あの夏に帰る
すみません、とても分かりづらいと思います。
まだ中途半端な感じですが、形にはなったので上げてみようかなと。
恋愛ものを書いたのは初めて。
批判も覚悟の上です。
それでは。
そこには僕がいた。そして、君がいた。
暑い日差しに、僕は目を細める。雲一つない晴天に、夏が来たんだな、と意味もなく思う。
夏は、そこまで好きではない。暑いし、じめじめするし、食べ物はすぐ腐るし、何より暑い。好きになる要素が見つからなかった。
それでも、子供の頃は好きだったかな、と遠くを見て思う。遠くではしゃぐ子供を見て、そう思った。
いつからだろう。嫌いになったのは。ああ、そうだ。あの頃は僕がいて、そして、君がいたんだった。そう、あの夏に、君は。
「まってよう!」
「早くぅ! 遅いってば!」
僕が走る前を、僕より早く君は走っていた。肩くらいまで伸ばした黒髪を揺らしながら、初めて着た制服に、君は心を踊らせていた。幼い顔に、快活な笑顔を貼り付けて、ともすれば、男子に間違われそうな少女が僕の前を走っていた。
僕はと言うと、自分の分と、押し付けられた鞄を両脇に抱えて、必死こいて走っていた。もともとそんなに変わらない速さだったから、こんな状況では、差が開くばかりだった。けれど、そんな僕も少なからず浮かれていた。君の制服姿が、思った以上にかわいくて。
「まてってば!」
「早くしないと遅刻するってば」
「じゃあ自分の荷物くらい持てよ!」
「いやー」
きゃはは、と笑いながら、君はくるくると回りながら走っていく。ちくしょう、と思いながらも、それ以上強く言えない僕も僕なのだが。
今日は、中学の入学式だ。片田舎にある、小さな中学だから、ほとんどは小学校からの知り合いだ。それでも、朝は緊張していた。そんな時、君がきた。いつもより、小学校の時より、少し早い時間。最初は誰だか分かんなくて、名前を聞いて、恥ずかしくて顔を赤くしたんだ。
夏休みの恒例行事、夏祭り。小さな町だから大したことはないけれど、それでも、僕たちにとっては大きな行事だった。君は浴衣に身を包んで、いつもより少しだけ大人びた顔付きで、それが僕の心臓を速くする。
この日も、去年と同じ場所で待っていた。やけにサイレンが煩いな、と思っていた。それがまさか、君だなんて、普通、思わないじゃないか。
事故だった。たまたま緒が切れて、転んだところに右折車が来た。不運だったと言えば、そうだろう。けれど、命だけは助かった。それだけだ。何度も君のお母さんに謝られた。そして、忘れてくれと言われた。
そんなのって、ないだろ。
それから僕は、毎日君のところへ行った。毎日毎日。
気がつけば、十年たった。同級生には、結婚した人もいた。僕は、今年も君のところへ行った。
そんな時だった。
病室に入って、僕は目を疑った。君が、身体を起こして、窓の外を眺めていたから。絶句する僕に、君は言った。僕を僕と認識せずに、初めて会った人みたいに。
「お祭りは......?」
君の時間は、あの夏で止まっていた。君の顔も、あの夏のままだった。僕は、その場でくずおれた。慌てる君をほったらかして、溢れる感情が止まらなかった。
帰ろう、あの夏に。また、あそこからはじめよう。
また、二人で。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
タイトルはツイッターの診断で出たので、あれだったら変更しますが、びびっと来たものがありまして、書いてみました。
ぶっちゃけ、一時間掛かってないです。
もうちょっと丁寧に書いたものを今夏中には再度上げたいとは思っています。
もし気に入ってくれたなら、そちらも読んでくださると嬉しいです。
感想等ありましたら、よろしくお願いします。
…………一体いつちゃんと書き直すのさ私。(2020/5某日)