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名も無き傭兵の物語  作者: 塩田 剛
3/3

第2話 街へ・・・

お久しぶりです。最近とてつもなく忙しく小説を書くことすら出来ませんでした・・・。

なるべく隔週(かくしゅう)で書き上げる努力をしますので、

どうぞよろしくお願いします!


「奴隷か・・・」


彼は奴隷と言うものをよく知っている。奴隷は戦場でよく見たものだった。男は訓練もされずにただ、銃を持たされ戦場に連れて行かれた。

女は現地兵や雇われた傭兵などの慰み者にされていた。

ひどい時は使えなくなった奴隷に爆弾を括り付けて自爆なんてさせていた。


そしてそんな奴隷達のほとんどは薄汚く、目には生気も宿っていない。だが、彼女達はまるで真逆の存在だ。

だから、彼はかなり警戒していた。


(嘘が下手すぎる・・・。なぜ咄嗟(とっさ)に嘘をつく必要がある?もっとましな嘘があっただろうに・・・・・・)


仕方なく俺は彼女達を問い詰めることにした。


「嘘をつくな、奴隷ならそんなに身なりはしっかりしていないだろう。」


俺がそう言うと彼女達は顔を青ざめていた。


(やはりか、だとしたら何者だ?何の目的でこんな森に来るんだ?)


「お前達は何者だ?」


彼はあえてベレッタをしまい、右前肩に吊るしてあるI•Rナイフという特殊なナイフを取り出し

殺気を彼女達に飛ばしながら、ナイフをちらつかせた。


「ひっ!あ、あぁ・・・」


彼女達は彼の殺気に怯えきってしまって言葉を発しようにも発する事が出来なくなってしまった。


(怯え過ぎだろう・・・。話ができん)


俺はそう思いナイフは持ったまま、殺気を押し殺した。


「で?何者なんだ?」

「わ、私達はバルト公国の貴族です・・・・・。」

「貴族はまだわかるが、バルト公国だと?そんな国は聞いたことがない。」


俺がそう言うと彼女達は顔を見合わせ、はっという顔をして彼にこう言った。


「もしかしてあなたは、この世界の人間(・・・・・・・)でないのでは?」

「・・・なぜそう思う?」

「この世界の人間ならばバルト公国を知らない訳がないですから。」


内心、彼は混乱していた。見聞が広い人間である彼はバルト公国という国は聞いたことはない。

極めつけはこの世界の人間ではないということ。

薄々そんな予感していた彼は、運がない。と思う他なかったのだ。


(そうか・・・本当にここは違う世界なんだな・・・。だが、なんで俺が違う世界に来たんだ?死んだ人間をわざわざ・・・・)


何故この世界にいるのかを考えている彼の顔は(はた)から見ると仁王像の様になっていて、周りの空気が重くて仕方が無かった。


その空気が嫌だったのか娘?の方がこう言った。


「ね、ねえ、取り敢えず自己紹介でもしよう?助けてもらったのに名乗りもしないなんて失礼だよ。」

「・・・わかった。取り敢えずアンタから名乗ってくれ。」


俺は20代ほどの彼女を指した。


「はい、私はリリア•ローレンスと申します。」

「あたしはアルマ•サエンって言うの!よろしくね!それであなたは?」


(リリアにアルマな・・・それよりもなんて名乗るか・・・・・・)


彼は複数の仮名があり個名は無いのだ。民間軍事会社を蜂起(ほうき)してからは仲間達にボスやリーダーとしか呼ばれていなかった。


(さて、どうするか・・・。)


