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63 投降と襲撃

「おい、無線を貸せ。」


通信機を、背負っていた兵士が、受話器を取った。


「あ〜こちら、HQ偵察隊2名応答せよ。」


『はい。』


「今どの辺にいるのだ?」


『は。先程関を、通過しました。あと、2日程度で着きます。』


「そうか。では、何かあれば直ぐに通信するように。周波数はこのままだ。分かったな?」


『は。それでは、失礼致します。』


「うむ。」


無線を切り考え込む遼一は取り敢えず、参謀長を呼ぶ様に、傍に居た兵士にいった。


「閣下。参謀長をお連れしました。」


「うむ。中に入ってくれ」


書類に、印鑑を押しながら参謀長に、部屋に入る様に促した。


「閣下お呼びでしょうか?」


「うむ。参謀長は、今後どうなると思う?」


「それに関しては、ツール王国の無条件降伏か、空挺で突入させて門を開けて攻めるか、空挺で王宮で突入かです。」


「まぁまだ半分しか、占領しておらんからまだ、降伏はせんと思うが、例外もあるからな速く降伏してくれないかな。」


「全くですな。当事国とはいえですか。」


「君含めて2人目なんだけど、これを見てくれ。」


遼一は、pc画面に映っているExcelの表を見せた。


「経済のやつだが分かるか?」


「よ、よく分かりません。」


「なら説明するぞ?この、青線が軍需産業で、緑が民需産業で、赤線がその他だ。見てみろこっちが開戦まで、青はゆっくりと上を向いている。民需産業は、軍需産業より重視してたからまだ増しな方だ。その他同様だが...今月の報告を集計すると軍需の割合が増えたんだ70%。民需が20%。その他10%だ。国内総生産は、まだそれほど変動はしてないが、金額を集計すると軍需以外全て赤字なんだ。食糧とかにも影響が、出てきた。経済大臣は、出費が予算を上回った領内で飢餓も出てきておるらしい...。」


遼一は、顔を覆った。


「由々しき事態ですな。貴族は、戦後に重税を貸すと噂では聞いていますが...」


「参謀長は、俺にもそれをしろと言うのか?」


「経済は、私には分かりませんので、専門家の意見を尊重してやって下さい。」


「うむ。戦死者も多く出てるからな...。」


その夜は、主に各参謀長を呼んで今後の作戦をどうするかの議題の会議を朝食まで、続いたのであった。


「(みな空挺か...空挺も悪くないが、周りの貴族共がな...やんや、やんや煩いし。手柄欲しいならもっと戦術論理をしてくれと、俺は言いたい。特に文官共目!しかしみな無言だな。)どうした?喋らぬのか?」


「そ、それが。みな厳粛な会議の後なので疲労が、出ているのでしょう。」


「そうか。では、朝食終わり次第睡眠を、取るように。」


「は。」


洋風の食事をした後、会議の為に集まっていた将校や参謀長達は、自分のテントに戻り睡眠を取った。


「空挺か...大規模な作戦だろうな。あまり街並みを破壊したくないから、空挺はいいだろうけど...多数決では空挺が占めてたから空挺か。一気に占領地域拡大か...誰か地図を持ってきてくれ。」


「は。」


テントの前に立っていた兵士が、返事をし走っていた。


「地図をお持ちしました。」


「ありがとう。君たちも見て行きなさい。」


「よろしいでしょうか?」


「構わん。何事も経験だ、出世出来ないぞ。」


「は、はい!」


「君たちはこれを見てどう思う?この線より西が占領地域だ。そして敵の領地は東だ。都市、城塞都市なども記載しているが、とある作戦で攻撃する事となったが、被害を最小限にしたい。さて、君達ならどうすかね?」


