく食べて作戦に備えてくださいねっ!」
作られた人格とは思えないくらいのテンションをさらけ出し、組織を盛り上げるシアンはその後もメンバー達に激励と応援を行っておりムードを明るく照らしてゆく。
艇内があわただしくなり、人員達が朝食を乱暴に口に突っ込みつつ交代及び配置について準備を行う。
ロッソは部屋から出て悠々と残してたパンを頬張りながら歩き事前に伝えられていた場所へ向かって行き、
道行くメンバーとすれ違いながらそのまま出撃部屋にたどり着く。
そこにはグレイ達が既に集まっており静かに待っていた。
「ロッソ、来たか」
「ん、トーゼン」
軽い挨拶を済まし集まりの中にロッソが入り、グレイが部屋の壁にあるダクトの蓋を開き声を掛ける。
「面子は揃った、向かってくれ」
「はいよ~!ヨーソロー!!」
操舵士に対して合図し、アングラーが目的地の工場へと向かい舵を取る。
10分後、目的地の岩山に立てられた工場が遠くに見える位置まで辿り着き潜砂艇の体を外に出しロッソ達が外に出て最終確認に入る。
「突入まで後数分、この作戦の成功が俺達の大きな転機となる、皆気合を引き締めてかかろう」
グレイの言葉にロッソ含むメンバーは声を上げたりせず静かに頷いて返す。
「ロッソ、これを」
「ん?」
「通信用だ、耳に付ければコウや俺達と通信できる。他の面子はベルデが担当するからコウはお前だけのオペレーターになる」
とても小さい丸型で無線機を渡され、ロッソは即座に耳の穴辺りに取り付ける。
「ザザ・・・・・・ロッ・・・ソ・・・ロッソ!聞こえる?」
「ういっ!おはよっ」
「はは、良かった・・・何かあったらすぐ伝えるからね!ロッソも何か気になったら聞いてねっ」
「あーいよ」
通信に成功し、コウのアシストが付く事にロッソも嬉しそうに返事をして彼の事を信頼して一度通信を切る。
「ここから走って近づき、工場裏にある内部と外を繋ぐ荷物用シューターにロッソが乗り込んでもらい、俺達は正面口から突入、現状入り口となるのはその二つしかない」
「ルートはもう大体把握してあるから目的地の第3ライン部屋に俺達が向かうって事で、」
「入ったらアタシしばらく好きにしてていーんだよねっ」
「ああ、この時間だし警備系統はおそらく大した事はないだろうが何か気になったらお互いにすぐ報告しあおう」
最後の確認をし、ミスの可能性を出来るだけ減らすよう念入りに行う。
「それとロッソ、工場内についてだが」
「んー?」
「ロリードのパーツらしき反応があった、一体分だが・・・一応覚えておいてくれ」
「・・・フーン」
グレイからの情報になんとなく興味を示し片隅程度に記憶してロッソは帽子を被りなおす。
「よし、そろそろ行くぞっ」
「了解!」
グレイの合図と共に一斉に走り出し、工場へと向かっていく。
足並みを揃えて確実に近づいてゆく。
(ロッソ・・・どうか無事に・・・)
「・・・フフン」
コウは無線で伝える事も無く心の中で祈り、それをロッソが感じ取ったかのように誰にも気づかれぬよう笑って見せるのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2分後、工場近くに辿り付きロッソに指で合図をして一旦離れる形になりそのまま移動を続けて指定の位置までそれぞれ移動して行く。
ロッソは岩山の裏側に猛スピードで移動し、岩壁を移動しながら眺めているとサイズの違う二つのシャッターが並んでおり、荷物を中へと運ぶシューターである事を確認。
自身が入るのは当然小さい方のシューターに蹴りで破りながら突っ込み、そのまま中のダクトへと滑り侵入する。
途中から向きが垂直になり滑るから落ちるに変わって行くもロッソは焦らず着地体勢になり身を任せてゆく。
そして3秒後、内部に入り込み下に敷いてあった固めのマットにドスンと音を立てて着地する。
「どうっ・・・いつつ」
微妙に体勢が崩れて体を打ち付けてしまい、打った箇所をさすりながら立ち上がり帽子の向きを直す。
「とりあえず、行ってみっか」
ロッソはそのまま走り出し目に見えたドアを開けてしらみつぶしに探し始める。
一方グレイは正面口に辿り付き大きな門の近くの岩陰で仲間と共に一度止まり、周囲を警戒する。
「・・・飛行カメラは配置されていないようだな」
「元々古~い工場ですからね、そういったトコに金はかけないんでしょうかね」
「ガードロボ、並びに門の所にカメラ取り付けられていない、・・・なら今がチャンスだ」
現状見つかる可能性が無い事を確認し、全員でかたまって移動し正面口横の大きな門・・・横の小さい作業員用ドアに近づき、グレイがハックキーを取り出し以前の研究所よろしくドアのロックを解除する。
「よし・・・行くぞ」
解除を確認しドアを開けてグレイ達も突入し周りを警戒する。