「どうしたの?もしかして名前教えたくないとか?」


とアルマが言ってきたので彼は名乗った。


「ジョン・・・」

「え?」

「ジョン・ドウだ。」

「よろしくね!ジョンさん!」

「よろしくお願いしますね、ジョン様。」


俺が咄嗟(とっさ)に名乗ったジョン・ドウとは

日本で言う、名無しの権兵衛のアメリカ版だ。


「敬語はやめろ。ケツがむず痒くなる・・・。アルマみたいに軽く接してくれ。」


リリアは優しく微笑み


「わかったわ、ジョンさん」


なんか犬を呼んでいるみたいだな・・・と思いながら俺は苦笑した。


「さて、自己紹介も終わった。さっきの話に戻ろう。」


俺がそう言うと彼女達は真面目な表情になったが

アルマが彼にこう言った。


「あのー、そのナイフしまってくれないかなぁ?って言ったら怒る?」

「怒りはしないが、ダメだ。俺はお前達を信用した訳じゃない。」

「うぅ、そうだよね、わかったよ・・・我慢するよ・・・・。」


アルマはしおらしくそう言った。


「ああ、我慢してくれ。」

「ジョンさん、あまりアルマを苛めないであげて。でもそのナイフは私も収めて欲しいわ。落ち着かないもの。」


ジョンは1つ大きなため息をつき


「わかったわかった。コイツは収める。だが、武器を持ってないと、ここでは何があるかわからないだろ?」


とジョンはナイフを収めて、ガリルを構えた。


「そうよね、最低限の武装は必要よね。」


(どのみち、ナイフは収めるつもりだったがな・・・)


「・・・ああ。取り敢えず、今はこの森から出たいんだが?道はわかるか?」


「ええ、このまま東の方角へ進むと街があるわ。」

「よし、この森から出るぞ。」

「わかった!」

「わかりました」


アルマは元気よく答え、リリアは上品に答えた。


(アルマは警戒心がまるで無いな、子犬みたいだ。リリアは隠しているつもりだろうが警戒しているな、まあ、それは俺も同じだがな・・・。)


俺は道すがらにあらゆる質問を彼女達にした。


まず、この世界の名前はアミスケルトだそうだ。

通貨の単位はベルカ。種類はと言うと、

鉄貨・銅貨・大銅貨・銀貨・大銀貨・金貨

大金貨・白金貨・帝王貨だそうだ、紙幣は無いらしい。

それぞれの通貨の値はと言うと・・・

――――――――――――――

鉄貨•1~10ベルカ

銅貨•10~100ベルカ

大銅貨•100~1000ベルカ

銀貨•1000~10,000ベルカ

大銀貨•10,000~1,000,000ベルカ

金貨•1,000,000〜10,000,000ベルカ

大金貨•10,000,000〜100,000,000ベルカ

白金貨•100,000,000〜1,000,000,000,000ベルカ

帝王貨•∞

――――――――――――――――――――――


なぜ帝王貨の値が∞なのかというと、この通貨には未だに解明なれていない金属が使われており

価値を決める事が出来ないからである。

もともとはある古代遺跡から発見されたそうだ。

さらに帝王貨は世界に2つしかないそうだ。


俺からすればそんなものを通貨として使うなと言いたい。


この世界は人間以外にも種族がいるらしく、

獣人族•エルフ•魔族•龍人族だそうだ。ちなみに人間の呼び方は人族だそうだ。

物語のように人間と魔族はいがみ合ってはいないそうだ。

大きな争い事はなく至って平和だそうだ。

この平和について言いたい事は山ほどあるが、

日記にでも書いておこう。


この世界の大陸についてだ。

主に4つに東西南北そしてその中央に1つという分かれ方をしている。

4つの大陸はユーラシア大陸より1回り大きいサイズだと考えていい。

それぞれの大陸の名前と主な種族の生活域は、


東•イーブン大陸:龍人族•人族

西•トーランス大陸:人族•エルフ

南•ゾーン大陸:獣人族•人族

北•ルブルム大陸:魔族•人族

中央•始祖大陸:不明


中央を抜かしほぼ全域に全種族はいるが、偏りがあり、特に多い種族を教えてもらった。

他の種族はその大陸の原住民と考えていい。ただ、人族は西にあるトーランス大陸にエルフ達と共存していた。そこから生活圏を増やしていった結果こうなったのだ。その間種族感で些細な争いはあったものの、きっちり和解をしているそうだ。