「私は、まず空挺部隊で都市又は城塞都市などに降下して一気に城門へと向かいます。そして城外にいる別動隊を開けた城門から突入させるべきかと思います。」


「勉強は、しているな。では、敵の対空兵器にはどう対処する?」


「現段階では、敵の対空兵器は弓、小型弩、大弩のみです。なので戦闘ヘリで、攻撃し沈黙させるのみかと思われます。」


「良く見ておるな。君は優秀な人材に成るだろう。頑張ってくれ。」


「ありがとうございます。」


「下がって良い。」


「失礼しました。」


「(やはり空挺か。)誰か。」


「は。」


「俺は今から、少し寝るから7時間後に起こしてくれ。」


「分かりました。ごゆっくりおやすみください。」


遼一は、深い眠りに着いたのだが6時間後に出来事が起こった。


「どうした!外が騒がしいぞ!」


「申し上げます。敵から投降したい者が参りました。」


「それにしても、騒がしくないか?」


「そ、それが。敵国の大物のようです。」


「大物か。何処に居るんだ?」


「は。陣の門の前で動いておりません。」


「分かった。会いに行ってみよう。下がって良いぞ。」


「は。」


遼一はテントから出て北へ向かった。


「お前か?投降して来たという者は?」


「その通りでございます。そしてお初にお目にかかります王位継承権第4位のシュペル・ツールと申します。」


「王族が、何故投降して来た?まだ、戦える余力はある筈だぞ?」


「簡単に申せば、意見の食い違いです。」


「たかたが、意見の食い違いだけで来るとは思えませんし、何か隠しているだろう?偽装投降なら受け付けないぞ。」


「決して、偽装投降とは違います。本音を申せば、私は最初からワイマール王国との開戦は、反対の立場だったのです。その後、気が狂ったと言う理由で、今まで拘束されていたのです。その後、戦争は敗戦ばかりと聞きおよびましたので、牢獄から逃げてきたのです。」


「投降する理由としては、まぁ分からんでもないな。しかしまだ足りんな。妻子とかどうしたのだ?」


「我が妻は、恐らく国へ帰っていることでしょう。」


「何処の国出身なのだ?」


「小国なので名前は、覚えておりませんが王国です。」


「...少し待っててくれ。」


遼一は後ろを振り返り陣の中へ入っていく。


「参謀長!」


「は。」


「受け入れた方が良いと、思うか?」


「理由は、納得出来る物ですがご注意してください。」


「分かった。」


遼一は陣を出ててまたシュペル・ツールの所へと戻った。


「シュペル殿...投降を認めましょう。」


「ありがとうございます。」


「では、みな歓迎の宴の準備をせよ!」


『は。』


その夜は、シュペル・ツールの歓迎の宴が開かれてドンちゃん騒ぎであった。


翌日、酒を飲めない下戸以外は二日酔いであった。その時本部にあった内線の音が鳴り響いた。


「もし...もし」


『ほ、本部た、大変です。約2.5km先に砂塵を確認。騎兵だと思われます。』


「方角は?」


『方角は北です。装備は重装です。』


「早く警報をならせ!」


『は、はい。』


門兵が警報装置を押し、警報が鳴り響いた。


『総員戦闘態勢へ移行せよ。繰り返す、戦闘態勢へ移行せよ。』


二日酔いであった、兵士や将校たちも慌てて起き始めた。


『歩兵部隊は配置に付き、敵が一定の距離に近づいてきたら攻撃せよ。繰り返す、一定の距離に近づいてきたら攻撃せよ。』


「羽を延ばしすぎた、ツケが回って来たぞ!起きろ!アホども!戦闘だ!」


将校たちも酔っ払っていたが、殆どの者が酔いが冷めてきていた。


「各部隊!敵がくるぞ!」


騎兵が1.5kmへと迫った。歩兵部隊は89式、5.56mm機関銃MINIMI、M4カービンを主力として敵を待ち構えていた。


騎兵900mに突入1kmを切った時、5.56mm機関銃 MINIMIが火を噴き始めた。


敵騎兵は続々と落馬して行き、立て続けにM4カービンからも5.56mm弾が放たれて、また多くが落馬して行った。


「怯むな!剣兵盾を使い前進せよ!」


山に陣取っていたツール王国の将軍が指示を出していた。


その時、4名の特殊斥候隊が森に入っていたとはツール王国将軍達は、気づきもしなかったであろう。


『こちら斥候隊。敵歩兵、弓兵に動きあり。歩兵はそちらに向かっています。弓兵は矢を構えています。』


「弓兵!矢を構え!撃てえ!」


剣兵の後ろにいた弓兵が矢を放ってきた。


「矢に構うな!撃て撃て!」


歩兵部隊の後ろからパシュの音共に81mm迫撃砲から81mm弾が弧を描いて飛んでいく。


「どんどん撃てェ!(こうも陣を敷いているとは、斥候隊からの敵軍発見は無かった。門兵からの報告だけだった、何かがおかしい。もしかして、予定地に着いていなかったか!ならばこうなる事もあったか...考えたらダメなやつだな。)」


『敵騎兵全滅を確認!歩兵残り約3000。弓兵不明。』


続々と戦況報告が、送られてきていた。敵にも、戦況報告は来ていたようだが...


