第七話 新たな決意と愛の萌芽
第七話でっす、読んでやってください。
【獣霊】から【霊獣】へと表記を変更しました。
「うっ……痛っ……」
目が覚めると太陽は天高く上がり折り返しを迎えようとしていた、14時くらいか?まあいいか。とりあえず、体中が痛い。
〈おはようございます主、探査による監視の報告を行います。昨夜のエノルムボアに警戒しているのか他の魔物の接近はありません。ですので、氷の結界を解いても大丈夫かと〉
その言葉を聞き結界を解く。アイテムボックスから水を取り出して飲む。この水減ってる気がしないんだけどどうなってるんだろう、まあいいか。頭から水を被り、次に顔を洗う。よし!目さめた。
「とりあえずおなか減ったなあ。ちょっと重いかもしれないけど早速昨日の戦利品を頂きたいな。慧智者さん、解体のサポートおねがい」
〈かしこまりました、お任せください。〉
そう言って、エノルムボアを取り出す。解体に使うのミスリルナイフだ。まずは血抜きか、血は強壮剤の材料になるらしいから取り敢えずは捨てずにとっておこう今は瓶がないから凍らせてアイテムボックスにしまっておこう。続いておなかを開いて内臓を傷つけないように取り出す、軽く水で濯いでから。適切な下処理をしてアイテムボックスに入れていく。
「せっかく新鮮な腸があるわけだしウインナーとか作ってもいいなー」
そんなことを考えながらも作業を進めていく。肉をトントロ、肩、肩ロース、ロース、ヒレ、もも、バラ、そとももと切り分けていく。どの部位も引き締まっていて絶妙に脂がのっていてますますお腹がすく。よし!解体終了だ。しっかし元がデカいだけあって、一つ一つが部位が大きいな。食べ甲斐がある!
今日はたいした調理もできないし、もも肉にしよう。木の枝を鋭くとがらせて何本か簡易的な串を作る。
もも肉を一口大にきってバーベキューみたいにさしていく。幸いにも昨日、胡椒の実をを収穫していたのでそれを使おう、あらかじめ乾燥させておいたからこれを砕いて肉に振りかける、後は焼くだけだ。
焚き火に当てて焼いていく。手ごろな岩に腰かけて焼き上がるのを待ちながら、今後のことを考える。
取り敢えずステータスを確認するかな。
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名前:ユキト・アカハラ 人間 男
職業
Lv.1→10
HP:200/200→700/700
SR.D (S→A→B→C→Dの五段階Sが最も高い)
物攻 D→B
物防 E→C
魔攻 D→C
魔防 F→D
敏捷性 E→B
(S→A→B→C→D→E→Fの七段階Sが最も高い)
エクストラスキル
慧智者 アイテムボックス 素質付与 成長補正 霊獣憑依
ユニークスキル
?魔法(封印)
スキル
水魔法
【氷狼噛砕】
風魔法
【風精探訪】
光魔法
刀術
探査
身体強化
加護
神々の加護
???の加護
氷狼の加護
嵐鷹の加護
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【霊獣憑依】 エクストラスキル
武器に宿った霊獣を体に降ろし、身体能力を大幅に強化し一時的に格を引き上げます。
降ろした霊獣によって使用できる能力が変わる。
【身体強化】 スキル
練り上げた魔力で筋力を強化し身体能力を上げる。
レベルが一気に10まで上がってるし!あの猪こんなに経験値高いの?ステータスの上昇が異常だろ!でもさすがにSRは上がらなかったか。
〈戦闘による経験値の取得は2種類に分類されます。 まず、通常の経験値。魔物の個体ごとに決まった数値があり同種の魔物には同量の経験値が討伐するだけで得られます。 続いて、戦闘経験による経験値です。こちらは相手取る魔物は関係ありません。自身が戦いの中で得た経験がそのまま経験値となって得られますが、生半可な戦闘では得ることのできないものとなっております。 生命の危機であったり肉体的にも精神的にも追い込まれた状況下で脅威に打ち勝つことで得ることのできるもので、これによって得た経験値はステータスを大きく成長させます。ゆえにこの経験値は戦神の恩恵とも呼ばれています。そしてSRの向上、いわゆる器の昇華は器の成熟とこの戦神の恩恵によって成り得るものがほとんどだとされています。そのためSRの差は明確な格の違いとして知られています〉
