第11.5話 突入前夜
作戦会議と同日の夜。
アングラーが目的地に向かい、砂の海をゆらりゆらり泳いで行く。
組織メンバーが各々打ち合わせを行い、使用する武器、ベルデに突入手順の確認などを入念に行う。
コウもベルデのサポートとして就く事になりコンピュータの操作方法を学びつつ目標地点の確認を行う。
「コウ君が突入する予定はありませんガ、サポーターにはなって欲しいですナ」
「うん、がんばるよ」
ベルデから指名されたサポーターの仕事を二つ返事で承諾し、ベルデの集めた工場内のデータを参照して自分なりに情報を整理していた。
「本当は入力したデータを元に場所を立体ホロで体験できるシミュレーションソフトがあればいいんですガ、あれはお高い買い物でしテ・・・なので昔ながらの調査アンド予測ですネ、まあ幸い元の工場の構造は分かってるシ私とシアンがメインでオペレートするのでそうムツカシク考える事モ・・・」
「参加する以上、きっちり仕事はするよ!分からない事に関しては聞くけど頑張らせて!」
コウのいやいややっているとは思えない態度にベルデは少し面を喰らったように驚き、少しだけ笑みを浮べて工場内の調査を続ける。
グレイはロッソを除いた突入メンバーを集め、
最終ミーティングに臨んでいる。
「調査した所、警備ロボ数体が新しく配備されているとベルデから確認が取れた」
「研究者連中の事だ、出来のいい奴を用意しているでしょうね」
「そう考えるべきだな」
突入時間まであと僅か後十時間程度、ベルデが流してくれている情報を現在進行形で更新していき共有していく。
「リーダー、ロッソちゃん呼ばなくていいんすか?こーゆうのはちゃんと伝えたほうが・・・」
「まだ子供の身空だ、心と身体を休めてベストの状態で動いてもらったほうがいい。現状戦闘力を鑑みて余程危険そうな点がある時だけ覚えて気を付けてもらうだけでいい」
「怖い目には遭わせない様に、ですね」
ロッソが子供である点と戦闘の実力を信頼した上で参加させ無い事をグレイは念頭に置いており、その上で自分達が作戦の確実性を高めるよう話し合っていた。
「まっ、こんな短期間じゃ大した警備は・・・おっ、ベルデから通知!更新ッと」
「ロリード用のパーツと思われる金属の反応があった・・・?」
「製造の為のもんだろうし、別に気にする必要が無いんじゃ・・・」
「いや、それにしては全体量が少ないらしいけど・・・一体分くらいだって?」
ベルデが新たに得た情報はロリード用のパーツらしき反応、ただその量はあまりに少なくそれがメンバーの一抹の不安を募らせる。
「まあ、元々ロリード自体が受注生産みたいな代物だしおかしくはないですよ、・・・ね!リーダー」
(確かにそうだ・・・が、妙に気になる、覚えておくに越した事はないが・・・)
注意点として覚えて置き、メンバーは引き続き意見を出し合って行く。
ロッソ自身は一人で部屋に戻り、ベッドの上で体を動かしながら物思いにふけっていた。
といっても考える事は自分の本体の手掛かりがこの先掴めるのかと思うくらいであり、グレイ達を疑っている訳でもなく自分の納得できる物が得られるか、そういう意味で心配に近い感情が湧いているような気がしていた。
「ロッソさん、失礼致します」
「ん」
モニター映像が点きシアンが声を掛け、体勢を変えぬまま彼女に返事を行い目線を合わせる。
「どったの」
「いえ、調子はいかがと思いまして、作戦決行は明朝なので早めにお休みになった方が宜しいかと」
シアンは自分からロッソの様子を見に来て早めに仮眠を取るよう勧めて来た。
「こんなカラダだしいーよっ、どーせその内寝てるだろうしまぁ時間来たら起こしてよ」
「畏まりました」
「あーそれとさ」
「はい?」
適当に返した後、ロッソが自分からシアンを呼び止め口を開く。
「あん時ボコボコにしちゃってワリかったねっ、コレも貰っちゃってさ」
「・・・! いえ、お気になさらずに、ロッソさんが有効活用していただければ幸いです」
先の戦いの件を腕輪の拝借含め謝るが、シアンは気にしないで欲しそうに接してくる。
「ロッソさんがあの時私を持ち出してくれたからこそ今こうして私はおります、むしろ感謝したいところです」
「そぉ?ま、そんならいいけどさっ」
「ふふふ」
夜もふける中、位置する次元の違う存在とはいえ女の子同士の親しい関係がそこに出来ていた。




