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18/21

18.進路について

アラン・ギィズリードは自分の前世が日本の男子高生・新妻亜嵐だったこと、この世界が乙女ゲーム『おとせか』こと『聖女おとめは世界樹の花を咲かせる』の世界であったことを思い出した。


明日は悪役令嬢との婚約を破棄し、聖女との婚約を発表する断罪イベント。


だがアランの推しは悪役令嬢の兄なのだ。


アランは推しを幸せにするため、そして自分も幸せになるために奮闘する!


「本日は足元の悪い中、ご足労いただき…」

「どうしたのアラン。そんなにカチコチになって」

「えっと…」


だって、なんだか久しぶりで。

一時期は毎日のように見た顔で、毎日見ても顔が良いな~なんて思っていたが、久しぶりに会うとやっぱりその顔の良さに打ちのめされる。

眩しくて目が開けられないが、俺はめちゃくちゃ頑張って平静を装っていた。


*進路について


俺はバレリアナの助言通り、ロディに手紙を書いた。

まずは看病のお礼。それから、改めてわが家に招待して、直接お礼を伝えさせてほしいと。


返事はすぐに届き、週末ロディがギィズリード家に来ることになった。


「あの…本当は両親も、ロディ様にぜひお礼をと言っていたのですが、急遽王城からのお召があり…」

「あぁ、うちの両親も呼び出されたから知っているよ。大丈夫。それにギィズリード家からのお礼なら、正式に受け取っているから」

「とはいえ、本当にお気にかけていただいて…なんとお礼を言ったらいいか…」

「しおらしいね。あんなに迷惑そうだったのに」

「迷惑だなんて…!」


俺はぎくりと身体をこわばらせた。

ちょっと過保護すぎると思っていたのは、正直図星だったからだ。


「いや、僕もかまいすぎたかなと反省していたんだよ。嫌われたのかなって」

「そんなわけありません!」


それは断じて違う。

ロディは俺の一推しなのだ。俺は一度推すと決めたら、簡単に推しを変えるタイプではない。


「ロディ様が、俺を心配してくださったことはわかっています」

「そうかい?」

「はい。ダンジョン内で、俺の油断から怪我を負ってしまい、本当に申し訳ありませんでした。アルカンナが回復魔法をかける間、ロディ様が魔物を退けてくださったと聞いています。俺は自分の回復に精一杯で、ずっとそばにいてくださったのにきちんとお礼もできず、子供っぽい態度を取ってしまいました。ロディ様は命の恩人なのに…」

「大げさだよ」

「大げさではありません!一生かけても、お礼していきたいと思っています」

「…一生かけて?」


ふふ、とロディが笑う。


「じゃぁ、ひとつお願いをしようかな」

「俺のできることなら、なんでもします!」

「なんでもかぁ…」


なんでも、と繰り返すロディは楽しそうだ。


「本当にいいの?アランの卒業後の進路のことだけど」

「進路ですか?」


そういえば、この間進路のことを聞かれたな。

俺は騎士団の試験を受けるつもりだと答えたけど、ロディは俺に部下になってほしいんだろうか?


「俺で、お役に立てますか?」

「もちろん」


ロディの仕事内容を詳しくは知らないけど、どちらかというと事務方だと聞いている。

俺の学業の成績は、極端に悪くはないけど良くもない。剣術の方が得意だから騎士に、と思っていたけど、絶対に騎士になりたいと強い希望を持っているわけではないし、父も三男である俺には好きにしろと言っている。

もしロディに強く望まれるのであれば、今から事務官の勉強をしたっていい。


「では、お受けします」

「本当に?!うれしいよ!」


ロディは珍しく少し大きな声を出した。そんなに喜んでもらえるなんて、俺も嬉しい。ロディは穏やかな人だけど、どちらかというといつも静かに微笑んでいるタイプだから、こんなふうに喜びを全面に出すのは珍しかった。


俺も推しの満面の笑みが見れてうれしいです!

卒業までもう間もないけど、これからは剣術より勉強を頑張ろう…と俺は誓った。

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