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第42話 必勝法

 ビリュウさんが帰った後、リリーカさんの部屋でぐったりと寝そべる俺。行儀が悪いとか、失礼とかは今は忘れてくれ。こうでもしないとやってられないんだ。



「……どうしよう」

「やるしかないだろう。覚悟を決めろ」

「いやいやいや、無理ですって」



 あのドラゴン……龍神の力を間近で見た。見たと言っても、恐らくその片鱗なのだが、あれに勝てるビジョンが見えない。

 よくファンタジー系の物語では、『ドラゴン=最強生物』とされている。

 アレを見ればよくわかる。最強生物……文字通り、最強だ。

 まさかそれと戦うことになるとは思わなかったぜ……。



「リリーカさん、ビリュウさんの弱点って……」

「ないぞ。ドラゴンの力も当然だが、ビリュウさん自身も昔から戦闘の英才教育を受けている。近接戦闘では、私と並ぶ強さと思っていてくれていい」

「バカ強いじゃねーか……!!」



 リリーカさん並みの戦闘力に加えて、龍神までついてるとか、チートにも程がある。そりゃあ、キキョウさんみたいなバグがいなければ、日本最強に選ばれるわけだ。

 そんな人と戦う……どうやって戦えばいいんだ。負けたら、俺の正体を明かさなきゃならないんだぞ。



「大丈夫だ。ツグミならやれる」

「……根拠は?」

「ない」



 根拠のない自信なんて、砂上の楼閣レベルで脆いんだが??



   ◆◆◆



 あれから一週間。俺は毎日ツグミを愛で、学校に行き、ツグミを愛で、魔物を倒し、ツグミを愛で、モデル活動をし、ツグミを愛で、SNSをエゴサして羞恥心に身もだえ、ツグミを愛でていた。

 ……のだが、特に何も起こっていない。本当に、いつも通りの日常をすごしていた。

 おかしいな。もう一週間になるのに、まだ連絡が来ないぞ。確か、魔法少女協会経由で連絡するって言っていたのに。

 こういう日は、美味い飯でも食って帰るか。せっかく協会に入って、魔物の討伐金やモデルの金も入ったわけだしな。



「おーい、優里。放課後ラーメン食ってかね? 奢るからさ」

「なぬ? ……それやべー金じゃないよな?」

「お前は俺の事をなんだと思ってんだ」



 金のない俺でも、非合法なことに手を出すわけないだろ。

 優里はケタケタと笑い、俺の背を叩いてきた。痛い、痛ぇわ。



「うそうそ、んなこと思わんって。だけど、ホントどうしたんだよ。一人暮らしで金に余裕がないんじゃなかったか?」

「まあ、色々あってな。おかげで貧乏苦学生から脱出できそうだぜ」



 なんだかんだ、いろんな魔物を倒してきたからな。特にアシュラ・エンペラーの討伐金は、社会人でも容易に手に入らない額が入金されていた。

 因みに、金の管理は全部母さんに任せている。元魔法少女だからな。大金が手に入ることも当然バレている。そこから仕送りにプラスして、かなりお小遣いを貰っているんだ。



「ほーん。なら遠慮なく注文してやろう」



 うっきうきで帰り支度をする優里を横目に俺も支度をしていると、不意にスマホが震えた。なんか嫌な予感。



「……げっ、やっぱり」



 魔法少女協会・日本支部からのメールだ。

 件名『魔法少女ビリュウ・魔法少女ツグミの決闘について』……げっ。俺たちだけじゃなくて、魔法少女協会に登録してる人全員に送られてる……!



「継武、どした?」

「ッ! あ、いや、なんでもない。さっさと行こうぜ」

「? おう」



 スマホをしまい、優里と一緒に教室を出る。

 日付は3日後……土曜日の午後1時から、か。どうしよう、もう帰りたい。



「なあ、優里。お前ってどうしても負けられない勝負ってしたことあるか?」

「なんだよ藪から棒に。まああるぞ。購買の限定10食のウルトラメンチカツバーガーの奪い合いとか、脱糞5秒前の全力ダッシュとか」



 こいつに聞いた俺が馬鹿だった。

 俺の空気を察したのか、優里は肩を竦めて笑う。



「冗談、冗談だって。……当然あるぞ。譲るに譲れない、男の殴り合いってやつ」

「……そういう時、何を考えて喧嘩した?」

「おいおい。まさかお前、喧嘩するんじゃないだろうな。やめとけ、継武にゃ無理だ。なんなら手を貸してやろうか?」



 シュッシュッ、とシャドーボクシングのように拳を突き出す優里。

 無言でそれを見ていると、そっと嘆息して頭を掻く。



「考えて、か……そりゃあ負けたくないとか、勝ちたいとか色々考えるけど……」



 優里は腕を組み、ひねり出すように唸る。

 しばらく待っていると、「お」と思い出したかのように口を開いた。



「考えってわけじゃないけど、俺が喧嘩の前に整えてる、心構えならあるぜ。それはな──」

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