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第88話 証明

 リーファの母親の腕がキキョウさんに向く。

 放たれたのはこよりのように捻られた黒い棘。無数の弾幕となって飛んできた。



「無駄無駄ァ!! 今のアタシにゃ効かーん!!」



 黒い棘が当たった瞬間、消滅していく。相変わらずズルすぎる能力だ。

 キキョウさんの『無敵』が切れるまで、残り8秒。



「ツグミ、付いてきてるよね!」

「はいっ、守られてます!」

「そりゃ結構!」



 ニカッと笑うキキョウさん。余裕そうだなぁ、俺これを受けるの本当にキツかったのに。……あっ!



「キキョウさん、前!」

「んお? ほべっ」



 俺が辛うじて止めた黒の塊。それにぶつかって一瞬止まったが、直後綺麗さっぱり無くなった。

 残り、5秒。

 と、急に辺り一帯が暗く……いや、闇に包まれた。

 まさか、黒のオーラで包み込んでるんじゃ……!?



「ツグミっ、アタシを投げ飛ばしなさい!」

「ッ! 了解!」



 全てが闇に包まれる前に、キキョウさんの腕を掴み……全力で、闇に向けて投げつけた。



「おりゃああああああああ!!」



 キキョウさんの飛び蹴りが黒の壁に衝突し、ガラスが割れる音と共に粉々に砕け散った。

 残り、1秒。間に合った……!



「ツグミ!」

「はい!」



 割れた黒の壁の隙間から飛び出す。もう、2人は目の前だ。

 瞳が揺れ、今にも泣きそうなリーファと、しっかり目が合った。



「リーファ!」

「つ……ぐみ……!」



 リーファに手を伸ばし、リーファも応えて手が動く。……が。



「────ッ!!」



 ッ、黒の壁……! 今度は自分たちを守るように……!?

 もう手を伸ばせば届く距離にいるのに、完全に阻まれてしまった。

 諦める? やり直す? 出直す? キキョウさんの『無敵』が回復するまで引き下がる?

 ……冗談じゃない!!



「ラブリーミラクルッ」



 拳を握り、引き絞る。

 全身の血液が沸騰し、心が燃え、ピンク色の光が焔となって迸った。



「メテオスター・ホーリーパワー……!」



 迸る光りが拳に収束していき、金属を切り刻む超高音が響く。

 莫大なエネルギーを抑え込むパワーで、体がバラバラになりそうな感覚が全身を駆け巡った。



「ッ……!?」



 だけど……足りない。直感でわかる。このままぶつけても、俺の力負けは確定だ。これじゃあ、この黒のオーラをぶち破ることはできない。

 ──それがどうしたッ……!



「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!!」



 甘いぞ、神楽井継武。

 弱いぞ、魔法少女ツグミ。

 約束を守るっていう、お前の想いはそんなものか? お前の覚悟はそんなものか?

 そうじゃないなら奮い立てッ、振り絞れッ……証明しろ!



「クイーン・オブ・ハート!」



 光りが瞬き、世界が桃色に変わる。

 暴れるな。もっと絞り込め……もっと……もっと……!!

 世界を飲み込む極光が渦を巻き、拳に集中。大気が震え、地面にひびが入っても止めない。

 この一撃に、俺の全てを──



「オブリヴィオン・ストライク──ゼロ!!」



 ──放つ!!

 ゼロ距離で叩き込んだ拳が、黒の壁と衝突。ピンクと黒の雷光が空間を走り、轟音と共に周囲を飲み込む大爆発が発生した。

 他の魔法少女のことは、みんなが何とかしてくれるはず。だから俺は、ここにありったけを……!



「だりゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」



 気魄一閃。

 ただ愚直に、真っ直ぐ、堕ちた少女に向かって突き動かされた感情と、さし伸ばされた腕は──黒の壁を破壊し、その姿を捉えた。



「リーファっ、お母さん……!!」



 力を解除した俺は、光の中で2人を力いっぱい抱き締める。

 目を見開くリーファと、動揺したように黒のオーラが揺れる母。



「大丈夫、大丈夫だよ。この世界には、2人を苦しめる人はいない。……いたとしても、俺が絶対そいつらを許さない。向こうの世界のようなことは、絶対にさせない。だから落ち着いて。俺が、2人の傍にいるから」

「……ぁ……」

「────」



 2人の体が震えている。俺の背中に回された腕が小刻みに震え、肩口に熱いものが伝わってきた。



「例え、世界中が敵になっても……俺だけは、2人の味方だから」

「ぅぅっ……ぅっ……ぅあああああぁんっ! あああああああああぁっ!!」

「────ッ……────っ……!!」



 いいよ、泣いて。今まで大変だったもんな。辛かったもんな。いっぱい我慢してきたもんな。

 よしよし。いい子、いい子。

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