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冬のアルビレオと星の風

作者: 逢乃 雫

街灯さえ震えて見える


冬の大通り



吹き荒ぶ風が


冷たく頬を叩き


心まで


飛ばされそうな夜



空ではたなびく雲が


さざ波のように


冬の銀河へ打ち寄せて



その空を青い炎で


焦がしていく


シリウスの星風




星の風に吹かれて


シリウスは


燃え輝きながら



それは風の星


吹きしく風の彼方で



ゆらぐことなく 


青く燃え続けて



熱い夢の煌めきに


寄せる想いの灯火に


焦がれていくように




星の風に吹かれて


瞬く二重星


冬のアルビレオ



空に咲くパンジーの


花びらのように



青と黄に輝きながら


寄り添い瞬き合う


二つの光



銀河鉄道の窓から


眺める銀河の


シリウスと同じ星座に




空は時として


星たちを隠して


冷たい風を吹かすけれど



やがて雲は過ぎ去り


そのとき夜を照らして


青空をひとしずく


与えてくれる風の星



シリウスは


青く澄んだ色をして




太陽は時として


この瞳には


眩しすぎるけれど



シリウスの青き光は


ずっと見つめて


いられるから



空へとこぼれ落ちた


心の海の


ひとしずくのように




そしてその光を


目指して進む


冬のアルビレオ



吹き荒ぶ風の中


それでもなお咲く


パンジーの花のように




風を切って走る


銀河鉄道に乗って



青く澄んだ


シリウスの光を信じて


明日へと向かえたら



そして


やさしくあたたかな


星の光のように


その心に寄り添うことが


できたなら




冬の、アルビレオのように













おおいぬ座には、全星座の星で最も明るく「青星」「風星」とも呼ばれるシリウスや、「冬のアルビレオ」と呼ばれる二重星があります。アルビレオは、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にも登場するはくちょう座の星で、おおいぬ座の方を「冬のアルビレオ」と言います。シリウスは、「光り輝くもの」「焼き焦がすもの」の意味とされています。


また、パンジーは冬の寒さに強く、様々な色の花びらで、フランス語のパンセ(考える)に由来し、「物想い」のほか、青は「誠実な愛」、黄は「つつましい幸せ」などの花言葉があります。


冬空に輝く風星と寄り添い合う冬のアルビレオをモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 冒頭を読みながら、本当最近さむすぎ……と共感しつつ、段々と美しい空に広がっていく世界観に惹かれました。 街灯も震えて見える、正にその通りですね。 パンジーの花に星を見立てつつ、星にパンジーの…
[良い点] 昨夜は、天気に恵まれませんでしたが、今夜は、星がきれいです。 おおいぬ座も、よく見えました。「冬」のアルビレオは肉眼では難しいようでした(最初、思わず白鳥座を探してしまいました!)。画像で…
[良い点] >冬の、アルビレオのように この言葉にグッときました。すべてが集約されるように感じました。 シリウスが強烈なので、あまり有名ではないそうですが、とっても美しい二連星なのですね。パンジーに例…
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