表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/124

第41話 条件

「こんにちは、ツグミ。ご機嫌いかが?」

「は、はは……こ、こんにちは、ビリュウさん。は、はい。もうバッチリですよ」



 余裕の表情のビリュウさんを前に、少し怖気づいてしまう。

 き、聞かれてないよな、さっきの失敗作がどうのって話。リリーカさんだって、いなかったからあの話を振ったんだろうし。



「い、いついらしたんですか?」

「ついさっきよ。私と戦うとか、なんとかって言っていたところから」



 ほ……よかった。やっぱり聞かれてなかった。

 ……って、いやいやいや、そうじゃないよ。なんでこの部屋にいるんだよ、この人。どっから入って来たんだ。

 俺の疑問が解決しないまま、ビリュウさんはいつの間にか手にしていた紅茶をすする。良家のお嬢さんだからだろうか。こういった何気ない仕草が、すごく様になっているな。



「さっきも言ったけど、私、あなたのことが気になっていたの。戦えるなら、それに越したことはないわ」

「ま、待ってください。気になるならお話すればいいじゃないですか。どうして戦いなんか……!」

「……勘違いしているようだけど、別に私は、あなたの内面が気になるわけではないわ。何が好きで、何を食べていて、どんな過去があって……そういうの、微塵も興味がないの」



 ……なんだって? じゃあ、気になるっていうのは……?

 ビリュウさんはカップをソーサーに置いてそっと嘆息し、俺を見下ろしてきた。



「私が気になっているのは、あなたの力。魔法少女としてのあなたの能力のことよ」

「……私の力?」

「ええ」



 はて。なんでそんなものが気になっているんだろうか?

 正直なことを言うと、俺の能力は俺が一番理解していない。願ったのは、自分が想像する理想的な美少女だったから、能力とかそういうのはまったくと言っていいほどノータッチなんだ。

 わかるのは、めっちゃくちゃ頑丈ってことと、パワーだけは誰にも負けないということ。キキョウさんっていうチート能力以外には、今のところ負けていない。

 後は、アシュラ・エンペラーの時に放った謎の高出力エネルギー。モモチもわからないとか言っていたし、いったいなんなんだ、あれは……?

 俺が一人、内心でいろいろと考えていると、ビリュウさんが立ち上がり、俺の両頬を手で包んで上に持ち上げた。

 相変わらずのクールビューティーな美貌を近くで見て、喉の奥が絞まる。系統としてはゆ~ゆ~さんみたいな美人だけど、纏っているオーラが違いすぎて、思わず萎縮してしまう。



「キョウ様が、ずっとずっとあなたのことを話しているの……どうしてあの方が、あなたのことを話しているのか。傾倒しているのか……気になって仕方ないわ」



 鼻と鼻が触れそうなほど至近距離まで顔を近付け、ビリュウさんはより眼光を鋭くさせる。

 普段ならこんな美人と見つめあえてラッキーとか思うんだけど、今はまったく思えない。むしろ逃げたい。誰か助けて。おいコラリリーカさん。なに我関せずみたいに紅茶飲んでんだよ。



「日取りは、リリーカ経由で連絡させてもらうわ。逃げられると思わないことね」



 言いたいことを言って満足したのか、ビリュウさんは部屋を出ていこうとする。

 けど、ここまでいろいろ嗅ぎ回られて、いきなり戦う約束をさせられて……ちょっと、いやだいぶ……むかっ腹が立って仕方ない。



「待ってください、ビリュウさん」

「……どうかした?」



 玄関で振り返ったビリュウさんが、こちらを振り返る。

 ただならぬ圧に萎縮しそうになるが……怯むな、俺。



「その戦い……もし私が勝ったら、もう付きまとうのやめてください」



 立ち上がり、彼女の目を見つめて条件を提示する。

 こちとら、いきなり転校してきたと思ったら、いきなり戦うハメになったんだ。これくらいの条件がないとな。

 ビリュウさんは一瞬考えるようなそぶりを見せると、無表情でこくりと頷いた。



「ええ、わかったわ。でもそれじゃあフェアじゃないから、私が勝った時の条件も提示してもいいかしら」

「……どうぞ」



 まあ、そうなるよな。それくらいなら――



「では私が勝ったら、変身を解いて素のあなたを私に見せなさい」



 ――と、思っていた俺を今すぐぶん殴りたい。

続きが気になる方、【評価】と【ブクマ】と【いいね】をどうかお願いします!


下部の星マークで評価出来ますので!


☆☆☆☆☆→★★★★★


こうして頂くと泣いて喜びます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
そもそも戦うことがビリュウの要求なんだからツグミからだけ勝った時の要求してフェアだよな なんなら勝負したことの対価として要求してイーブンだとも思うけど
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