そして謎なのは中央の始祖大陸で霧の大陸とも呼ばれるそうだ。

この大陸は存在は確認されてはいるが霧のせいで見られる事も少なく、大陸に足を踏み入れた人は帰還していないそうだ。

故に、何があるのか、何がいるのかすら分からない。


いつか見てみたいものだ・・・。





彼と彼女達は質問と回答を繰り返しながも森の中を進み、大体の質問を終えた頃、森を出ることが出来た。


「案外、早めに出られたな。」


俺がそう言うとアルマは


「ジ、ジョンさん、た、体力どうなってるの?」


するとリリアも


「流石にペースが早すぎよ・・・。途中休憩を挟まずに進むなんて、まずありえないわよ?」


リリアに咎める様に言われた俺は


「ほう?別に付いて来なくても良かったんだぞ?お前は街までの道程を教えてくれたからな。」


「それが嘘だったってなったらどうするつもりだったの?」


アルマがそう言ったが彼女達は彼に付いて行くつもりで道を教えていたのと、彼自身もいくつか質問をさせろと言っていたので完全に自分の事を忘れている。


「その時はその時だ、いざとなったらこの森で生きる。」

「うわあ、ジョンさんって伝説の開拓者みたい!」


(開拓者?)


「・・・わかった、少しここで休憩しよう。その後、街に向かおう。」

「やったー!休憩だあー!少し寝るーっ!」

「アルマ!あなた一度寝たらなかなか起きないじゃない!」

「別にいいぞ、起きなかったら担いで運んでやろう。」


(アルマはまだ成長期に見えるからな、無理はさせたくはない。)


「それじゃあお言葉に甘えてっ!おやすみぃ・・・・」


(一瞬で寝やがったぞこいつ・・・)


「ちょっとアルマ!アルマっ!」

「いい、寝かせてやれ。」

「それはいいのだけれど、その・・・」

「なんだ?さっき言ってたなかなか起きないってやつか?」

「そうなの、本当になかなか起きないのよアルマは・・・・・」


(まあ、起きなかったら叩き起すだけだ。)


「ゆっくり休ませてやれ。」

「あら?少しじゃないのかしら?」


リリアがニヤニヤしながらこちらを見てそう言うので少し脅しをかけてやった。


「俺は今すぐにでも街に向かってもいいんだぞ?」

「じ、冗談よ、あなたならやりかねないから・・・流石に私だって辛いんだから・・・。」


実際、ジョンは本気でそう思っていたのだ。


「ふん、ならしっかり休むことだな。」


森を出るまでの会話の中で彼は彼女達への態度はかなり軟化していた。だが違う。一見、軟化したよに見えるが、それは状況に合わせているだけであり、彼の本心ではないのだ。


「お前も休め、長らく質問攻めだったしな。」

「それは私達も同じよ。助けてくれて本当にありがとう。それじゃあ、少しだけ休むわ・・・・・・・」


リリアはそう言ってアルマの横で寝息をたて始めた。


(よほど堪えていたか・・・常人にはキツかったか。少し反省をするか。)


彼はそんなことを考えつつも周りの哨戒(しょうかい)(おこた)らなかった。


(この後街へ行ってどうするか・・・。間違いなくコイツらは厄介ごとの種だ、街に行ったら適当に理由をつけて離れるとしようか。後はなるようになる。)


と以前の彼ならありえない思考になっているのだ。この世界に来て彼は自分は一度死んだ身なのだから後は好きにやろうと決めてしまったのである。


(さて、そろそろいいかね?コイツらを起こして街へ向かうとしよう。)


1時間ほど()ってジョンは彼女達を起こした。


「おい、起きろ!さっさと街へ行くぞ。」

「ん、んーッ・・・ありがとうジョン(・・・)、少し休めたわ。」


しかし、アルマそうはいかなかった。


「おい、起きろ!置いていくぞ?」

「アルマ!起きなさいってば!もう・・・!」


ジョンとリリアが2人掛りで起こそうとしても、アルマは全く起きる気配がなかった。


「仕方が無い、少しだけ俺が運ぶ・・・。街までどの位の距離だ?」

「ここからだとだいたい半日ぐらいね。」

「そんなところか・・・よし、街へ向かうとしよう。」


俺はアルマをおぶりながらリリアに道案内を任せ、街へと向かった・・・


(アルマは以外に重いな・・・。いい筋肉の付き方をしているな)


「ジョン?何をしているの?」

「いいや、なんでもない。さっさと行こう。」

「んふふ、あったかぁい・・・」


(こいつ寝言も言うのか・・・道中は飽きなさそうだな・・・。)

如何(いかが)でしたか?誤字や文法におかしな部分がありましたらごめんなさい・・・。


ではまた!

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