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第八話 不本意な約束と出会いの前兆

第八話でっす。読んでやってください。

三日目だ。今日中に魔物の素材をたくさん集める必要がある。まだ薄暗く霧がかった森のなか、昨日の様に肉を焼いて朝食を済ませる。身支度を済ませて、行動に移る。


『風精探訪』


周囲の魔物の状況を確認する。視界の端に探査とは別のマップのようなもの表示された。赤い点が表示されている。近いところから片付けて少しずつ奥へいこう、こういう森だと奥の方に行くにつれて強い魔物がいるのが定石だし。


「さて、始めようか」


魔力を練って身体強化を発動させる、淀みなく魔力を循環させていく。マップを確認すると、近くに5匹で群れて移動している集団がいた、まずはこいつらからにしよう。近づいていくと向こうも気づいたようでこっちへ向かってくる。


〈まもなく会敵します〉


「グルルルーーー」


_________________________

ブフェーラウルフ


群れで行動することが多く、風の様に素早く鋭い一撃を持ち味に襲ってくる。

_________________________


早い、これが多対一のプレッシャーか、一対一とは全然違う。どいつから迫ってくるかわからない以上、一瞬たりとも気が抜けない。どうするか……こういう場合焦って突っ込むのは得策とは言えないだろう。お互いに気付いている以上奇襲で相手の輪を乱して終わらせるのは無理だ。ブフェーラウルフが突っ込んでくる。


「だからっ!」


カウンターをぶち込めばいい。一匹の首を刎ね飛ばす。

場の流れをつかみたいなら相手の意表を突いて流れを断ち切ればいい!

意表を突かれたこともあって動揺しているようだ、連携が乱れている。せっかくだ慧智者が見繕ってくれた魔法も使うか。


『アイス・フロア』


ブフェーラウルフの足元が凍り付いていく。


「ワウッ!?」


また首をはねる、三匹目を狩った所で逃げ出された。指先から雫の弾丸をを生み出す。


『デュー・ブレット』


追い打ちを掛けるように残りの二匹も打ち抜いた。


「キャインッ!?」


倒した、倒せた。大丈夫だ、やれる。落ち着いてやればなんの問題もない、その力もある。死体をアイテムボックスに収納して、次の獲物を探す。


「見つけたぞ、次!」


そうやってどんどん獲物を倒していった。

オークや昨日のエノルムボア、パウーアオーガ、アンゴッシャトロールなど様々な敵を狩った。気がつけば日が落ち始めようとしていた。

ブフェーラウルフの群れをもう一つ見つけ戦おうとすると突然


「GAAAAAAAAAAAAAAA」

_____________________________________

ラッビアベア


普段はおとなしいが一度怒ると手も付けられないほど凶暴になる。

大きな腕による攻撃に注意が必要。

見た目に相反して動きが素早い

______________________

ブフェーラウルフを無視してこちらを睨む。


全身に鳥肌が立った、すごい威圧感だ。


『身体強化』


魔力を練り上げ驚き固まりそうになる体を何とか動かす。


〈スキル【威圧】の解析、模倣が完了、取得しました〉


この威圧感はスキルによるものだったのか、普段はおとなしい?ならなぜこんなに怒っている。ブフェーラウルフに見向きもせずにこちらへ迫ってくる。なぜあいつらに見向きもせずこっちに来たのか、人に何かされたのか?ということは近くにいるのか?【風精探訪】を使った所から大分奥へ進んだから表示されているマップの範囲もわかる部分はもう狭い、とはいえ今は考えている暇はない。


「GUGUGAAGAGA」


「悪いけどお前はここで殺す(狩る)ぞ」


そう言って鞘から刀を抜き構える。


「GARAAAAA」


右手の大振りが来る横に一歩動きそれをかわし、腕を落としそのまま背後から袈裟切りを見舞う。

それでもなお襲い掛かってくる。顎を鞘で殴り上げ、そのまま空いた腹を薙ぎ蹴り飛ばす。


「GUGUU」


腕を落とされ腹を開かれた、そんな状態でなおも瞳に怒りの炎を絶やさずにこちらを睨んでいる。やっぱり何かされたのか……()に。


『風精探訪』


マップの範囲を広げる、ここから少し離れたところに青い点が集まっていた。その脇に赤い点がいくつかと()()()が一つ。そうか、子供を攫われたのかそれなら納得がいく。子を奪われて怒らない親はいないだろう。自分の平穏が脅かされる、そんなこと許せるはずがない。俺が今の生き方を邪魔されたとしたら、当然怒るだろう。自分の平穏を脅かしたものは殺すだろう。この世界で殺すことは生きることに他ならない。積極的に敵を作ろうとは思わない、敵を増やしても何の利にもならない。


「お前の怒りはもっともだ、とはいえお前に殺されるつもりはないしここでお前を逃がすつもりはない、代わりにお前の子供を自然に帰すと誓おう」


人に怒りを覚えた魔物に人の言葉が、人の誓いが伝わるかは分からないだがそれでも伝えた。


「………………」


ラッビアベアは黙って頭を垂れた。


「あとは任せておけ」


そう言って首を刎ねた。一息に余計な苦しみを与えることの無いように。

約束は守る、必ずだ。気分の悪いことをさせてくれる。


「なんの得にもならない約束をさせられたんだ。情けがあるとおもうな」


―――雪人の赤黒い目が鮮血の様に緋色の光を放っていた。

よろしければブックマーク・ご感想・評価よろしくお願いします。

ラッビアベアとの遭遇を昼頃から夕方へと変更しました。

ラッビアベアとの戦闘時にスキル【威圧】の描写を追加しました。

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