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クイーン・オブ・魔法少女 〜いや俺、男なんですが!?〜  作者: 赤金武蔵
第4章 異国の魔法少女

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第110話 定期連絡

 湯冷めする前にコメットの体を拭き、浴衣を着せて部屋の布団で休ませる。幸い、古い旅館ではあるけどエアコンは最新型で、涼むにはちょうどいい塩梅だった。

 本当は夕食の時間だけど、女将さんに言って少し遅らせてもらっている。コメットも、今はそれどころじゃないからな。



「キュ~……」



 まだ目を回しているコメット。女将さんに用意してもらった濡れた手ぬぐいで頭を冷やし、部屋から広縁に出てソファに体を沈める。

 ……少しだけ、変身を解除してもいいかな。ここからならコメットが起きたらわかるし、直ぐに変身すればいい。

 維持していた変身を解除すると、体にずしっとした重みが加わった。元の体重に加えて、魔法少女の馬鹿力が無くなったから、余計重く感じる。



「はぁ……疲れた……」



 窓から外の庭に目を向ける。蛍まで飛んでいるらしく、まばらな明かりが光っては消え、消えては光っていた。

 それだけじゃない。魔法によって自然まで徹底管理されているのか、夏前なのに鈴虫やコオロギの鳴き声まで聞こえてくる。

 空を見上げると、そこには綺麗な三日月と満天の星空があった。魔法少女の村も、同じ星空だったな……外界と一切を遮断された空間ならではの光景だ。絶景かな。

 緑茶を啜って――こういう時、酒が飲めたら最高なんだろう――ゆったりした気分に浸っていると、不意にこの環境に似合わない電子音が鳴った。俺のスマホだ。もう少し、このチルい雰囲気に浸らせてくれよ。

 仕方なくスマホを手に取ると、リリーカさんからの着信だった。このまま出ない訳にもいかないし……。



「……もしもし?」

『ひゃわっ!?』



 俺の声を聞いた第一声がそれかよ。



『お、驚いた……男の姿に戻っているのか……?』

「はい。ちょっとライス……コメットが湯あたりして、寝ているので」

『あまり任務中に変身を解くなよ。いつどこで、誰が見ているかわからないのだからな』

「わかってます」



 あぁ……リリーカさんの声、安心する。なんだかんだ、コメットといる時は気を張ってるからな。

 と、通話の向こうから、何やら賑やかな声が聞こえた。

 ずっと魔法少女に変身しているからか、鋭敏になった聴覚が声の主を特定する。



「リーファとキルリさん……あとミケにゃん、ゆ~ゆ~さんも一緒にいるんですか?」

『うむ。一緒に食事をすることになってな。今は協会で、タコパの準備中だ』

「うわ、羨ましい」



 俺がコメットとの情報戦や駆け引きで手を焼いているのに、タコパなんてずるい。俺もタコパしたい。



『早く任務を終わらせて帰ってこい、待っているから』

「ありがとうございます」



 リリーカさんの優しさが身に染みる。まあ、あと一週間はコメットと一緒にいなきゃいけないんだけど。

 それまでに、なんとしても有益な情報を得ないとな。



「ところで、リリーカさんから俺に電話を掛けてくるのって珍しいですよね。俺に何か用事でも?」

『えっ? あ、いや、その……』



 いきなりしどろもどろになった。何かを言いづらそうにしているというか……なんだ?

 リリーカさんの息遣いに耳を傾けて待つ。その間、ずっとむにゃむにゃした声が聞こえて来た。



『そ、そのだな……隠しカメラとマイクの電源が切れて、しばらく経っただろう? こ、コメットと不純な関係になっていないか、確認の為に電話したのだ』

「……なるわけないでしょう」



 ごめんなさい。心の底から否定はできない。俺、生まれて初めてハニートラップしちゃったから、不純と言えば不純だ。未遂に終わったけど。



『そ、そうか、ならいい。……あまりハメを外しすぎたり、コメットに傾倒しすぎるなよ。まだ奴の正体も、なぜ日本に来たのかもわかっていないんだからな』

「了解しました」



 ではな、と言い、通話を切られた。

 丁度その時、コメットがもぞもぞと動き出し、起き上がる。一瞬でツグミの姿に変わり、彼女に近付いた。



「ライス、大丈夫ですか?」

「YES…sorry, お水を……」

「はい、どうぞ」



 冷たい水を差しだすと、コメットは勢いよく飲み干し、体の中の熱を出し切るように思い切り息を吐いた。



「ぷっは~! 生き返ったデースっ」

「ごめんなさい、ライス。私、ちょっと調子に乗りすぎちゃったみたいで」

「のっ、NO!! ワタシも……大変、ご馳走様でした……♡」



 まだ体が火照っているのか、朱色に染まった頬を手で覆い、熱を帯びた視線を俺に向けてくる。ある意味身の危険を感じるのは気のせいだろうか。



「あ……それより、誰かと電話していマシタ?」

「え? あ、あぁ、はい。協会の上司の人と、少しだけ」

「Oh, 定期連絡、大事デスネ。ワタシも……あ」



 今度は一気に青ざめた。このリアクションは……。



「定期連絡……忘れてるとか?」

「…………」



 ダラダラ汗をかき、何度も頷くコメット。あぁ、やっぱり。



「私はこっちの部屋にいるので、どうぞ隣の部屋で連絡してきてください。その間に、ご飯の用意もしてもらいますから」

「さ、Thank you!! 助かるデス!」



 いそいそ、あわあわとスマホを取り出し、隣の部屋に引っ込んでいった。

 今日わかった、コメット情報メモ。

 意外とポンコツ?

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