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勇者にこの世から追放された俺は妹の自己犠牲で生き返る〜妹を蘇生するため、全力で魔王討伐を目指します〜  作者: マグローK


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第64話 放たれたキメラ

 ライオンの頭、ヤギの体、ヘビの尻尾を持ち、蝙蝠のような羽を生やしたモンスター。


 そいつが俺たちに迫っていた。


 うわさによれば、その他様々な生物の部位を掛け合わせた個体もいるというモンスター、キメラ。


 荒い息を吐き、ケモノのニオイを漂わせながら、キメラは殺意を隠すことなく俺の眼前まで迫った。


「ぐっ、く!」


 力が強い。


「ハハハ! このままだと兄貴特製の改造モンスターに苦しむことになるぞ!」


 先ほどまでは怯えていたガイドが少し調子を取り戻している。悪い意味で。


 だが、今は振り向くことはできない。


 仲間たちを背に戦っている以上、むやみに仲間を危険にさらすわけにはいかないからな。


「どうした? 驚いてるのか?」


 自分の力が通用しない相手は初めてなのか、キメラは面白い顔で俺を見ている。


 改造された影響で知能が上がっているのかもしれない。


 今の俺はというと、二本に割った剣でキメラを迎え撃っていた。


 力だけでなく個体としても強い。


 今すぐファイアブレスを打ってこないことが不幸中の幸いだろう。打つつもりなら打たせないが。


「力だけなら今まで戦ってきた相手の中で一番だと思うぞ」


「ワタクシよりも強いと言うのですか?」


「肌で感じないか?」


「むぅ。意地悪なことを言われるのですね。わかりますとも、ワタクシだってわかってますとも!」


 ヨーリンが認めるようにキメラの力は半端じゃない。


 力だけは、か。


「だが、ヨーリンと違って速さはそんなに速くない」


「そうですわ。総合力じゃ負けてませんもの」


 何を張り合っているのか知らないが、まあそういうことだ。


 ヨーリンの方が強敵だった。


 素早さは反応できないほどではないからな。


 そんなことよりも、こいつを放って来たのがガイドの兄だということが問題だ。


「ヨーリン、神でもいい。こいつについて何かわからないか?」


「どうした。頭脳戦は妹に任せているのだろう?」


「この状況でゆっくりアルカと話せないだろ。俺一人が危険ならまだしも」


「ふむ。わかることはと言えば、貴様がわかることと同じだ」


 使えねぇ。


「貴様の心のうちは聞こえているのだぞ」


「ヨーリンは?」


「ワタクシにできる範囲で探っては見ましたが、外からはわかりませんわ」


「くそっ」


 このキメラを倒すことが何かのトリガーかと思ったが、そんなこともないのか?


「うっ」


「大丈夫ですか?」


「ああ、平気だ」


 俺たちが気楽に話しているように見えたのか、キメラの力が強まった。


 どうやら、舐められていると思って怒っているらしい。


 驚いた表情は怒りの表情に変わっている。


 冷静に表情の変化を観察しているとなんだかかわいらしく思えてくる。


 きっと普通に生活していればこいつも俺と戦うことなんてなかっただろうに。


「キヘハハハハ! このキメラは兄貴特別性のモンスター。改造モンスター中最高レベルのスピードとパワーを持つ。自信満々だった様子はどこに置いてきた?」


「それだけか?」


「それだけぇ? 今もなお押されているチミに何ができる? そんなことを言っていると、そのキメラを前に恐怖し無様に負け姿をさらすことになるぞ? キヘハハハハハハ!」


 俺も、ガイドのことは少しはわかって来たつもりだ。


 おそらく力を借りて戦う方がいいってことだろう。


 だが、パワーとスピードが最高レベルなら、俺が相手するのが吉。


 アルカの遠距離攻撃はおそらくこいつには効かない。こいつはアンデッドじゃない。


「相手は脳筋って話だったな?」


「バカにするな。ただの人ごときが敵うかってんだよ! ヒハハハハハハ!」


「ガイド。俺が何と戦って来たと思ってる」


 キメラの方も何かに気づいたように俺を押する力がさらに強まった。


 どうやら他にできることはないらしい。


 思わず口角が上がる。


 力で倒していい相手ほどラクな相手もない。


「無理やり改造されてお前も苦しかったよな」


「グルルルルルゥ」


 にらみつけてくる目は俺から決して目を離さないようにしている。


 どうやらやっと警戒され出したらしい。


 俺の方はお前を警戒しすぎだったようだ。


 ごめんな。


「ラクになれ」


 キメラはその場に倒れた。


「嘘、だろ……?」


 ガイドの驚くような声が聞こえてくる。


「嘘なもんか。見ただろ? その目で」


「そうじゃない。息を」


「うっ!」


 ガイドの言葉と同時、突然頭に激痛が走った。


 視界がくらみ、その場に倒れ込みそうになるが、俺はグッと踏みとどまった。


 キメラの血に毒でも含まれていたのか?


 しかし、確かめるより早くふらつきは治った。なんだったんだ?


「精神汚染スキルのようだ。キメラを倒したことで発動したのだろう」


「は? 結局しかけてやがったのか。だが、精神汚染は神がいれば大丈夫だったな。なら……どうしたベヒちゃん」


「……」


 俺の問いかけにベヒは答えなかった。


「おい。ベヒちゃん?」


「……」


 聞こえなかったわけじゃないと思う。


 二度も無視されることなんて今までなかったはずだ。


 先ほどの戦闘でのショックも回復したはずで、俺のことをぺしぺし叩いていた。


 今は俺のことをにらみつけてきている。まるで、今さっき倒れたキメラのように。


「グルルルルル!」


 ベヒの様子がおかしい!


 そこで俺は思い出した。ベヒには未だに神がついていなかったことを。

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