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勇者にこの世から追放された俺は妹の自己犠牲で生き返る〜妹を蘇生するため、全力で魔王討伐を目指します〜  作者: マグローK


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第48話 死神は勇者を求めラウルを脅す

「さて、ベルトレットを出せ」


「うおっ! もしかして、死神か?」


「なぜわかった」


「なぜって……」


 そりゃ、シニーと同じようなカマを持ってるからだが、言っても伝わらないだろう。


 俺は一歩前に出て仲間たちの前に立った。


 邪神を倒し男に戻った俺と、その仲間たちの前に、大ぶりのカマを手にした少女が姿を現した。


 年のほどはタマミよりも幼そうに見えるが、こんなところにやってくるということは、ただ者ではないだろう。


「シニーがどうかしたか?」


「いや、シニーちゃんの知り合いかなって」


 思わずシニーを見ていたのか、シニーが俺に首をかしげながら聞いてくる。


 しかし、シニーは新しく現れた死神を見ても首をかしげたままだった。


「知らんな。こんな女の子ども」


 そんなもんか。


 ただ、そんなシニーのことをどう思ったか、死神はシニーの首にカマを当てた。


「知らないはこっちのセリフだ。オレは、そうだな。死神に名前はないが、アリスとでも名乗っておこうか」


 シニーは首元にカマがあるにも関わらず、動じる様子もなくアリスと名乗った死神の目をじっと見つめ返している。


「お前、死神でありながどうして人間に肩入れする? この状況、オレと協力してこの場にいる人間を全員殺すという考えはないのか?」


「ない」


 即答だった。


「なぜだ。勝てないとでも言うのか?」


「それもある。けど、それよりシニーはラウルにほめられるとなんだか胸があったかくなる。それがいいだけ。だからシニーはラウルに肩入れする」


「ハハッ。冗談を」


「……」


「まさか本気で言ってるのか? それがダンジョンで人を殺し、死神と恐れられたモンスターのセリフか?」


「そうだ」


「チッ。ガキみたいなこと抜かしやがって」


 アリスは怒りに任せて一気にカマを振り抜こうとした。


 俺はアリスのカマを握って動きを止めた。


「なっ!」


「落ち着けって」


「チッ。ますます面倒だ」


 アリスはそこでカマをしまった。ひとまずこの場でシニーを殺す気はなくなったようだ。


「せっかく死神に会えたんだ。協力関係を結べると思ったが、そうもいかないか」


「カマは面白そうだった」


「うるせぇ! オレは他の死神と話がしたかったわけじゃないんだよ」


「そうだ。どうしてお前はここに来たんだ?」


 俺が聞くと、アリスはクッククと笑いをこらえるように、少女のものとは思えない声を漏らした。


「痛めつけても話さないみたいだしな。シニーとか言ったか? コイツはさらっていく」


「おい。目的は結局シニーかよ」


 シニーを抱きかかえると、アリスは宙に浮かび出した。


 抵抗するシニーだが、アリスはその手を離す様子がない。


「49日後までにベルトレットを用意しろ。死んでるなら生き返らせろ。お前らの中にはそれができるやつが一人くらいいるんだろ? お前ら全員を殺したらベルトレットにたどり着けなさそうだからな。勇者が本命だ。用意できないってんならコイツは力づくでも奪い返せ。ま、勇者のいないお前らには不可能な話だろうけどな。ゲヒャヒャヒャヒャ!」


「随分待ってくれるんだな」


「死神のシャレ」


「うるさい! オレはコーロントにいる。目的の日を一日すぎるたび、善良な市民を一人ずつ殺していくからな!」

 

 そんな捨てゼリフを残してアリスは姿を消した。


 動けなかった。


 油断していたせいか、それともアリスのスキルなのかわからないが、跳べば届く距離だったのに動けなかった。


「スキルだろう。我も今のは何かわからないが、少なくとも我がすぐにどうこうできないということは精神性ではなく肉体的なスキルだ」


「ならばワタクシの出番ですね。ラウル様に代わってワタクシがあの死神と戦って差し上げます」


「そもそも、あのアザは殺した者を封印するアザ。おそらく封印したものの死神に乗っ取られたのではないか。単純に戦ってどうこうって話では……」


「また、ベルトレットのせいってことか。いや、ウランクが悪いのか。って、その前に、行けるかどうかだろ。コーロントってどこにあるんだ? ベルトレットはもういないんだ。力づくで奪い返すしかない」


「シニーちゃんなら一人でも戻って来られるじゃないの?」


「まあ、それも少しは思ったが」


 不思議そうにラーブが聞いてくる。


「薄情!」


「ラーブが言ったんだろ」


「冗談だって」


 ケラケラ笑うラーブ。


 全く、今はシニーのピンチだろうに。


「アイツは仲間だ。それに、自分で抵抗できないんじゃ戻ってくるのも無理だろ? で、どうなんだ? 何か知らないか?」


「……」


 しかし、俺の質問に対しなぜか誰も返事をしない。


 もしかして、誰にも知られていないような場所なのか?


 俺もそんなに地理が詳しい方じゃないから人のことを責められないが。


「我から言えることは一つ。魔王の部下にならなかった荒くれモンスターたちの巣窟。その最奥にあるダンジョンの名前ということだ」


「なら、ヨーリンが何か知ってるんじゃないのか?」


「ええ。多少は。ですが、神様の言う通り、誰一人ワタクシの部下ではありません。場所しか把握していないと言っていいでしょう。ウランクが説得を試み失敗しています。道中話の通じる方々はいないと思った方がいいでしょう」


「なら、神の移動は?」


「残念だが人の話を聞かないようなやつらの居場所だ。誰も神に祈ったりはしない。自分か他の何かを狂信的なまでに信じている。我の力で立ち入れる場所ではない」


 ということは、自らの足で目指さないといけないわけか。


 だが、どこにあるのかを知っているなら大丈夫だろう。


 期日までは多少時間がある。邪神討伐の疲労もあるだろうし、情報を整理してからシニーを助け出そう。


 できるだけ早い方がいいが、シニーは女の子の前に死神だ。簡単にくたばるようなやつじゃない。それは俺がわかっている。


「焦っても仕方ない。じっくり目指すことにしよう。まずは休息が俺たちのやることだ」


「なら、ワタクシとベッドで」


「あの部屋全員入らないだろ。って思ったけど、帰るよりはあそこが近いか。俺男だぞ?」


「大丈夫大丈夫。おにいはほら、わたしの姿に戻って。ヨーリンさん。お風呂とかある?」


「もちろんです」


「お、おい。なんで乗り気なんだよ」


 まあ、疲れて元気がないよりはいいか。


 俺たちは予想外にも魔王城で一夜を明かした。

いつも読んでくださりありがとうございます。


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