TOOL-01「旅立ち(前編)」
超ロボット先進国、日本。
人口とロボ口がぴったり同じで、ひとりがひとつ、パートナーロボットを持つ。それは工業用ロボットのこともあれば、ゲームAIの場合もある。そんなパートナーロボットの中でも、最も数が少なく、レアな種類がある。
ヒト酷似型。かつて空想の中で活躍した、人間そっくりなロボットである。コストが非常に高く、人間とほぼ同等の知能を持ち、一歩間違えれば大変な事態をもたらす。現在は、同型は一体たりとも存在せず、日本に100体しか存在しない。
子島ネジも、そんなレアなアンドロイドをパートナーに持つひとりだ。ただ……
「動いてくれよ!デジ公!」
製造から16年、一度も起動したことがないのだ。
「充電はマンタン、ICチップには異常なし、躯体は正常動作……。一体どうすれば起動してくれるんだよ。」
DEGI-001。それがネジのパートナーの型式番号だった。
同型はもちろん、派生躯体も存在しない、正真正銘のレアロボット。ただ、起動しなければ意味がない。
「しょうがない。また背負っていくか。」
ネジはDEGI-001(デジ公)にワイヤーでバッグにくくりつけた。不思議なことにこのDEGI-001は、驚く程に軽量な金属で出来ている。
「じゃ、いっくぜ!」
さっきまでDEGI-001をいじっていたガレージから、電動自転車に乗って、駆け出す。行く先は、彼が師と仰ぐ人物の元だ。