しかし周りに人の気配は無く警備用のガードロボも目に見える範囲には配置されていなく、それがグレイ達には違和感を覚えさせるものだった。
(朝5時の突入には予想もできなかったか・・・?・・・いや、今時ここまで何も配備していない所は無いはずだ)
懸念点を浮べつつ、ライトを点灯させグレイ達は迅速かつ慎重に進んで行く。
「・・・そのまま正面、広い階段を降りて突き進んでくださイ」
ベルデからの通信が入り、それを信頼してグレイ達は音をなるべく立てずに侵攻する。
階段を降りた先は三つの部屋への道がある広間があり、会議で何度も確認した目的地へのルートへは左の部屋だと把握してある為、迷わずに移動する。
部屋内に入りライトで照らしながら幾らか見回すとベルトコンベア等が見え、ライン作業部屋であることを理解する。
「ここが第2ライン部屋のはず、となれば目的地まではもうすぐだ」
現在位置を確認し、一度停止してライトを消し再度一塊になってベルトコンベアの先に有る異物探知機の陰に隠れる。
「今しばらく待機ヲ」
「どーも上手く行き過ぎてるといいますか、警備がザルすぎますね」
「目的地は目と鼻の先、加えて工場内の様子からロッソが見つかった風にも感じない・・・」
「順調すぎて逆におっかないっすね・・・」
「単独で目的の部屋に向かってみますか・・・」
「そうするべきか・・・っ!!?」
ベルデからの指示もありグレイと仲間達が一度話し合い、進行を止めて誰かが第3ライン部屋に偵察に出るか決めようとする。
とその時、バンと音を立ててドアが開き誰かが部屋に入ってくる。
カツンカツンと足音を鳴らし進んでくる誰かに強く警戒し、一斉に身を潜めてパラライザーを構える。
「・・・おおっ!」
(待てっ・・・!)
メンバーの一人が逸り、その人物に特攻して向かいそれをグレイが止めようとするも間に合わず、あげく攻撃を仕掛ける前に回避され掴まれてしまう。
「がっ・・・あああっ」
「ん?・・・ありゃ!ごめっ」
「・・・安心した」
だがその者は、ロッソだった。
彼女もグレイ達も互いに気づき、彼を放して軽く謝りグレイ達も安堵する。
ロッソの話を聞くに、部屋を虱潰しに探っても誰も居らず泊り込みの作業員一人として居なかったそうだった。
他でロリードのパーツ含めた身体の保管している様子も無く、まるで目的地に誘導されている気分にもなってきてしまう。
「だが・・・ここまで来た以上はもう進むしかない、ロッソ・・・頼めるか」
「あいよっ!任しときなって!・・・ムグッ」
大きい声で返事したため口を塞がれてグレイ達から指を口に当ててシーっとジェスチャーされロッソは不満気に頬を膨らませて押し黙る。
同部屋内の鉄階段をのぼった先にある第3ラインの部屋前に颯爽と降り立ち、既にロックの掛かった動かない自動ドアである事を確認し、ドアの閉じている所に指を突っ込み馬鹿力で無理矢理こじ開ける。
「んんん~!!」
開いたドアの先に入り、ついに目的地へとたどり着く。
第3ライン部屋の内部を見回すロッソだったが、その中は自分達が予想していたものと違っていた。
「ロッソ・・・聞こえる?目的地に着いたんだよね?」
「ん・・・ああー、そーなんだけどさ」
「どうしたの、何かあった!?」
コウからの通信が入り応対するも何かバツの悪そうな声を聞いてロッソに追求する。
「なんかロリード作ってるカンジしねーっつーか」
「えっ!?」
彼女からの返事もまた予想外の物。
部屋の内部は他のライン部屋と変わらないベルトコンベアや他のライン作業を行う設備しかなくロリードの身体を製造する為の機械類が全く見当たらないのだった。
「どーゆーこったこりゃあ・・・」
疑問を覚えつつも部屋の中に足を踏み入れて再度周りを見渡しながら歩いていると、上から何か音が聞こえて来る。
「ん~・・・っ!?」
その音に気づいて上を見上げると何やら巨大な球体の機械らしきものが浮かんで、いや吊るされており、ロッソは一瞬驚いて入り口側に戻る。
聞こえてきた音は何やらコンピュータが処理をしているようなものでありロッソにとってそれは理解の範疇を超えた不気味な存在であった。
「ロッソ!大丈夫?部屋の中に何があった?」
「最悪を防ぐためニ、こちらにも教えてくださイ」
「あっ、あー・・・なんかでっかくて丸いのがあってさ、中からピコピコ・・・」
コウからの通信にベルデも横から入り困惑しつつも情報を伝え、ふと後ろに目をやるとグレイ達がそっちへ向かって問題ないかとサインを送り、
ロッソがそれに対し一瞬焦りつつも×印を腕で作った後手の甲でシッシと払う動きで拒否を行う。
グレイ達がそれを承諾した事を確認した後部屋の中に再度入るとまた球体が音を立てて来る。
ロッソが見上げて壊すべきか考えていると次第にその音は大きくなり、迂闊に手を出すべきか迷いすら生じさせる。