「も、申し上げます。騎兵全滅。剣兵盾を装備するも残り3000。弓兵は壊滅状態です。」


「な、なんと!騎兵5000が全滅したとは...最強と謳われた騎兵が全滅だと!しかも剣兵6000いたのに半分の3000に減った。弓兵も壊滅状態だと!踏んだり蹴ったりじゃないか!」


「ほ、報告!剣兵部隊ぜ、全滅しました!」


「な、なんだと!わし直々に出る。残りの者続け!」


「し、将軍それは成りません!」


「ええい五月蝿い!臆病者はここに居ろ!誰かこいつを離せ!」


「は。」


「将軍!将軍ー!いったら確実に死にますぞ!」


「行くぞ!我に続け!」


将軍は近衛騎兵200、剣兵500を引き連れて陣を駆け下りていった。その動きを遼一はキャッチしていた。


『敵大将に動きあり。戦場へ来る模様です。』


遼一はこの報告を聞くと受話器を取り狙撃兵に大将を狙撃するように命を出した。


『了解。』


狙撃兵からの連絡が入り、後は戦局を見守るだけであった。


「行ってくれよ。」


戦局を見守っていても続々と、戦況報告が無線で入ってくる。通信部屋にも続々と、同じ報告が入ってくる。


『敵大将らしきを視認。特徴は、以下にも指揮官という感じの服装です。』


『コードA標的を発見。』


遼一は受話器を取り、狙撃兵に指示を送った。


「コードA自分の判断で撃て。」


『コードBこちらも発見。』


「コードBも同様だ。」


『了解。』


コードAは、自分の判断で撃って良しの許可が降りると、M24対人狙撃銃の引き金を引いた。銃口から7.62mm弾が運動エネルギーにより、約700m先の敵大将頭を撃ち抜いた。


『コードA。敵大将の頭を撃ち抜いた。』


この報告を受けた遼一は、通信室にいたため、マイクを使って指示を送った。


「良くやった。敵は指揮官が居なくなったから、逃亡するだろう。」


遼一が言った通りに、敵兵は逃亡し始めたのであった。


「将軍!」


「将軍が倒れたぞ!みな逃げろ!」


多くの敵兵が逃げる際に、剣や盾等を捨てて逃げていった。


「閣下報告します。敵軍逃亡兵続失で、軍としての機能を失っております。壊滅と言っていい結果です。」


「報告。将校らしき人物を捕縛しました。」


「大変結構!全軍休息せよ。将校らしき人物は何処にいるのだ?」


「は。収容所に入れております。」


「そうか。」


「失礼しました。×2」


「会いに行くか。」


遼一は、報告しに来た人達が出ていった後に、将校らしき人物に会いに行った。

順不同


L16 81mm 迫撃砲(Mortar)


イギリスで開発された標準的な迫撃砲であり、イギリス陸軍ほか各国で採用されている。アメリカ陸軍ではM252、陸上自衛隊では81mm迫撃砲 L16の名称が与えられた。L16の"L"とは口径長のことで、16口径の砲であることを表す。


第二次世界大戦でイギリス軍が使用したML 3インチ迫撃砲の後継として、同国軍では1965年に正式採用された。砲身など主要3部分に分解することで人力でも運搬が可能なことから、歩兵に追随して山中などでも運用が容易になっている。砲身は滑腔砲身を採用しているほか、放熱のため、その下部外面にはフィンが設けられている。81mmクラスの迫撃砲としてはずば抜けて軽量であり、これが多数の国に採用された最大の理由となっている。


イギリス陸軍は1960年代より運用を開始し、FV432装甲兵員輸送車などに搭載されたが、特にフォークランド紛争では、歩兵が分解して携帯することも多かった。


陸上自衛隊でも64式81mm迫撃砲の後継として、豊和工業でのライセンス生産品を1990年代初頭より採用しており、前任者同様に普通科中隊の主たる火力として運用されている。現在でも調達が続けられており、平成24年度は6門の調達が予定されている。価格は約1,000万円。


M24 SWS(Sniper Weapon System)


レミントン・アームズ社製のボルトアクション狙撃銃と光学照準器などのオプションで構成される狙撃システムである。アメリカ陸軍をはじめ、世界中の軍や警察で採用されている。


ミニミ軽機関銃(MINIMI Light Machine Gun)


ベルギーの国営銃器メーカー、FNハースタル社が開発した、5.56x45mm NATO弾を使用する軽機関銃である。


89式5.56mm小銃(はちきゅうしき5.56ミリしょうじゅう/Howa Type 89 Assault Rifle)


自衛隊が制式化した自動小銃である。1990年代以降、陸上自衛隊の主力小銃となっている。


M4カービン


コルト・ファイヤーアームズ社が製造し、アメリカ軍が採用しているアサルトカービン。


第二次世界大戦に採用されたM1/M2/M3に続いて4番目にアメリカ軍に採用されたカービン銃。カービン(Carbine)とは、本来歩兵用小銃より銃身が短い騎兵用小銃の事だが、現在では概ね「小型のライフル」を意味する。


次回は今週の土曜日に投稿予定です。

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