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幸運なロッソ  作者: 天有酢(テンアリス)
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第11話 作戦会議


ロッソとコウは二人で使う部屋を案内してもらい、部屋の中にある二人で使える大き目のベッドに寝転がっていた。

コウは考え事をしており、ロッソは不貞腐れた風に壁の方を向いていた。


(グレイの事情は理解できた、思ってたよりもかなりつらい体験をしていたんだ)


グレイの過去を聞き、彼がどんな思いでこの組織で活動していたかをつい案じてしまい仮加入の件が彼らにとって酷なやり方にコウは感じていた。

自分で提案しておきながら彼の過去や食事の時の歓迎具合を思い出し、どうしようかと思ってしまう。


「ねえロッソ、君はどう思う?グレイの話を聞いて、どう思った?」


自身も被害者であるロッソにも気持ちを聞こうと彼女の方を向き声を掛ける。

それに対しロッソは目線と体を僅かにコウの方に向けた後、戻す。


「ズリーと思った」

「ずるいって?」

「如何にもな思い出してて、アタシ達を繋ぎ止めてーみたいに感じた」

彼女からの感想は、今さっき自分が思ってしまった事を計画的に運ぶように思えたというものだった

「それは・・・確かにグレイ達からしたらそう思っても仕方ないかな・・・強力な工学兵器みたいなのは所持してないみたいだし」

「だったら最初っからそう言えばいいのに、アタシ達にジジイ共をぶっ潰して欲しいって!まぁ残るか決めんのはコウだけど」


短絡で直情的だが純粋な子供であるロッソの気持ちはある種、大人であるグレイも察して素直になるべきだったのだろうかとコウは思いたくもなる。

ロッソよりも1年短い人生ながらどうすべきかを考え込んでしまう。


「アタシはアタシを見つける為にグレイの話に乗ってやろーと思ってる、もしこのままココに残ったとして、ジジイ達に泡吹かせんのもそのついででやっていいと思ってる、けどもしなんか・・・言ってることとやってることがズレてきたらおりるっ」

