第42話 復讐!蛇人族との決戦・中編
「冒険者の皆様、ケイとクルレンが持ち帰った手がかりによると、蛇人族の毒牙は既に聖マゴフ城の郊外まで広がっています。」
ギルド会長ロバート・バーツビーは、拡声器のような魔法道具を手に片手で腰を支えながら講壇を移動し、顔をしかめて現状の深刻さを語り始めた。
「異民族の脅威を駆除するため、今回の作戦には元清川小隊のメンバーが全力で協力してくれます。」
彼の下瞼から思わず投げかけられる羨望の視線が、前列に座る元清川や村上幸たちに集まった。しかし彼が視線をそらした瞬間、村上幸が手で口元を隠しながら小さな声で囁いていることには気づかなかった。
「俺、臨時だよ~。蛇人族を倒したら、また一人旅に戻るつもり。」
「だって…彼のそばにいると、変に落ち着かないの。」
村上幸は腕を組み、親指を下顎に軽く当て、月牙のように細めた目で不自然に元清川の横顔を彷徨わせた。
「あいつ、廃ってるの?それとも俺が甘すぎる?」
「次は、ギルドの偵察隊長ケイ・ロビンソンを登壇していただき、蛇人族の拠点を発見した当時の詳細を報告していただきます。」
ロバートは閉じた手のひらを、宙に浮いた腕の曲がりに沿ってゆっくりと下ろした。その動作はまるで天宮で織られた真紅の絹のように優雅で、銀河から流れ出る最も純粋な星砂を摘み取り、大地の母神の優しい指先でそっと広げられたかのようだった。
「え…俺?」
急に焦点を当てられたケイは周囲を慌てて見回した。柔らかく美しい視線が春の水のように押し寄せてくる中、彼は必死に手を振り、頭をブンブンと振った。その様子を見たロバートの背後にいたソフィは、思わず口元を手で覆い、涙がすでにかわいらしい頬を伝って流れ落ちていた。
「初めて見るわ…こんなに慌てるケイ。」
「会長、俺には無理ですよ。大勢の前で話すの、最も苦手なんです。俺のこと、分かってくれてたでしょ?」
ケイは長い間ため込んだ言葉を、ようやく喉から絞り出すようにして吐き出した。それぞれの言葉が「バン」と地面に叩きつけられるような重みで、待ち構える風に乗って細かい砂塵を舞い上がらせた。しかし濃厚な下手さが交わる焦った表情は、まるで自然の夜空に投影されるスライドショーのように青白く移り変わり、斑模様の光を投げかけていた。その瞬間、彼の視線はふとクルレンが笑いをこらえて大きく揺れる背中に留まり、すぐに指先を毒を塗った短剣のように鋭く立て、小山のように汚れを振り落とす男を指さした。
「会長、蛇人族の情報を説明するなら、クルレンの方が詳しいですよ。」
語り終わるや、彼は目を斜めにして顔色を乱したクルレンを見つめ、目尻の余光がクルレンの硬直した首筋を正確に捉えた。上昇する口角から甘い風の息がそよぎ過ぎ、ケイの唇元にはかすかに忍び笑いが浮かんだ。
「だから俺が推薦する。俺の代わりに皆に報告してもらおう。」
狡知の笑みの中で、ケイは真夜を突き破る月読の梟のように変貌した。舌先が唇の周りを貪るように舐める。
「だって、あの時彼は俺の制止を聞かずに憤然と蛇人族の洞窟に突入した。形勢が急変しなければ、彼一人であの拠点の蛇人を全滅させられたんだ。」
「ケイ、お前、まさか俺を裏切るなんて。」
クルレンは轟音を上げ、体の圧倒的な優位性を利用して、尾端に炎を燃やす怒りの雄獅のように人群の中を突き進んだ。鉄のような体が混雑の中で血生臭い風の道を切り開き——開かれた五指が虚空を引き裂く鋭い爪のように変わり、ケイの腕をつかみ、袖の皺に指先を突き刺した。顔を寄せて低吼する息吹が熱く巻き上がる。
「帰り道に、この件は口にしないって約束したじゃないか! 会長からの仕事を逃げるために俺を盾にするなんて、義理を踏むなんて…!」
元々轟々とした会場は、クルレンの荒々しい言葉が地面に叩きつけられると、一時的に静寂に包まれた。光と影が震え、見物人たちは疾走する野馬のように揺れ動く芝生を駆け抜け、広大な星海に流れ込む砂粒のように次々と退散した。講壇に立つロバートは、騒ぎの中できらめく光の破片を鋭い視線で貫き、眉間の溝がますます深くなり、指先が無意識に講壇を叩いた。
「こいつら、本当に乱暴だな。」
