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また君に会えるまで  作者: 葉耶
弟子と一緒に…
8/14

白いポピーと真っ赤な…(前編)

前回の続きです。

タイトルにある通り、今回はちょっと長いので前編と後編に分けようかなと…w

更に長くなったら、次話は中編になるかもしれませんが…。

少し暗い表現があります。ご注意ください

――――ロスside――――

 僕の目の前でヒナが泣いている…。ポピーの花畑の前で倒れたまま動かない傭兵…セルヴァンテスを見ている僕は、ただ地面に広がっていく血を眺めていた。白い花が真っ赤に染っている。

 僕は助けようとしていただけなのに…。どこで選択肢を間違えたのだろうか…?

 遠くで血の匂いを嗅ぎつけた魔物達が迫ってくる。

 そもそも、何故こんな状況になってしまったのだろうか?宿屋での会話を思い出す…。


〜〜数時間前〜〜

 「それで?俺に何か用か?セルヴァンテスさんよ。」

 竜化していたけれど、森で急に攻撃された事もあり…あまり信用出来なかった。ふと、左手の小指に暖かなものが触れる。ヒナの手だと気付いた時には遅かった。

 (怖い…。この人、一体何をしに来たの?この人と話していて大丈夫なの??師匠、私の前から居なくならない…よね?)

 ヒナの心配そうな心の声が聞こえた。

 そう、僕は1度死んでしまってから、他人の心の声を聞く能力を手に入れてしまったのだ。僕はそこまで他人の気持ちとか聞きたくないから、直接肌に触れられても聞こえないように設定してあるが…。今回のように突然触れられたら嫌でも聞こえてしまう…。普段触れる時はしっかり聞こえないようにしているのに!!つか、ヒナの手めっちゃ柔らかいな!!え?これ本当に人間の手か?!

 そんな僕の心境を知らないセルヴァンテスは言う

 「儂の…儂の孫を助けて欲しい」

 てっきり、森での決着をつけに来たのかと思っていたが…気付いていなかったようだ。僕はこっそり安堵しながら座って詳しく話を聞く事にした。


――――ヒナside――――

 さっきからずっと師匠とセルヴァンテスが部屋にある椅子に座り、向かい合って話していた。

 私はそれを黙って眺めていた。だって、魔法士ではないし、ましてや薬学士でもない…。それに、旅を始めたばかりの初心者だから、話に加わる事が出来なかった。

 ムスッとしながら、彼らの話を聞こうとする。しかし、何やら難しい話をしていたようで全く単語の意味がわからなかった。ただ、セルヴァンテスさんの孫が大変な目にあっているということしか…。

 私は諦めてベッドに潜り込んだ。ベッドと毛布の隙間から少し覗いてみる。ほんの少しの隙間だったのに、師匠と目が合う。

 「ヒナ、眠いならしばらく眠っていていいぞ?大丈夫、出掛ける時はきちんと声かけるから。」

 「別に眠くないです…。話に加われなくて暇なだけです。」

 師匠が困ったなと言いたげな表情をした。

 (そういえば、さっき師匠の小指を握った時も同じような表情してたっけ…。)

 と、魔物から逃げたりして体力を使ったからだろうか?そのまま意識を失った。


――――ロスside――――

 ヒナがぐっすり熟睡している事を確認し、僕はセルヴァンテスと会話の続きを再開した。

 話を要約すると、セルヴァンテスの孫は、数ヶ月前に病に侵されたそうだ。その時はただの風邪ですぐに治るだろうと思っていたらしい。

 けれど、次第に悪化していって…高位な薬学士ですら治すのが困難だと言われたようだ。それで、治してくれそうな人を探しながら傭兵として治療費を稼いでいた…。そして、この村に着いてすぐに魔法士が居ると聞いて、宿屋まで来たそうだ。

 「お願いだ、どうか…どうか孫を助けてくれ…」

 今にも消え入りそうな声が部屋に響いた。

 僕は、

 「助けてくれと言われてもね…。病名がわからないとどうしようもないんですが…?」

 「すまない…病名はなんと言っていたか…。風邪のようなもので、どんどん進行して行くと、やがて皮膚が剥がれ落ち、痛みもなく亡くなるそうだ。この情報だけでわかるか?」

 口の中が急速に乾いていく…。だって、それは…その病は…。

 「…麻痺病。」

 「それだ。確かその名前だったぞ!!…儂の孫は治りそうか??」

 不安気な様子で僕の返答を待っている。あぁ、どうしてだろう…どうしてここでも名を聞かなければならないのか…。僕は言った。

 「その進行度がどれほどなのかわからないのでなんとも言えませんが…。その病は、かかったら最後…今の魔法士や薬学士では治せません…。」

 「嘘だろ?どんな病にも特効薬はあると…儂は聞いたんだぞ??なのに、治らないとは…。」

 そのまま膝から崩れ落ちるセルヴァンテス。その様子を見て、あの日…僕が麻痺病だと診断された時のルフと同じだと思った。

 「一つだけ…方法がありますが…。かなり危険ですよ?それでも行きますか?」

 気付いたら、そう言っていた。

 「儂の孫がそれで助かるのなら!!」

 「わかり…ました。明日向かいましょう。」



 この時、止めておけば冒頭のようにならなかったのに…。

ありがとうございました!!

次回、どうしてそんな状況に陥ったのか…詳しく書こうと思ってます。

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