「ロッソ!それ・・・ベルデさんが今すぐ壊してって・・・」
コウからの三度の通信が来た直後、球体からジー、チンっと何かを算出したかのような音を立て、そして・・・
「・・・だっ!?」
その球体は落ちて来たのだ、轟音を立てて下のコンベアなどをお構いなしに押しつぶし球体は姿を変えていく、手足のようなものが内部から外に向かって展開し中央からやや上にモニターが表示されており、特異な形のロボットである事が証明される。
「ロッソ!!」
「さがってなッ!!」
グレイに対して退避するよう叫び、それと同時に球体ロボットがロッソに向かって突進しその攻撃を防ぐも後ろに吹っ飛んでしまう。
そのまま第3ライン部屋の壁がぶち破られ、階段等も破壊していく。
衝撃や崩落からグレイ達はどうにか無傷に回避するもロッソの様子がそちらからは見えないで居た。
「ちいいっ!」
どうにか防ぎダメージを最小限に留めて立ち上がりロボットを見上げ、
ロボットは体勢を直した後動きを止めて、正面上のモニターを点ける。
「ふひゃひゃひゃひゃ~!ついに来たか『777』よ!」
モニターから下品な笑い声を上げる老人が映り、その姿を見てロッソは吠える。
「・・・ジジイッ!!」
その老人こそロッソを作り出した科学者だった、攻撃された怪我の痕は残っていたがやたら元気そうでありそれがロッソを一層イラつかせる。
「まんまと掛かってくれたか、ネズミ共とともに新しい工場の計画という囮の情報にのう~」
「何だと・・・嘘の情報だったというのか」
その言葉にグレイも驚愕し、戸惑う結果になる。
「今現在、新型のロリードは作っておらん!そこの小娘に大半の機材を駄目にされたからの!先の臨時研究所も破壊され作ろうという気すら今のところは無い!!だからまずうろちょろ邪魔をするお前達を一網打尽にする事を決定したんじゃ、噂を流しこんな寂れたところで24時間自動で報告のできるロボを配置してマッ取ったんじゃ、まさかこんな朝っぱらに来るとはしんどい事をしてくれる!!」
「だったらまたアタシが寝かしてやんよ!!」
くだらない作戦にはまった自身と科学者に怒りを募らせ、ロッソが口を荒げて突撃していく。
ロボットの素早い掴み掛かりを避け、頭頂部に跳び蹴りを叩き込み、体勢を崩したところで更にボールのように乱暴に蹴り飛ばして追い討ちを一気に掛けようとする。
「ロッソを援護しろ!!」
「おおっ!!」
グレイ達もパラライザーを構えてロボットに向けて撃ち、僅かながらも挙動を硬直させる。
「ぐおっ・・・流石にこだわりぬいた最高傑作だけはある・・・だがこれならどうじゃ!?」
ロッソが動けないロボットに止めを刺そうと飛び上がって踏み潰そうとするも、ロボの身体の正面から何か人影が飛び出してくる。
「だああああっ・・・・がっ!?」
自身に向かって飛び出してきたのは黒い髪の女性、ロッソは攻撃を止められ地に落とされてしまう。
「くっ・・・ナンバーレスか!?」
「ふひゃひゃ!おもちゃと一緒にされては困る、その娘は紛れも無く作品の一つ、新しく「リベイク」されたロリード、『13《サーティーン》』じゃああ!!」
「なっ!ロリードだと言うのか!?」
シアンと同じナンバーレスではなくなんとその女性はロリードだった、しかもかなりの旧型と思われる番号の『13』という存在であると科学者は語る。
「この破壊工作用ロボと『13』の連携・・・かわせるかあああ!!」
ロボットとロリード『13』の波状攻撃がロッソを襲う。
先の攻撃から体勢を直していたロッソは後ろに下がり回避するも直ぐに『13』が追撃し、ロボットが後からも援護してくるため防御に徹せざるを得なくなっている。
「まずい!」
「ロッソちゃん!」
メンバーの青年がパラライザーを構えて『13』の方に放つ、その弾はクリーンヒットしなかったが腕に掠り攻撃を一瞬だけ止める。
「・・・・・・」
「ばっ・・・ばかっ!」
その一瞬『13』は攻撃対象を変更してグレイ達の方へと向かい、今の援護が仇になってしまった事にロッソが気づいて声を上げてしまう。
「くそっ!」
「来るなあっ!!」
グレイら他のメンバー達も充填の終わったパラライザーを放つも『13』は素早く近づきながら回避をしていく。
「くっそ・・・がっ!」
助けに向かおうとするもロッソはロボットにとうとう掴まれてしまい身動きが取れなくなる。
その間にも『13』がグレイ達に攻撃を仕掛けており、遠くで仲間達が攻撃されているのが目に見えてしまう。
「ふひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ~!!!!思い知ったか小娘共がああ!!これがワシらの技術というものじゃああ!」
「・・・じゃねえ」
「あ?」
「・・・・・・アタシを舐めんじゃねえ!!!