そして横目で口を手で覆い笑うソフィを見つめ、背中に隠した五指が空気中でゆったりと点触し、まるで混沌の中で生まれた賛歌を弾いているかのようだった。
「もういい! お前ら二人、何を戯れている? すぐに一緒に壇上に上がれ!」
ロバートの一喝が会場に響き渡ると、指先が講壇を叩くリズムが急に速くなった。頭上に浮かぶ真夏の日差しが、命令を受けたかのように収縮し、全員の視線を二人に釘付けにした。
「あ…」
この一喝が雷鳴のように会場を揺るがす中、クルレンは喉を絞められた猛獣のように、顔色を変えたケイと額をぶつけた。目が合った瞬間、二人は空っぽの氷の洞窟に落ちたように瞳を縮め、木々の揺れる音とともに喉元からかすかな悲鳴を漏らした。
そして、ギルド会長ロバート・バーツビーの圧倒的な威厳によって、蛇人族との戦前報告は、重々しい沈黙の中でゆっくりと幕を閉じた。
ケイの詳細な説明によると、狡猾な蛇人族は城郊外の暗い密林の奥深くに巣を作っていた。血の匂いに敏感な彼らの天性から、陰湿で冷たい場所を好み、長年不気味な陰影に覆われたこの森は、誰もが近づかない禁地となっていた。まさにこの自然が作り出した目に見えない屏障こそが、蛇人族の邪悪な企みを人々の視線から隠し続けてきたのだ——その脅威は、毒蛇の牙のように、今や人類の震える喉元に忍び寄っていた。
「作戦は明日の午後に決行する。今日中に十分な準備を整えてほしい。」
ロバートは五指を広げ、鉄のような掌印を講壇に叩きつけた。轟音が天を駆け抜け、青空に雲の渦を巻き起こし、音波が刃のように空を切り裂き、九天の彼方にまで響き渡った。
彼の目は炎を纏う松明のように燃え、低い声は浅草寺の梵鐘のように重々と響いた。
「明日の一戦で、我々は蛇人族の潜む毒牙を完全に断ち切り、潜む陰を払いのける! 鉄の意志と肉体で、この町の繁栄と安寧を守る! 光を永遠に輝かせ、暗い流れが侵食することを許さない!」
「はい!」
会場の全員が一斉に応え、声の波が雷鳴のように空を駆け抜け、天蓋の雲霞を揺らし始めた。瞬く間に、無数の熾烈な光の束が雲間から噴き出し、銀白色の壮大な流れとなって、荘厳な会場を神聖な霞光に包み込んだ。それぞれの光の筋は、無言の誓いを語るかのように、死守の決意を揺さぶっていた。
会場を出た元清川たちはギルドに戻り、階段に足をかける前に、林文がそっとソフィの耳元に寄り添い、低い声で囁いた。
「ソフィ、清川の様子、変じゃない?」
おじいさんの葬式が終わってから、林文とソフィの間にあった見えない壁が、ようやく微かな亀裂を入れ始めた。おそらく林文の蔓のように執拗な執着のおかげで、心優しいソフィはついにその重い死寂の上に、薄い霜のようなため息を重ねることしかできず、仕方なく林文の感情を受け入れたが、「友達」という境界線に縛り付けていた。
ソフィは顔を横に向け、林文をちらりと見つめ、目に一筋の諦めを浮かべた後、ゆっくりとカウンターに戻った。腰をかがめて布を取り出し、表面を優しく拭く動作は、水のように落ち着いていた。
「君、本当に鈍いわね。今更気づくなんて?」
言葉が落ちるや、彼女はため息をつき、先程の白目がさらに深くなり、眉間に疲れの色が滲み始めた。
「この世に、プラスチックのように見かけは丈夫そうで実は脆い友情なんて、本当にあるのね。」
「メドゥーサと関係あるの? 彼女、二日も帰ってこない…」
林文はカウンターにもたれかかり、指の関節を不気味な暗号を叩くように、時に重く時に軽く木の縁をたたいた。清らかな音が静けさの中で無形のリズムを織り上げていた。しかし彼は、自分が独り言を呟いている間に、ソフィのピンク色の頬にすでに恐ろしい驚きが凝固していることに気づかなかった——その表情は、まるで急に底なしの淵に投げ込まれたかのようで、果てしない落下の中で、死すら救いの希望になるほどだった。額に冷や汗が氷の棒のようににじみ、乱れた髪の毛を伝って流れ落ち、血色を失った唇が震えていた。
「もしかして…メドゥーサって本当に人間じゃないの?」
「そうだけど、彼女は俺たちの大切な仲間だわ。」
林文は急にいつもの軽はずみを捨て、眉を刀で刻むように鋭く上げ、瞳をソフィの動揺する顔に重ねた。
