12.仲間
俺は無事に食事を終えた。
やはり美味かった。魔物なんかは比にならないほどの味だ。クセになってしまいそうだが、理性でなんとか持ちこたえる。
「捕食」することによってもちろんスキルを得ることはできたが、今回はもう一つ新しいものが追加された。
『スキル「死霊魔法・極」が更新されました。ゾンビ・ウルフェンが召喚できるようになりました。ゾンビ・リーシェンが召喚できるようになりました。』
なるほど、さすがはダンジョンボスのユニークスキルだ。ある程度強い魔物や人間を食うと、この「死霊魔法・極」で使役できるようになるようだった。これはかなり使えるな。
「2人とも、もう終わったからこっち見ていいぞ。」
先程仲間?となった奴隷2人に声をかける。
「.....ウス....!?」
「......!?」
2人とも正面を向いて驚いた顔をした。無くなった2つの死体、口元を血で汚し、2人の骨を持っている俺、そりゃ初めて見たら誰だって驚くよな。
「.....あぁ、すまん、これが俺のスキル「捕食」なんだ。対象を食うことでその力を得られる....的な?まぁ、覚えててくれ。」
2人は無言でうなずく。噂には聞いていたが、この世界の奴隷は反抗した時のペナルティがきつすぎてかなり従順らしい。本当だったんだな、あれ。
「これから俺は一度街に戻ってからまたダンジョンに行く予定だが、俺を主人としてついていくのは問題ないか?嫌なら言ってくれ。俺が腕輪をしてるとはいえ、今出会ったばかりだし目の前で主人を殺した蛮族だ。一度腕輪を外して話そう。」
俺は一度腕輪を外し、2人に問いを投げかけた。
「....元主人、ウルフェンは俺たちを物のように扱い、そっちの子に関しては....まぁ言いたくもないような行為もしていた。奴隷の身でこんなことを言うのはおかしいとは理解しているが、貴方には感謝をしている。俺は貴方についていってもいいと思っている。本心だ。」
結構喋れるんだな。
「......私もついてく。」
横の猫耳娘が初めて口を開いた。
「.....わかった。ありがとう2人とも。主人と奴隷という奇妙な関係ではあるが、宜しく頼む。俺はリンド・アルターヤだ。....えっと、2人とも名前を教えてくれるか?」
俺は再び腕輪をして、2人に自己紹介をした。
「....リンド様、俺は前主人より名を与えられておりません。」
「....私も。」
「.....マジか」
2人とも名無しだった。奴隷を物のように扱うとか言ってたな....つくづく救いようのないやつだったな。
「わかった。俺が名をつけよう。お前は「ダイダラ」、お前は「エルニャ」だ。いいな?」
俺はなんとなくの雰囲気で名付けた。
「....!!かしこまりました。このダイダラ、リンド様の為にこの命を捧げます。」
「....!!捧げます。」
名付けというのがかなり嬉しかったのか、2人して膝をついて俺に頭を下げた。この時は大げさだな、と思っていたが後から聞いた話によると奴隷への名付けは対等に人間として扱うという奴隷にとってこれ以上ない名誉なのだとか。色々と難しいな。まぁ何はともあれ優秀そうな仲間を一気に2人も手に入れた。
帰り道で2人に自分のこれまでの人生やこれからの目的を話していた。これから人生を共にする仲間だ。やることは伝えておかなくては。
「....そんなこんなで俺は元仲間を殺し、国王を殺す。それが俺の旅の目的だ。どうだ?おかしい人間だと思ったか?」
「....いえ、もともとこの奴隷制度を作ったのも現国王・アダムス=ユングベリです。奴隷は皆、彼を良く思っておりません。....もちろん俺もです。」
「....私も、あいつ、嫌い。」
どうやら奴隷はあの国王を嫌っているようだ。本当に好都合というか、やはり性根が腐っているやつはいたるところに敵を作っているのだな、と笑ってしまった。
「よし...誰かに復讐を手伝ってもらおうと考えたことはなかったが、俺と共にこの復讐を成し遂げてくれるか?」
「...仰せのままに。」
「...ままに。」
