第2話〜下僕確定ってマジっすか〜
第2話でございます。とりあえず冒頭のシーンから色々確定しちゃうとこまで描きました。
さてこれからどうなってしまうのでしょう?
〜そして冒頭へ〜
「で、申開きは?」
とまぁ浴室前で正座をさせられた俺は目の前にいるピンク色の浴衣を着た美少女から詰問をされている訳だ。
仁王立ちする彼女の右手には鈍色の棍棒、のようなもの。
人を殺す形状をしている。
そして彼女も人を殺す目をしている。
殺気がどうこうとかそのような次元を超えている気がするのはきっと気のせいではないだろう。
返答次第では即ち……死。
ここは
「いえ…ありません…」
素直に非を認める……!
「あっそ。じゃ、さよなら」
華奢な腕から放たれる渾身の一撃。
大の男でも振るうことすら困難であろうそれを右腕1本で軽々と振り上げ俺の顔面目掛け横凪ぎのフルスイング。
─────あー死んだわこれ。
人は死を目の前にすると時間がゆっくり流れるように感じると言うが、まさか今日がその日とは思うまい。
目を閉じることも出来ずに眼前に迫るそれは、
鼻に触れる寸前でビタリと動きを止めた。
ビュオッ!!!っと風が後ろに流れる。
「……へァ……」
変な汗がブワッと吹き出し、汗で濡れたシャツが更に濡れていく。
……………………………………………………少し出たことはこの際内緒にしておこう。これは汗だ。
何がとか聞くな。やめろ。
恐る恐る、目線を上にやるとしかめっ面をしながら浴衣の懐から携帯を取り出す少女が目に入った。
ピンク色のガラケー。このご時世になんとまぁ時代遅れか…とまぁそんなことは置いておいて、誰かから着信があったらしい。
「はいもしもし!……はぁ……あーそいつ?あんたの?んで?……!?なんでこんなやつっ…!!……んで?………………へぇー………………ふぅーん、ほおー…………?」
話してる相手はよく分からないが時折俺の方を見ているようだ。
どうやら俺の事について話してるらしい。
怒りの表情のまま通話していた彼女だが、話が進むにつれてどんどん表情が変わっていく。
そうしてなにやらニヤニヤし始めた。
「なるほどねー。んじゃこいつどうにでもしていいって訳ね??」
「ま、まっ、待て待て待て待て待ってくれ!!!」
誰か知らんが通話相手は俺を売ろうとしてるらしい…!
冗談じゃない。命がいくつあっても足りやしねぇだろうが!
咄嗟に立ち上がろうとしたが情けないことに俺の足は言うことを聞かない。
そして彼女の足元に前のめりに突っ伏してしまった俺に、持っていた携帯を耳に当ててくる彼女。
「あんたに代われってさ?」
ニヤニヤしながら俺を見つめる鬼の後ろには陰鬱とした雰囲気が漂ってるのが見える
ような気がする。
『おっ、もしもしぃ?誠ー?パパだぞぉー?聞こえるー?もっしもーし』
殺すぞこのクソ親父ぃいいい!!!!!
心の中の叫びは言葉にならなかった。
「お、親父っ、これっ、どういうっ!!」
『あーあーあーあー聞くな聞くな。俺の仕事がどうとか言ってたけど実は今回割とマジ関係無くてねー。昔馴染みの約束?的な?目の前にいるだろ女の子。その子よろっつーことで。拒否権?ないよ?んじゃねー!ハッハッハッハッ!死ぬなよー!』
ブツッ。ツー、ツーツー、
切れた。切れやがった。切りやがった。
なんだってんだちくしょうめぇっ!!!!
パタリと耳元で閉じられた携帯の音でハッと我に返った俺は少女を見やると、相変わらずニヤニヤとした顔で俺の顔に自らの顔を近づける。
ハラリと落ちる赤みがかった黒髪に人とは思えない美貌。真っ赤な瞳が俺の心臓を鷲掴みにするような錯覚を覚える。
「つーわけでアンタ、今日から私の下僕ね」
「……………ヘェ…………?」
間抜けな声が口から漏れるもののそれ以上の言葉が出てこない。
俺に背を向けた彼女はガラガラと脱衣所と浴室の戸を開け
「とりあえずアンタ……汗臭いから流してこいっ!!!!」
ガッ!ブォンッ!!!!!!
胸元を掴まれたと思ったら視界が回り、重力を失った俺は
ダバァアンッ!!!!!!!!!!
投げられた、と知覚した瞬間に広く少し深い湯船に着水していた。
やめてくださいしんでしまいます
そんな言葉が頭に浮かんできた俺の耳には大爆笑する美しい少女の声が聞こえてくるのだった。
━━━━━━━━━続く━━━━━━━━
面白かったでしょうか!?
ココまで読んでくださりありがとうございました!
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