勝利を確信しハイテンションに高笑いする科学者に対し一度静かになったロッソは怒りを爆発させ力を全開まで発揮し、掴んでいる腕を内側からぶち破るように破壊しロボットを踏み台にして、グレイ達の元に飛び込む。
力を察知した『13』は振り向き突っ込んで来るロッソを受け止めようとするも力が足りずそのまま壁に叩きつけられそのまま二人は乱舞するかのように戦闘を続ける。
「・・・逃げて・・・私から離れて・・・」
「・・・!」
ロッソがふと気づくと『13』から声が聞こえて来る、どうやら本心で戦っているわけでは無い様だ。
もっとも科学者のやる事なのでロッソからしたら予想できた事だった。
「ちょいと、眠ってな」
優しげな声を『13』に掛け彼女からの掴みかかりの攻撃をいなし、背後に回って強めの肘うちを決め、失神させる。
そのままアームエッジを展開させ、ロボットの方に目にも止まらぬ速度で向かっていく。
「なっなにぃい!!?」
科学者は『13』を倒された動揺とその製作者である自身でも予想できないロッソの性能にうろたえ、もはやもがく事しか出来ないロボットが操縦できていない、そして・・・
「でりゃあああああああああああああ!!」
一瞬視界に写ったロッソが雄たけびを上げて腕を振るう、怒りをありったけぶつけるようにロボが一瞬の内に切り刻まれ、爆発していく。
「ぐうおあ!!おのれまたしても・・・・・・だが、『リベイク計画』は進行していくそこの『13』のように既に作られている者を新しく・・・・・・」
焦りからか計画を一部喋り、途中でマイクが破損し言葉が伝わらなくなっていく、グレイはその作戦の事を速やかにベルデに伝え、負傷者を運びつつロッソの居る方向を見やる。
「・・・ロッソ!!」
「ロッソ!」
「ロッソさん!!」
爆炎の中からロッソが悠然と戻り、その姿を見てグレイは名前を呼び、見えない位置にいるコウとシアンも通信で続けて声を掛ける。
「うぃーっす、だいじょぶだっての!アタシが強いの知ってんだろっ♪」
いつものように、軽くてどこかガサツな彼女の挨拶が帰ってくるのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アングラー艇内、負傷者達が手当てを受け、作戦終了をお互いに労いあっていた。
『13』はセーフティや、強制制御を行う為の部品とプログラムをベルデが一生懸命外している、本体は当然見つからないのでこれからアングラーで世話する予定である。
ロッソは自分の部屋でコウと一緒にベッドに座ってボーっとしていた。
「ロッソ・・・お疲れ様、ゆっくり休んでね・・・」
「んー・・・」
気の抜けたような返事になんとなく心配してしまうコウ、そうしているとグレイが部屋に入ってくる。
「よう、お疲れだな・・・今回の件、余りいい結果にならなくて済まなかった」
「んーいいよそんなん、ジジイまたボコる理由が増えただけだしっ」
「!・・・そうだね・・・『リベイク計画』だっけ』
科学者の話からして、ロッソやグレイ達に向けた計画を知り戦う理由が出来てしまったのだがロッソは不思議と悪い気はしていないようだった。
「アタシ、俄然グレイ達と行きたくなったよ!『13』は助けられたんだしっ」
ロッソの答えにグレイもコウもいい意味で驚きを見せる。
「それは嬉しい・・・それで、コウの方は?」
「・・・保留って事で!まだまだこの組織を方向を見れて無いからっ!」
「そうか・・・それは何よりだ」
コウからの返答にグレイも安心した気分になる、本当はもう信じてついて行っていい位に思っているのも分かった上だった。
「さーって、メシにしよっかっ♪」
これからロッソの真の戦いは始まる、だが幸運な彼女なら新たな仲間と共に突き進んでゆけるだろう。
一旦休止