「!」

ロッソが改めて自分の意見を言い、自分はどうするか言えないまま時間が過ぎて、いつの間にか眠ってしまった。



――時間は経ち、夜が明ける。



「ん・・・むっぐ」

目を開けたコウの顔に閉鎖感が重く伝わってくる。

鼻と口が柔らかい何かに覆われ呼吸がし辛くなっており窒息しそうになりもがいてそれを顔から剥がす。

「ぷはっ・・・えっ・・・」


意識がハッキリし、掴んで剥がしたものは・・・ロッソのたわわなバストだった。

酷い寝相でコウに向かって覆いかぶさっており、下手すれば睡眠が永遠なものになりかけるところだったがコウがどちらかというと羞恥心で顔を紅潮させて後ずさってしまった。


「~~~~!!」

深呼吸をして落ち着こうとするも手に感触がしっかりと残ってしまい、声にならない唸りをあげてしまう。

当人は全く起きず、あられもない体勢と寝顔で鼾に近い寝息を立てて涎も垂らしていた。


その様子に呆れたような安心したような溜め息をつくと、チャイム音が鳴りグレイの声が伝わってくる。


「朝だ、全員起きてくれ。夜番の者は速やかに交代して良し」


組織の方針なのか決まった時間にチャイムを鳴らし、就寝している者を起床させ番をしている人員の交代をきっちり組み込んでいるようだ。

放送直後、すぐにロッソを起こそうと彼女を揺らす。

「んあ?あっふぁ~!ねぶぃ~」

「もうロッソったら・・・ほら体を起こして」

「もうちょっと~」

「朝食はいつも通り準備してあるので一日の為にも必ずとるように」

「うぇいっ!行こうぜっ」

もっと寝たいといわんばかりに体を丸めようとするが、朝食の準備を聞くとすぐ様飛び起きて部屋を飛び出して行くロッソを見送ってしまうコウであった。


―ダイニングルームにて二人は欲しい分だけバイキング形式の料理を皿にとって席に座り食事を取り始める。

特にロッソは朝食にしては多すぎる量を猛スピードでがっついている。


「もっとゆっくり食べたほうが・・・」

「らいじょぶだいじょぶ!がっぐっごくん!どーせ食わなきゃ生きてけねーんだし」

コウの咎めも気にせず咀嚼もあまりしていない頬張りっぷりで詰め込んでゆくロッソに周りの人員も微笑ましさ半分に笑っていた。


「ごっそーさん」

「あ、お疲れ様です・・・夜番の方でしたよね」

「ああ、だからメシの後寝て体力回復させてもらうんだ、おやすみ~」

夜番の人員が仮眠を取る為に部屋を出て行き、それとは別の者が食後にタブレット端末を弄ったりすぐに持ち場へ自分の仕事をしに向かっていく。


「おはようございます、皆さん!今日も頑張ってくださいね」

「おお~シアンちゃんおはよッス~」

モニターが点き、シアンが人員に挨拶を行い、反応した人員がデレデレとした感じで返し、シアンもにこやかな表情を見せて更に返す。

AIとはいえ男達の士気をそれなりに上げる効果があるようだ。

「んぐっ!うぃっす、シアン♪」

「おはようございますロッソさん、コウさん♪元気に行きましょう!」

「あ、うん、ありがとう」

ロッソからの挨拶にはつらつとした口調で返してコウも思わず礼を言って応えるのだった。

経緯はあまり分からないが、ロッソとお互いに戦った間柄とは思えないくらいフレンドリーな様子を見せている。


適当に食べて腹八分目となった頃、二人でドリンクを飲んで一服しているとグレイが現れて、周りの人員がお疲れ様ですと挨拶し、グレイも「ああ、お疲れ」と労いのこもった挨拶で返しながらロッソ達の方に歩いてくる。

「お、おはようグレイ」

「おはよう、昨夜は良く眠れたか」

「まーねっ」

コウから挨拶し、簡単な質問にロッソがちゃちゃっと応えてグレイがその場に止まる。


「さて、二人共、食休みの後でいいからミーティングルームに来てくれ」

「!、ってことは」

「ああ、次の作戦が決まった。二人に参加し役割を決める」


ついにきたグレイからの通達を聞き、

30分程部屋で休んでから指定された部屋へと向かったのであった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ミーティングルーム。


