本当のエピローグ
夢の同棲生活と言えば聞こえは良いけど、実際は大変なことばかりだ。
家事の分担は難航を極めた。特に掃除だ。
裕樹は片付けがまったくできない。
やりたいことに全力な彼は、部屋で絵の具を散らかしてそのままにしていることが多い。
共有スペースに絵の具を持ち込まないでと何度も言及しても、直らなかったりする。
私も私で、書き散らした資料を片付けなかったりするのであまり強くは言えない。
特に自分に注意されるとなんだか無性に腹が立つ。
でも私も彼女の散らかり具合をよく注意する。
自分のことはできないのに、他人のことだとよく目に付く。元は同じ自分なのに、不思議なものだ。
最近はちょっとずつ違いが出るようになってきたので、話し相手としてかなりおもしろい。
もともと自分だから話が合うけど、他者として実際に言われると別の自分がひょっこり出てくるのだ。
それが妙におもしろい。小説を書いてるときと感覚が似ている。
自己との対話とはまた別の……。なんて言ったら良いんだろう。小説書いてるのにわからない。
結局、二人とも改名して戸籍も変更した。
呼び名が同じなのは生活する上で不便だったし、どちらかが名前を変えないのも禍根が残るので、どちらも変えることにしたのだ。
名前のアイデアを出すとき、何度か同じ名前を同時に出したのは良い思い出話だ。
お母さんについては双子を育てたという形にしてもらった。
記憶も全部書き換えてしまうのだから、やはり世界線を司る機関の力は凄まじい。
裕樹はもう退職したので関係ないけどね。
私達の記憶は残してもらった。世界を救った実績があるから無下にはできないらしい。
本当によかったと思う。
「じゃあ、行ってきます」
三人一緒に大学へ登校する。
裕樹は芸術系の大学に行くから、途中で別れるけど私達は同じ大学だ。瓜二つなので双子と同じ扱いになっている。
鍵を閉めるのは私が担当になった。三人共持っているけど、なんとなくそうなったのだ。
これからどんなことが起きても、大丈夫。とまでは思わないけど。
とりあえず明日はある。私に関係なく世界はちゃんと続く。
嫌いなことが起きても、三人でお互いに頭を下げながら頑張るんだと思う。
私はそう確信してる。
これにて完結です。
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