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第52話 大立ち回り

 しぃーーーー……ん。

 まさかのツグミの登場に、この場にいる全員黙りこくる。



「あ……あなたが、ツグミだったの……?」



 ビリュウさんは夢でも見ているような顔で、唖然としていた。

 そりゃあ、こういう反応になるよな。魔法少女は女にしかなれないと思われていたのに、目の前で男が変身したんだもん。

 驚いたのはビリュウさんだけでなく、周りの魔法少女たちもざわついていた。……というか、何人かは俺に見惚れていた。

 その中でも唯一動じていないのは、ビリュウ母だけだった。



「なるほど……今話題の魔法少女の正体は、あなただったのですね」

「驚いたか?」

「ええ。ですが同時に……」



 そこで、ビリュウ母の言葉が止まる。何を言いかけたのかはわからないが、口を結び、少し目を伏せた。



「同時に?」

「……いえ、なんでもありません。まずはあなたの力を見せてもらいましょうか」



 ビリュウ母が言い終えると同時に、大型犬ほどの大きさのドラゴンが一斉に襲いかかってきた。

 速さ、硬さ、勢いのどれもが、ビリュウさんのバハムートには及ばないが、数が多い……!

 一番最初に襲ってきた二体のドラゴンの顔面を両手で鷲掴みにし、勢いを殺す。

 同時に右足を軸に回転すると、一匹をドラゴンの群れに。一匹を畳に向けて思い切り叩き付けた。



「ガッ……!?」

「ッ……!!」



 轟音と共に屋敷が揺れる。まあ、多数のドラゴンを召喚しても耐え切れるほど頑丈に作ってるんだろう。これくらい暴れてもいいよな。



「なっ、ドラゴンを片手で……!?」

「契約したドラゴンの中でも戦闘に特化してるのに……!」



 有り得ない光景に、全員ザワついている。ドラゴンたちも怯んだのか、牙を剥き出しにして威嚇してくるが、襲いかかって来なかった。



「戦闘特化のドラゴンね……悪いけど、俺バハムートにパワー勝負で勝ったんだ」



 ゴキッゴキッと首の関節を鳴らし、畳を踏み締め、瞬時に中庭にいる巨大なドラゴンに肉薄した。

 ドラゴンが反応する暇もなく、顔面に向かい脚をしならせ……蹴り抜く。



「フッ──!!」

「ボガッ!?!?」



 牙がへし折れ、吹き飛ぶドラゴン。中庭を抉り、左の建物を押し潰して倒壊させた。

 やりすぎ感はあるけど、まあ魔法少女ばかりの屋敷だからな。死人は出ないだろう。

 中庭に降り立って振り返り、拳を握る。



「俺に勝ちたかったら、バハムート以上を連れてこい」



   ◆蜜香side◆



 やれやれ……継武ったら、あんなに張り切っちゃって。女の子の前だからって、格好つけすぎよ。まあそれも、男の子だから……なのかもね。

 中庭でドラゴンを相手に大立ち回りをしている継武を眺めつつ、座り直してお茶をすする。あぁ、美味しい。



「ハニプリさん。あなた、自分の息子が魔法少女だと知っていたんですか?」



 卍ティアマト卍が私の隣に座り、同じくお茶をすする。



「まあね。知ったのはついこの間だけど。あとハニプリ言うな」

「言ってくだされば、相応のもてなしをしましたのに」

「言うわけないでしょ。そうなると思ったから黙っていたの」



 彼女の境遇は知っている。どれだけ悩み、苦しみ、龍安に染まって行ったのかも。

 今の卍ティアマト卍は、龍安そのものだ。龍安の思考で、物事を判断している。……それでも、娘さんのことは可愛がっているみたいだけど、ね。

 そっと嘆息し、再びお茶をすする。

 このお見合いも反対だったけど、それを決めるのは私じゃない。継武だ。それに、どうせ継武のことだから、面倒だから断る……と思っていたのに、まさかこいつの娘とクラスメイトだなんて思わなかったわ。



「で、どうするつもり? このままじゃあの子、龍安を全滅させるまで止まらないわよ」

「そうですね」



 …………。



「そうですね、って……それだけ?」

「ええ。それが何か?」

「……随分と余裕じゃない」

「ふふ、それはどうでしょう。まあ、今は子供たちの奮闘を見守ろうじゃないですか」



 相変わらず……何を考えてるのかわからない人ね。

 でも、確かに卍ティアマト卍の言う通りだ。力のない私たちが、この戦いに口を挟むことはできない。

 今はゆっくり、お茶を飲みながら観戦させてもらいましょう。

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― 新着の感想 ―
シリアスな場面なのに、卍のせいで笑っちゃうんですよw
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