「俺たちが絶体絶命の時さえ、彼女は命を賭して魔王の封印を破る衝撃を遮り、再生の魔手を握り潰したのよ。」
言い終わると、彼の指先は薄い霜を撫でるように、ソフィの冷たい頬にそっと触れ、耳の輪郭を優しく撫でながら乱れた髪を耳の後ろに整えた。その温かい触れ方は、まるで隠れた電流のようで、ソフィの頬に急に驚きの赤みが広がり、耳の先まで熱くなった。
「だから…彼女を受け入れて欲しいの。」
「私、メドゥーサを排斥したことなんて一度もないわよ。」
ソフィは急に手を振り払い、怒りが溶岩のように湧き上がり、赤みが彼女の頬を一気に染め上げた。まるで肌の下で炎が走り抜けているかのようだった。彼女の目は鋭く光り、声は氷で研いだ刃のように冷たかった。
「そもそも、ギルドには獣族の冒険者もたくさんいるわ。種族の違いで偏見を持つなんて、私にはできない。本当に偏見があるなら、彼らがギルドに入った瞬間に立ち去っていたはずよ。今更…」
言葉が落ちるや、彼女の眉はわずかに上がり、誇り高い雰囲気が漂い、全身の気配が霜のように冷たくなった。その赤みが一層際立ち、すべての疑念を焼き尽くそうとしていた。
「私もメドゥーサに会いたいな…」
その低い声は、雫が湖に落ちるように、水面に小さな波紋を広げた瞬間、林文はすでに階段を上り始めていた。彫刻の施された欄干に寄りかかり、目線を糸のようにソフィに絡めた——彼女の頬にはまだ褪せない赤みが残り、夕日に熨斗をかけた雲のように、暮れかけた空に固執して浮かんでいた。
「客室に戻って休むよ。」
言葉が落ちるや、彼は欄干の蛇の彫刻を撫でた。指先が触れた木目が、まるで目覚めるように淡い光を放った。その背中は風に押されるように階段を駆け上がり、ソフィはその姿が角を曲がるまで見送り、胸に羽根が落ちたような小さな波紋を広げた。
「明日は、必ず無事に帰ってきて…」
客室に入ると、村上幸は林文の晴れやかな表情をにらみつけた。杯の耳元に指を当てる力は、まるで無形の感情を固めようとしていた。指を離す瞬間、杯の耳に刻まれた「吞日紅蛇」の模様が、まるで魂を吹き込まれたかのように鱗を広げ、赤い瞳を燃やし、次の瞬間には杯から飛び出して光の中で赤い嵐を踊るかのようだった。彼は鶴のように優雅に杯を傾け、液体を喉に流し込んだが、流れる視線は鋭く元清川の頬を刺した——元清川の視線が杯の蛇の模様に触れた瞬間、村上幸ははっきりと見た。彼の瞳の奥に、重たい感情が波紋を広げるように揺れ動いたのだ。村上幸は杯を机に置き、麦酒が杯壁で揺れ、麦の穂のような模様を描いた。そして元清川にそっと寄り添い、酒の香りを纏った低い声で囁いた。
「彼女、元気になった? そう思ってるんだろ?」
尾音は鉤のように、元清川の心の弦を軽く叩いた。
元清川は否定の言葉を喉に上げたが、まるで無形の糸で喉を縛られたように止まった。喉仏が微かに震え、杯の縁に触れた指先が震えながら上がろうとしたが、結局空に浮かんだまま固まった。その時、扉がそっと開き、エミリーが雪解けの陽射しのような笑みを浮かべて入ってきた。眉を軽く上げ、瞳には粼粼と光が揺れ、まるで戸外の澄んだ空気を連れてきたかのようだった。
「白雪ちゃん…ついに食事をとったの。」
その声は玉のように、部屋の重い空気に落ちた。言葉が終わらないうちに、扉から漏れる夕暮れの光が、まるで流れる薄紗のように皆の肩にそっと覆いかぶさった。村上幸の杯の縁に置かれた指先は急に止まり、杯の中の麦酒の揺れが止まり、波紋が琥珀のように固まった。元清川の半空に浮かんだ指先は、ゆっくりと曲がり、杯の縁に淡い白い跡を残した——その言い出せなかった否定は、この突然の知らせと共に、心の湖底に沈み、小さな波紋を広げた。
「今、残るのはメドゥーサお姉ちゃんを連れ戻すことだけ!」
木村洋介は鯉が跳ね上がるように急に布団から飛び起き、大股で机のそばまで歩み寄り、林文が注いだばかりのお茶の杯をひったくった。熱いお茶が杯の壁で細かい波紋を立て、彼はにっこりと笑いながら林文をにらみ、舌先を歯の間からいたずらっ子のように突き出した。そしてすぐに元清川のそばにしゃがみ込み、肘を元清川の肩に軽く当て、瞳に星のような期待を輝かせた。
