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クイーン・オブ・魔法少女 〜いや俺、男なんですが!?〜  作者: 赤金武蔵
第4章 異国の魔法少女

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第124話 多種多様

 仮面野郎を鋭く睨みつける。

 が、奴は動かない。仮面のせいで表情が読めず、真意がまったくわからなかった。

 暖簾に腕押しのようなのらりくらり感を覚えていると、仮面野郎がゆっくりコメットを見た。



『魔法少女コメット……お前はどっちに付く? 我々か、そちらか』

「っ……わ、ワタシは……」



 コメットが、俺の顔色を窺ってくる。

 やれやれ……そんな不安そうな顔をしなくても大丈夫だって。



「ライス。あなたがどちらに付こうと、私は気にしません。自分の思うように……ね?」

「ぁ……ぅ……ゎ、ヮタ、シ……」



 決めきれないのか、顔を伏せてしまった。この子にとっては、究極の選択なんだろうな。

 横目でコメットを見つつ、一歩前に出る。俺を囲っている魔法少女たちは、同時に武器を構えた。



「私、まどろっこしいのは好きじゃないの」



 シンプル・イズ・ベスト。

 異国人と語り合うのに、口はいらない。……拳があれば、十分だ。



「行くぞッ」

『|総員、突撃!《Charge, ALL!!》』



 仮面野郎の命令と同時に、魔法少女たちが動き出す。

 近接武器を持っている魔法少女が前方。遠距離・魔法攻撃専門の魔法少女が後方に位置する。相当鍛えられているのか、動きに迷いがなかった。

 メイスや剣を手に、騎士系の魔法少女が突進してくる。

 重そうな鎧ドレスを着てるのに、速い……!



「「「Magical Enchantment・POWER!!」」」



 後方の魔法少女が、魔法を唱える。

 同時に、前衛魔法少女たちの体が七色に光り出した。



「「Magical Enchantment・WATER!!」」

「「Magical Enchantment・FlAME!!」」

「「Magical Enchantment・THUNDER!!」」



 重ね掛けするように、各魔法少女の体から水、炎、雷のオーラが迸る。身体能力強化の付与魔法か。

 雷を纏ったメイスが頭上から振り下ろされる。

 片腕で受けると、パワー+雷を付与した一撃はすさまじく、地面が深々と陥没した。

 重い。けど、受けられないレベルじゃない……!



「What!?」

「ふっ……!!」



 メイスを掴み、ハンマー投げの要領で回転。周囲の魔法少女を巻き込み、吹き飛ばす。

 飛ばされた魔法少女たちは体勢を整え、その間に後方部隊が魔法攻撃を放つ。

 四方八方から降り注ぐ魔法の雨を掻い潜り、仮面野郎に向い走った。



「|I won't let you go!!《行かせないわ!》」

「|Shield of Mercy!!《慈悲の盾!》」



 間に割って入ってきた三人の魔法少女が、魔法の大盾で行く手を阻む。そう易々と近付けさせてくれるはずないか。

 思い切り息を吸い、脚に力を込め……床を蹴る。

 床が抉られ、コンクリートが飛散。同時に加速。景色が前から後ろに流れる中、一瞬で魔法の大盾と衝突した。

 ――スゴシャアッッッ……!! おおよそ、人から出てはいけない生々しい音が響く。交通事故みたいだ。



「|Ugh, heavy...!?《うっ、重ッ……!?》」

「|Hang in there!!《ふんばれ!!》」



 ぐっ……! この程度の盾、破壊して……!



「ッ――!?」



 突如、首筋が甘く痺れた。

 直感で回避すると、俺をまるまる潰せそうなほど巨大なハンマーがいくつも振り下ろされた。

 地面が揺れ、バランスを保てない。くそっ、一旦離れ……!



「|I won't let《逃がさ》 |you escape!!《ない!!》」

「え、はっ!?」



 な、なんだよ、これっ! 巨大な手が俺を掴んで……!?

 慌てて上を見上げる、が……な、なんだよ、これ……?

 手はもちろん、その他のすべてが……でかい。身長だけで3から4メートルはありそうな巨人が、何人もいる。



「|Gigantic is《巨大こそ》| strength!!《強さ!!》」

「|Don't think you can《私らから逃げられ》| escape from us!《ると思うなよ!》」



 うっ、ぐあっ……! なんっつーパワーだよ……!



「離してっ、苦しい……!」

「|I'm sorry, I don't《悪いね、日本語は》| understand Japaneseわからないんだ



 ああそうかいっ。なら……!



「|If you let me《離してく》| go, I'll do《れたら、》| something goodいいことして for you(あげる)

「「「What…!?!?」」」



 あ、顔真っ赤になった。今の内に!

 巨人たちの手をこじ開け、隙間を潜って脱出する。よかったぁ、コメットに少し英語習っておいて。魔法少女モードで勉強すると、思考も強化されるからすらすらと覚えられるんだよな。

 巨人たちから距離を取り、全体を見渡す。

 こうして見ると、本当に多種多様だ。文化が違えば、魔法少女の考え方も違うみたいだな。



「ティナっ、大丈夫デスカ……!?」

「あぁ、ライス。私は無事です。一瞬、巨大美女に絞め付けられるの悪くないって思いましたが」

「……ワタシ、大きくなりたいデス……」



 ごめん、口が滑った。だから真に受けないで。

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