ロスフィルド・リーデロットの決意Ⅱ
前回の話の続きです
今回は少しグロい表現がありますので、苦手な方はご注意ください
ドスッ…何かが倒れるような鈍い音が響いた瞬間、同時に体の感覚が戻ってきた
目を開いたら認めざるおえない現実を見なければならない…そんな嫌な予感がしていたが、ロスは無理矢理目をこじ開けた
麻痺病で死ぬ前に見た紅くとても綺麗な夕焼け空と違い、今眼前に広がっているのは真っ暗な墨汁を垂らしたような空…鈍い音の原因はすぐにわかった
仮ではあるが、ロスもルフと同じ神竜だ…目を開ける前からわかっていた…わかっていたが、弟として認めたくない…認めるわけにはいかなかった
だって、認めてしまったら心が壊れてしまいそうだったから
けれど、見てしまった…見えてしまった
自分の近くに…黒い空に映える真っ白な髪と肌、目元から流れ落ちていた透明な涙、血色が良かったはずの頬と唇…そして、胸元から零れ落ちるドス黒い血液
そう…自ら命を絶った兄、ルフの姿を…
急いで血を止めに行こうとするも…まだ体を自由に動かす事が出来ない
必死に近寄ろうとしながら呼びかける
「う…うぅ…」
しかし、乾いた喉から出たのは呻き声だけだった
(どうして?どーして兄さんが??ねぇ、嘘だと言ってよ!!)
心の中でそう叫ぼうとするも声にならなかった
どうにか兄のルフの元へ辿り着けたロスは、傷の手当をしようと触れて…知った、知ってしまった
もう、ルフは死んでしまった事を…
「な…んで?どう…して??」
涙を零しながら掠れた声で疑問を口に出すも、答えてくれる人達は既に…
「あ…」
不意に口から声が漏れたと思った次の瞬間、人の声とは似ても似つかない叫び声が辺り一面に響いた
どれくらいの時が過ぎただろうか?ルフの亡骸を抱きしめたまま泣き叫び疲れたロスは、1人…ルフと村人達との別れの準備を進めていた
バラバラに引き裂かれた者、原形も残さずぐちゃぐちゃにされてしまった者…そして、炎に焼かれて性別すら不明だった者
それら全てをひたすら治して、治して、治して…治し終わり、1人1人声をかけ…泣きながら埋葬していく
最後にルフを埋葬し、そのまま自らも命を絶とうとしたロスは…何度も、何度も何度も剣や爪で体を貫き、切り裂いたが死ぬ事が出来なかった
この時のロスはまだ知らなかったが、ロスが麻痺病を発症した時から今まで…村人達はたった1人の村の大事な少年であるロスを治してもらう為だけに、数年に1度の願いを使う事を決めていたのである
本来なら、麻痺病が治るだけだったが…その前に死んでしまったが故に、ロスを不老不死にする事で願いを叶えた
けれど、ロスの病気を治したい…そう願った者達が死ぬ事が、不老不死になりロスが生き返るための条件だった
死ぬ事が出来ないと悟ったロスは…1つ誓いを立てていくことにした
振り向き、ルフの墓に向かってこれから先数百、数千年先も続いていくであろう呪いという名の願い…
「ルフェン・リーデロット…いつか君が生まれ変わったら、きっと会いに行く
何千年、何億年先でも…僕はここの人達のおかげで不老不死になったから必ず会いに行くよ…例えどんなに離れていてもね」
と、遠き未来へ向けて約束をした
というわけで、ロスフィルド・リーデロットの話はこれで終わりです…はい
本当はもう少し書き込みたかったんですが…これ以上書いたら文章がおかしくなるかなーと思い泣く泣くいくつか省略しました
今後の展開次第で出す予定なので楽しみにしててください(震え声)
最後に、ルフや村人達の願いを叶えたのは誰でしょうね
PS.前回の小説のタイトル修正しました
変更前:ロスフィルド・リーデロットの災難
変更後:ロスフィルド・リーデロットの決意
理由?普通に何が災難なのだろう?とかなりそうだったから??(適当)