第3話 蜘蛛
蜘蛛は器用に棒の上を動きまわる。
ブスッ
「いたー、っていたくな、い?」
蜘蛛の足が棒をつかんでいた右手に刺さった。が、痛くはない。
「あっ、でもこれ抜けないじゃん」
スポッ
蜘蛛が動き足が抜ける手には穴が空いたままだ
「痛くはないってことはわかった。でもこれどうやってわたればいいん?」
蜘蛛はひたすら棒の上を動きまわっている
「ちくしょー!やってやる~~~!!」
私は穴が空いたままの右手も使い必死に進む。蜘蛛の足が手を掠めるが自分の運と勘を信じて進み続ける。
前方に他とは違う色の地面が見える3メートル×3メートルくらいの地面にポツンとドアがある。距離はあと20メートルほど。もう少しだ
ぴゅー。
「ふぁっ!?」
間一髪でかわしたが蜘蛛が糸を吐いてきた
「そりゃないっすよ。蜘蛛の兄貴。」
冗談でも口にしないとやってらんない。糸をよけれたのはまぐれだっていうのに再び吐こうとしている
ぴゅー。ぴゅー。
「リロード速くない!?」
救いなのは直線にしか進まず、放った糸は暗闇に消えることぐらいだ
「うにゃー、ハードモードすぎる~~~!!」
私は思いきり足をあげ棒に引っ掛け糸を回避し、すぐに足を下ろし、進み続ける
「ちよっ!?糸吐きながら近づくのずるい!」
だがそんな事情は気にしないと、糸が吐かれる
「No~~~」
うまくかわし振り子の原理で地面っぽい場所に翔ぶ
「そいやー! って届かない!?」
少し届かず落ちそうになるが強運なのかなんなのか。
蜘蛛が吐いた糸が地面を支えている暗闇にくっついている。
糸に着地するとトランポリンのように高く跳ね、ドアの前にたどり着いた。
「ハアー。死ぬかと思った。」
私は迷わずドアを開け、進むのであった。