つまり、普通に魔物を狩りまくってレベル上げをした者よりも、少し危険でも格上の相手と戦った方がステータスの成長度合いに明確な差が出るわけか。レベル差だけではこの世界の強弱は決まらない、それが分かっただけでも上々かな。
「おっいい感じに焼けてるな」
考え込んでいると豚のもも肉も焼き上がっていた。それを頬張りながらなおも考える。今回勝てたのはあの武具の力があってこそだ。今の俺じゃ武器に使われているだけでそれを生かすことはできない。まずはこいつらを理解することからだ。
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氷狼の太刀
氷狼の加護を与えられた太刀、水属性に大幅な補正がかかる。
魔力を込めることでその切れ味は研ぎ澄まされる。
霊獣憑依で氷狼を降ろすことができる。霊獣憑依時に最も能力を発揮する。
嵐鷹のローブ
嵐鷹の加護を与えられたローブ、断熱性・保温性ともに優れており、外側の生地はとっても丈夫で斬撃や打撃、魔法に対して優れた耐久性を持つ。
魔力を込めることで敏捷性、隠密性が装着者に付与される。
霊獣憑依で嵐鷹を降ろすことができる。霊獣憑依時に最も能力を発揮する。
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やっぱり普通の武具とは一線を画している。どう考えても今の俺にはふさわしくない武具だ、でも……。
――――――思うままに駆け抜けなさい。
――――――我を失望させるなよ小僧、己が道を突き進め。
そう、言ってくれたんだ。どう考えても弱い、この力に見合わない俺に託してくれたんだ。なら俺がすべき事はそれに応えるために自分を高めるだけだ。
今の俺に足りないのは“選択肢”だと思う。昨日の戦いも直接手に掛けることにこだわらずに、魔法を使っていればおそらくあれほど苦労はしなかっただろう。しかし、氷狼噛砕のような魔法は威力に優れてはいるものの機転を利かせられるような利便性を備えた魔法ではない。
どうすれば――――――なんて考えるんだろうな今までの俺は、他人は信用ならないでも今の俺には一心同体の仲間がいる。だから落ち着いて思いつくものを試せばいいし何だったら丸投げしちゃえ。
「慧智者の叡智に一般的な魔法の知識ってあるか?」
〈はい、この世界では適正の高さはともかく誰でも一属性は適正を持っていますので基礎的なものは知れ渡っています〉
「その中で知識だけで構築できそうなのを適当に見繕って構築してくれない?」
〈お任せください、私は主のスキルなのです。すべては主の御心のままに〉
「ありがとう、俺の記憶もフルに活用してくれ」
ここで俺が何もしなければただの依存だ、怠惰な豚になり下がる気はもう無い。今の俺は人一人分余裕をもって行動できるんだ。そこを生かすべきだ。俺の武器はなんだ、地球で得た知識、叡智、そして素質に成長速度だ。一点突破の強さは霊獣が貸してくれる。だから器用貧乏でもいいから手数を増やそう。
よしっ今後の自分の戦闘スタイルとかは何となく決まった。今度はもっと現実的な問題だな。まだ二日目とは言え町へ行くことも考えなければならない。金もない状態で町へ行ったところでできることは少ない。この森の魔物にどれだけの価値があるのかは分からないけど多いに越したことはない。それにローブで隠れているといってもいつまでもこの服のままってのもな。だから明後日だ、明後日街に行こう。街に行ってこの世界の常識に触れよう。
「明後日に町へ行く、だから明日中に可能な限り素材を集めるぞ。だから慧智者、フルに力を貸してくれ惜しむ必要はない全力でだ!」
〈かしこまりました。全霊を賭してサポートいたします〉
自分を追い込む、リスク無しに確実な成長は見込めない。少なくともこのSRの上位に居なければ。雑魚のままじゃ淘汰されるだけだ、いつかじゃ間に合わないんだ。4つも上がいるんだ。必要な時に必要な力を持つために!
この時の俺はまだ気づいていなかった黒目だったはずの目が赤黒く染まっていたことに。
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