開戦
俺と晶子がドタバタと騒いでる間に水面下で事は起こっていた───
「ふふっ……ショータイムの始まりじゃな。」
学園の門に立つ人間がそう呟いた
──刹那、学園の景色が一変する
眩い金色の壁に学園が隔離される、所謂結界という魔術を使ったのであろう
結界の発動を確認してから先程呟いた人物の後ろから数100人ものベールに身を包んだ魔術師達が現れる
軍勢を引き連れ先程の人物は二つに結んだ金髪を揺らし歩を進めた──
「侵入者有リ!生徒は直ちに避難せよ!!教師は即刻侵入者の排除に当たれ!!繰り返す!侵入s─」
ブツリと音を立て放送が途切れた
晶子が騒ぎとても目立つため俺達は中庭に場所を移していた、その最中での出来事である
俺達は広い中庭の中心にある池の淵で唖然としていた
「何が起きているんだ……?」
「わからない……でも火垂、貴方が危なくなったら何に変えても私が守ってあげるから……絶対に。」
「……。」
「このっ……離しなさいよ!!!何するの!!!」
中庭の端から叫び声が聞こえる、振り返るとそこにはベールに身を包んだ男3人に囲まれて掴まれている銀髪のロングの少女がいた、知っているアイツは確か同じ学年で男子生徒が独自に行った美少女ランクトップクラスの……鷺沢 冬華だ
「……侵入者ってアイツらの事か……?」
「そうみたいね……まさか助けるつもり?私以外の女を?」
「……めんどくさいがアイツらを倒せば情報が得られるかもしれないしこんな非常事態だ仲間は多い方が晶子を守れるだろう?」
「火垂……。」/////
チョロい。
俺は中庭の淵へ走り出し魔力を循環させた
突然だが、この世界の魔術には属性がある
基本的な属性である火、水、雷、風、氷の魔法は魔術原理術式と言われ多くの人間がこの魔術のどれかの適正を持っている
しかし、特殊な属性の魔術も存在する
回復や魔術の妨害なのに適した 光の魔法、恐らく今張られている結界はこの光魔法だろう
破壊に特化した 闇の魔法
「距離が遠い今、俺が選ぶべき属性は……。」
「疾雷」
紫の雷を身にまとい俺は瞬く間に男達に距離を詰め拳を御見舞した
男達は吹き飛ばされ意識を失った
「おいおい……まじかよ、この程度で気絶するとか本当に魔術師か……?てかどうすんだ情報が得られないだろうが……。」
「凄い……」
呟く声がした
振り返るとこちらを見つめる鷺沢がいた
「あなた、凄いのね見事な雷の魔術よ……。」
「お褒めに預かり光栄に思うぜ、鷺沢さんよ。」
「私のこと知っているのね……そのバッジを見ると同級生なのね、よろしくね。」
「ああ、よろしく頼む俺は太刀華 火垂って名前だ好きに呼んでくれ、ところでなんだが今どういう状況かわかるか?」
「ごめんなさい、私はわからないわ……でも校舎の中の生徒会室に先生達が何人かいるみたいよそこに行けばわかるかもしれないわ。」
「そうか、ありがとう俺達は生徒会室に行くが鷺沢は?」
「私も御一緒させてもらおうかしら、1人では心細いですもの……俺達?」
「ああ、連れがいるんだ……。」
俺は背後に迫るどす黒いオーラを感じながら鷺沢へ晶子を紹介した
「火垂……私以外の女とのおしゃべりは愉しい?」
「あ、あの晶子さん?私冬華って言うの、その、よろしくお願いしますね?」
「私の火垂に色目を使わないで頂戴……それとあまり火垂に近づかないで、それができるならよろしくしてあげない事もないわ。」
「あは、あはは……よろしくね……。」
俺達は冬華の乾いた笑いを聞きながら生徒会室へ向かうため校舎の中へと歩み始めた