「兄ちゃん、今すぐ出かけてメドゥーサお姉ちゃんを迎えに行かない??」
言葉が落ちるや、彼の指先は杯の縁をぐるぐると描き始めた。お茶が揺れる中、頬に浮かぶ興奮の赤みが、部屋全体の蝋燭の光を踊る霞のように染め上げた。
エミリーは蓮の花のような軽やかな足取りで、月の光を踏み砕くように元清川の元へと近づいた。スカートの裾が地面を撫で、かすかな草木の香りを漂わせた。彼女はしゃがみ込み、窓から漏れる暁の光に照らされた顔は柔らかい金色に輝き、春の水で洗われた琥珀のような瞳が、まるで砕けた星屑を飲み込んだかのように輝いていた。睫毛が蝶の羽根のように震え、唇に新雪が溶けるような笑みを浮かべ、風鈴のように清らかな声で囁いた。
「行きましょう、メドゥーサを連れ戻しに。」
言葉が終わるや、彼女の指先は思わずスカートの裾を握りしめ、指節が力を入れて淡いピンクに染まった。まるで呼吸すら期待の光を帯び、客室全体を蜜のように濃厚な期待で満たした。
「これでいいの…?」
元清川はゆっくりと顔を上げ、目を細めて林文たちを見渡した。その視線はまるで垂れた柳の糸を梳かすように、重なる心の霧を透き抜け、最終的にクルレンの顔に留まった——そのにっこりとした笑顔は山間の雪解け水のように澄みきっており、石垣を伝って流れる銀の光のように晨光に輝いていた。しかし元清川自身の握りしめた拳は微かに震え、指節が袖の中で青白くなり、袖から垂れる房飾りまで細かい波紋を立てていた。喉に千鈞の重みを感じながらも、ついには微かに震えるため息となって漏れ出した。
「僕は…本当に、皆さんの信頼を受ける資格があるのか?」
言葉が落ちるや、蝋燭の光が彼の瞳を揺らし、心の中の不安と期待を一緒に砕き、部屋中に舞い上がる塵のように散らばった。
「俺を見ないで。俺はただ一時的に皆さんに加わっただけなの。」
村上幸の言葉が落ちるや否や、その姿は「ヒュッ」と弾き飛ばすように急に動き出した。木製の杯の耳を軽くつまみ、旋回する際に衣の裾が舞い上がり、風に巻き上げられた楓の葉のように軽やかに元清川の追跡の視線をかわした。杯の中の麦酒はその動作に合わせて微かに揺れ、飛び散る小さな波紋が蝋燭の光に照らされ、まるで彼の眉間に漂うかすかな疎外感さえも、光と影の中で細かな星屑に砕け散っていくかのようだった。
林文はゆっくりと元清川のそばに歩み寄り、足取りは秋の露に濡れた枯れ葉を踏むような細かい音を立てた。立ち止まり、袖から垂れる房飾りが呼吸とともに軽く震え、蝋燭の光が彼の瞳に揺れる影を落とした。やがて、彼は口を開いた。声は冷たい泉を浸した玉のように清々しく、確かな響きを帯びていた。
「ケイはすでにメドゥーサの居場所を突き止めた。彼女はまだこの町のどこかに留まり、去っていない。」
言葉が終わるや、彼は自然と元清川の震える腕を握り、指にはめられた指輪が淡い白光を放ち、眠っていた鋭さが心の奥底で揺れる暗流と共鳴しているかのようだった。その重厚な沈黙が客室全体を覆い込んだ。
その時、エミリーの春の日差しのように温かい手が、彼の霜のように冷たい手のひらにそっと重ねられた。その温もりは、夜明けの光のように彼の指先の冷たさを溶かし始めた。彼女は顔を上げ、瞳に粼粼と光る春の川のような輝きを宿し、柔らかい声で囁いた。
「私たちは一度もあなたを疑ったことはありません。メドゥーサがどこかの片隅で、私たちを待っていることを信じています。」
元清川の喉が微かに震え、目を垂らして重ねた手を見つめた——その温もりが少しずつ彼の氷結した血管に染み込んでいく。やがて、彼は深く息を吸い込み、安心したように大きく頷いた。下顎に張り詰めていた線が徐々に柔らかくなり、蝋燭の光が二人の重ねた手に揺れ、二つの影が暖かい金色の光に包まれて溶け合った。まるで空気中に凝縮されていた霜さえも、この無言の信頼の中で静かに消え、部屋全体を優しい暖流が包み込むようになった。
『思い出の中で、六月の新竹の海岸は、砕銀のようにきらめく波が立ち、日の出の時分…当時の気持ちは、喜びで、忘れられないもので、別れは心を抉るような痛みだった。』