1、入学
「当主様から伝言を伝えに参りました。もう17になったのだから学園に入学して次期当主として顔を広めてほしいとおっしゃっています。強制ではありません。…もう一つ、学園には”彼”がいらっしゃいます。」
もう17なのか。もう狐の次期当主として頑張らないととは思う。
「承知しましたと当主様にお伝えください。」
「そのようにお伝えしますね。では失礼します」
執事は心配そうな目をしながら、部屋を出て行った。
なんとなく、屋根の上にいって月を見る。今日は満月だ。すると肩に狐の聖獣が現れた。
「なんか学園?に入学すんの?」
「うん。逃げてばっかじゃいられないことくらいわかってたからさ。これからはってことで。」
「そんな心配せんでも大丈夫やろ。顔が不安でいっぱいってゆっとる。まだまだ子供やなぁ。」
「ハハ、まあそうだね。ゴンは年寄りだもんね。」
「年寄りってのは風化したもんのことを言うねん。俺はまだまだいけてるだろ。」
不安も心配も消えて、ただ自分のためだけにそしてゴンのために生きていくことを決心した。
朝起きると、あの日を思い出す。小さい頃、よく遊んでいた”彼”が私を崖から突き落としたあの日。当主様はわざわざ彼がいることを言ってくださっていた。…あの日死にかけてから、当主様は厳しくなりもうお母さまなんて呼べる年でもなくなってしまったな。
今日は入学式で、当日個人で順位が発表された後レベルごとにクラスが分かれ、教室に向かって説明を受ける。正直、順位はどうでもいい。…どうでもいいなんていっちゃだめか。けど、特にテスト勉強もしてないし、いつも通り任務をしてたし…待てよ狐の家門って洋風で言えば公爵に近い権力を持ってるよね。もしかして中間ぐらいならともかく低かったらやばくない?待って何といたかすらもどうでもよすぎて覚えてない(汗)なんで今まで思い出さなかったんだろう。全身から冷汗が出てくる。やばいめっちゃ焦ってきた。式場では校長やら在校生首席やらが話していた。長い。…待ってこの人なんか見たことあるな…そう思い睨みつけていたら、こっちを見てきた。わあイケメンだー。驚いたかと思えば、睨みつけてきた。いや何。そして誰。あの日以降こっち関係の人と会ってないからわからん。なんなら執事としか会ってないかも。…思えばあの日から12年もたったのか。感傷に浸っていたらもう入学式は終わり、ひとりひとり電子機器が配られた。名前を入力すると、自分の順位を見ますか?と出てきた。いや、もう過ぎたことだ。渋っても変わらない。なかばそう言い聞かせてはいを押した。
「え」
声が出た。…いや待ってどゆこと。全体公開は十日後か。ならまだ大丈夫だ。うちの情緒は。一回深呼吸してからもう一度見る。そこには一次試験一位、二次試験百位と書かれていた。全校生徒が百人。
前代未聞だと思う。一次試験を最高記録全教科満点で合格したのに、二次試験が百点中たったの二点。最終試験はまたまた満点。あ一次試験が筆記九教科で、二次試験が個人面接、最終試験が能力テストです。
さて学校はうちをどのクラスにしたんだろう。クラスを見ますか?と出てきたので、勢いで押して電源のボタンを押してしまった。おっと、見たくないな。画面を睨みつけていると、
「クラスは確認しましたか?ではマップを配りますので、一分以内に教室の席についてください。席は指定で黒板に書かれています。ではレッツゴー!」
「えー--!!」
生徒たちは叫んだ。当然だ。マップを見れば、ここは体育館、東の端のほう。教室は西の端のほうにあるのだから。高速移動理論か瞬間移動理論を使えということだろう。初日だから、試しだとは思うけど、ハードだなぁ。どうせだし、5クラス全部回って黒板を見て自分を探そう。楽しそうだから。
一足先にマップを見て座標を割り出し一番下のクラスから瞬間移動する。Eクラスは誰もおらず、名前もない。次。Dクラスにも誰もおらす、名前もない。Cクラスは一人めっちゃ美人な子がいた。セイレーンかな。ここにも名前はない。次。Bクラスは5人くらいいた。名前は…ない。となると残りはAクラス。移動すると、ほぼ全員いて、うちが最後だったみたいだ。そして、彼もいた。少し、気分が高ぶっている。
心臓がうるさい。席は窓側最後列だった。歩くのも面倒なので、瞬間移動して座る。見るからに美男美女上級貴族ぞろいで全員見たことのある顔だ。うちのことを覚えてるのは彼と志季くらいだろうけど。
先生が入ってくる。女の先生で研究者っぽい姿をしている。
「えー、Aクラスの担任で理科全般を担当する迫鳥です。今から学校の生徒手帳を配ります。はいしっかり見てください。タブレットのほうでアンケートがあるのでお願いします。」
「あ寮はAクラスはひとりひとり部屋が与えられるので、カギとカードキーを渡します。あとWiFiのパスワードをそれぞれのタブレットに送ります。」
ひとりひとり渡されているのでその間にアンケートをパパっと終わらす。まだ先生は来ていなかったので明日の予定を見る。明日は召喚の授業があるみたいだ。来週には召喚獣を使役するみたい。上位貴族はすでにできている人が多いし、うちもその一人だから正直退屈そう。そう思った矢先、その下にAクラスは召喚の授業は理論の説明だけで召喚はしないらしい。あとは応用や歴史と混ぜて勉強するみたいだ。
「御狐、はいこれ。」
渡されたカギとカードキーを受け取ろうとした瞬間霊力が触れ反発しててをはなした。先生の顔を見ると術にかけられているみたいだ。さっきはなかった。あの日のことが蘇ってきて、いやな気持になる。彼はうちをまだ何か仕掛けてこようとしてるのか。本当にあきれる。あいつは本当にお貴族様だ。
「先生、少し失礼します。」
そういって術式を解くために触れる。霊力が反発して結構いたい。解き終わって、先生は少し不思議そうにしていたが、よくあることなのか、全員に配って「今日はこれで終わりです。部屋に戻って家具などを置く時間にしてください。」と出て行った。
志季とは喋りたいけど、今日は危ないからやめとこう。座標を特定して自分の部屋に瞬間移動する。
広めの部屋かな。とりあえず、収納の魔術でしまっていた、家具などを出していい感じに並べていく。
「これで、いいか。疲れたー」
ベッドにダイブする。制服のままとか嫌だけど今日だけ。本当に疲れた。
「あー任務しないと。」
書類今日は三十分で終わらすぞー、なんか燃えてきた。
能力もふんだんに使って書類を片付けていく。そして瞬間移動させて当主に届ける。
「よし、あとは新しい事業案でも考えながら、風呂はいろー」
そして、風呂場で寝てしまい、風が寒かった。ゴンの目も寒かった。うるさい。