二人が部屋に入ると長方形の大きいテーブルにまだ4人程だがイス、または箱に座っており時間を潰していた。

その中にはベルデと操舵士も混ざっており、本格的な作戦を始める事を改めてコウは実感する。


一番近い席にロッソがドカッと乱暴に座りコウもその隣に急いで着き、ピシッと姿勢良く背筋を伸ばし膝に手を置く。


「そんなんならなくていいよ~お国のお偉い方じゃあるまいし」

「ふふフ、頬杖ぐらいついてもうちのリーダーは怒りませんヨ」

「はっはい」

直後に操舵士とベルデが気さくに緊張を解そうと声を掛け、コウは返事をするも隣のロッソのようにそう簡単に緩めることはできなかった。


「みなさんお疲れ様です、私もこの度参加させて貰えるようになったので宜しくお願いします!」

「おーシアン!」

壁に掛けてある小型モニターが壁から外れて伸びて来て映像が映り、シアンが元気良く参加を表明しロッソも反応する。


「こんな事もあろうかト、アームを取り付けて有る程度動けるようにしてよかっタ、艦内中の小モニターに細工してありまス」

「いつの間にやったんだよ、つかどんな時を想定してんだよ!!」

「あっひゃっひゃっ」

「ふふ・・・♪」

ベルデが仲間の知らない内に細工を施していたことに操舵士とは違う青年の突っ込みにロッソがツボに入ったのか爆笑し、シアンも微笑む。

おかげか和やかな雰囲気が漂い、見ていたコウの緊張も解れていく。


「そうそうそんなカンジ、君達のおかげで、むさ苦しさも減ってきたしね~」

「は、はい・・・はは」

操舵士が解れた様子のコウに対し相変わらずのノリで接し、コウも笑顔で返す。

直後、ロッソ達が入ってきた位置とは反対側ドアからグレイが複数人引き連れて部屋から入って来た。

談笑タイムを直ぐに辞め全員が口を閉じて座りなおし、シアンは有る程度後ろに下がり、全員を見渡せる位置に留まる。

グレイの連れて来た仲間が空いている適当な席に座り本人はロッソ達の反対側中央に座る。

「さて、集まったようだな、ロッソ、コウ、シアンが初参加になるか」

「はい!」

「はい♪」

「ん」

グレイが面子を確認し、初参加の三人が反応を見て頷く。


「ではこれよりミーティングを始める、ベルデ」

「了解」

グレイが手に持っているタブレット端末を持ち内容を確認している間にベルデがテーブルに指を押し付けると反応しテーブル中央の黒い部分が起動し何かが映し出される。

囲んでいたテーブルはモニターテーブルであった事に気づきコウとロッソが興味を引かれ、つい見つめる。


ベルデがニヤつきながら指の位置を動かしタップしていくと岩山に組み込まれた建造物が映し出され、さらにそれだけでなくその建造物がテーブル上に立体ホロとして表示される。

「おおっ!」

「わぁ」

子供ゆえか始めて見るその技術に感嘆の声を上げてしまう。

「ふフ、これもケッコウ型落ちのテーブルなんですヨ、まあ作戦を企てるには申し分はありませんガ」

どこか得意気にベルデが二人に対して語り、ホロを適当に回転、拡大させて建造物の3Dを良く見せる。

「サラスナ地区の西側、トレジャースポット寄りの位置にある中型ロボット工場ですね」

シアンが解説し、現在この地区にある工場である事を確認する。

「そう、シアンにも情報が行き渡っているな、今回はこの工場を狙う事になった」

「あっあの襲撃理由だけでも聞かせてください!」

標的であり、明確に襲撃すべき場所であることが伝えられる。

コウが率先してロッソにも理解する為に、質問の有無もまだ来ていないのに声を上げる。

「ああ、この工場だが、かつて持ち主の会社は前は結構栄えていたんだが近年は時代に置いて行かれめっきりと稼動が減り、会社は自体は生きているがそのままあえなく閉鎖された」

かつての工場は時代の波に覆われ終わりを迎えていた、だが。


「最近になってこの工場に向かって機材を運んでいるという情報が入った、もうロボット製造に関しては部門が消滅しているにもかかわらずな」

「それってまさか・・・」

「そう、ロリードの身体製造の可能性が大だ」

「!」

コウの危惧したことをグレイが即座に当て、ロッソ含めたメンバーが反応する。

「それって確実なワケ?」

「ベルデとシアンに昨日の内に探らせて見たが、新型ロリードに使われているパーツと同じ物を検出出来た」

「間違いございません」

「硬いプロテクトでしたが漏らしてやりましたナ」

「久々のアタリっすね~」

シアンが検索し、怪しいと感じた場所を探り当て、ベルデが隠匿しプロテクトをこじ開けてクラッキングを行い特定したという。

ここまでのかなりの無法振りにコウは驚いているが同時に首尾の良さにも感心していた。


「会社がこの工場を手放しているのをいい事にロボット部門を復活させているようだ」

「女の子も攫われているのかな」

「いや、運送品からしてこっちでは単に身体製造だけを行っているんだろう、面倒な設備と研究者連中が無ければ完成は出来ない」

「そっか・・・」

コウのもう一つの危惧には可能性が無い事を伝え、安堵させる。


「そこでだ、ロッソ、この工場でロリードの身体の製造している所だけぶっ潰して来て欲しい」

「!・・・なんかイイコトあんの?」

「製造する為の機材は別の所から持ち込まないといけない、既に出来ている身体や機材をまとめて壊してしまえばジジイ共も怯んで手を出し辛くなるだろう」

「ふぅ~ん・・・」

指名に対してロッソが成功時のメリットを聞き、両肘を立てて両指を組みグレイの答えに興味を示したような反応を見せる。

「大規模な研究所は少し前にだれかさんが機能停止になるまでしてくれて、奴らも過敏になっている、製造所及び研究所一つ潰すだけでも牽制になるだろう、非道ではあるが国を滅ぼそうとしている連中なんかじゃないからな」

「ふ~ん?・・・あぁ!」

そういってロッソに微笑みながら答え、今言った内容に自分がやった事も含めてのである事に気づく。


「やってくれるか?ロッソ」

「あ~いよっ!任せときなって!」


ロッソの二つ返事の快諾に周りも盛り上がった。




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