道中魔物をいくつか倒してもらったが、結論から言うと2人とも物凄く強かった。ガルガンとナスタと比べてもどっこいどっこいくらいの強さをしている。これはかなりの戦力だ。特にダイダラのスキル、「完全なる肉体」は一定時間全くダメージを受けないというチート性能。俺は魔物を蹂躙する2人を見てニヤリと笑った。
さて、まずはギルドに戻って色々報告だな。
無事レアリアに戻った俺は、ライオからもらったペンダントで難なく門を突破し、ギルドに入っていった。
「おぉ、戻ってきたかリンド....って、ずいぶんと大きな成果を手に入れたみたいだな。」
ライオは俺と連れてる奴隷を見て苦笑いを浮かべたが、深く聞こうとはしなかった。本当に気が利くなこいつは。
「あぁ、これ、「賢王の王冠」だ。ちゃんと攻略はしたぞ。それからこれから俺と行動を共にする「ダイダラ」と「エルニャ」だ。よろしく頼む。」
俺が紹介すると、2人とも深々とお辞儀した。
「おぉ!お前の底知れない魔力からまさかと思ったが....本当に攻略しちまうとはな!!お前を引き入れた俺の目は正しかったわけだな!!これからもよろしく頼むよ、もちろん三人ともな!」
ライオはウルドよりも早くダンジョン攻略ができた、と上機嫌だった。俺はダンジョンで得たゾンビの肉や骸骨騎士の骨をギルドで換金し、宿を探そうとした。
「リンドさん!!ちょっと待ってください!!ギルド長からこれを渡すように頼まれたのでお渡しします!!」
受付嬢がこちらに走ってくる。
「ん?封書か?なんなんだこれ?」
「すみません!私も中身は聞いてなくて....まぁでもきっと悪いものではないと思います!!それでは!!」
そういうとカウンターに戻っていった。
ライオからの封書を開けてみると、ギルド管轄の賃貸の契約書と部屋の鍵だった。
「仲間が増えたんだ、宿じゃ狭いだろう。2人パーティ用の部屋しか空いてなかったが、貸してやるよ。初期費用はさっきのダンジョン換金のときにもらっといたからよ。鍵も入ってるから無くすなよ。 ライオ」
まじでなんて尽くしてくれるやつなんだよ。確かに宿どうしようかと困っていたが、ここまでしてくれると怖くなってくる。
一緒に入っていた地図を頼りに向かうと、レアリアの中央街から少し歩いたところにある、そこそこ新しそうな家に辿り着いた。
「まじかよ、平屋だが、一軒家タイプか。本当に至れり尽くせりだな...。」
確かに広いとは言えないが、小奇麗でいい感じの家を手に入れたのだった。
中にはすでに家具一式が揃っており、ベッドは1人用が1つ、2人は寝れそうな大き目のベッドが1つ置いてある。
「悪いがお前らは大きい方を2人で使ってくれ、俺は一人で寝たいからさ。」
「....ベッドで寝かせていただけるだけで光栄です。ありがとうございます。」
「....ベッド、嬉しい。」
嫌がるかと思ったが、今までどんな場所で寝かされていたのか、想像するだけで嫌気が差す。
気づけば夜。ダンジョンの疲れと、新居のベッドの寝やすさからか、俺は久しぶりにまともに眠りについた。
しかしそんな時、俺のベッドがモゾモゾ動く感覚がした。そして急に俺のズボンが脱がされた。
「はっ!?何をしている!?」
見ると俺の股間にエルニャがいた。
「....男はこうすると喜ぶって...。」
ウルフェンは恋人のリーシェンがいながらも、エルニャに手を出していた。寒気がしてならない。
「....これをしたら殴られずに済んだ。だから....。」
そうか、トラウマみたいになってしまっているんだろう。
「別に俺は殴ったりしないぞ?お前たちは俺の復讐を手伝ってくれる大切な戦力であり仲間なんだ。傷つけたり、そういうことは絶対にしない。」
俺は諭す。
「....ありがとうご主人様。」
泣きそうな顔のエルニャの頭を撫でた。
こういう理不尽が横行しているこの世界。
やはり根本から変えないといけないらしい。
待っていろカス共。全員食い殺してやるからな。
ようやく仲間というものを書いてみました。
会話のテンポなど、頑張って書いていきます!!




