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16.悪役令嬢ルート、回避

アラン・ギィズリードは自分の前世が日本の男子高生・新妻亜嵐だったこと、この世界が乙女ゲーム『おとせか』こと『聖女おとめは世界樹の花を咲かせる』の世界であったことを思い出した。


明日は悪役令嬢との婚約を破棄し、聖女との婚約を発表する断罪イベント。


だがアランの推しは悪役令嬢の兄なのだ。


アランは推しを幸せにするため、そして自分も幸せになるために奮闘する!


俺を過剰に心配するのはやめる、と言ったけど。


毎日来てたのに、もう5日も音信不通なのはおかしくない?


*悪役令嬢ルート、回避


「お久しぶりですわね、アラン。…どうなさいました?そんな死にそうな顔をして」

「せっかく私が死の淵から回復させてあげたのに!」

「まぁアルカンナったら。うふふ、面白い冗談ですこと」

「ふふふ!」


半月ぶりくらいに登校してきたバレリアナに、いきなり核心をつかれた。お前の兄貴のことだよ…。お前の兄貴の温度差で風邪ひいてるんだよ…。

てか、バレリアナとアルカンナ、なんか異常に仲良くなってない?


「ちょっと…話したいんだけど」

「わたくしたちも、話したいことがいろいろありますわ!お昼はご一緒いたしましょう」


そりゃそうだ。この半月どうやらかなりごたごたしているらしい、程度のことしか俺には伝わってこなかった。ロディは絶対に詳しく知っているだろうに当たり障りのないことしか教えてくれなかったし。…それも最近では音信不通だけど。


午前中の授業は、正直上の空だった。

昼休みにバレリアナお気に入りの場所に連れていかれる。3人分の昼食の用意がすでに整えられていて、さすがだなぁと思う。


「それで、アランのお悩みは何ですの?」

「…バレリアナたちの話から聞いたほうが良くないか?そっちの方がぜったいいろいろあっただろ」

「私はアランの話が聞きたいな」

「わたくしもですわ」


アルカンナの言葉遣いが前に戻っている。いいのか?

俺がバレリアナを見ると、すぐに言いたいことに気付いたのかバレリアナはあぁ、と頷いた。


「あまりしばりつけるのも良くないと思いましたの。カンナにとって、わたくしやアランは心安らげる友人であったほうがいいのではないかと…。もちろんアランがご不快なら、指導しますが」

「いや、それでいい。王宮で大変だったんだろう」

「良かった。ありがとう、アラン」


アルカンナの笑顔に癒される。

バレリアナがアルカンナのことを『カンナ』と相性で呼ぶほどに親しくなったんだな、と思うと俺は安心した。

ここからバレリアナ悪役令嬢ルートはないだろう。ということは…バミッド家没落ルートは消えたんだ。


俺はほっと息をついた。


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