155 空軍出動!陸軍よ!戦線を突破せよ!2 ~都市攻防戦~
あと、5話で終了予定
勇者ご一行が出発してから二時間後、基地内の滑走路の修理が終わり、陸軍支援の為の支援機を出撃させた。
空軍の支援のお陰もあって、戦線の膠着と空軍基地襲撃に合わせたモンスターの大規模攻勢も耐えた陸軍前線師団は、戦線を突破すると、機動力を生かした戦闘を行い、占領地を続々と増やしていった。
「やはり、何処にも魔族が居ないな。街や町や村を通りすぎたり占領したりしても、魔族が居ないんだよな。居ても少数の亜人種のみ。どう思う?参謀さん。」
「おかしいと言えば、生活などの日常品らしき物もおいてあると言うことです。ここは、亜人種に聞いてみるのが良いかと思います。」
とある街を占領したロマニャー軍は、軍師団長と一等参謀の案を取り、数分後、街にいた亜人種らを集めて事情を聞いた。
「街や町や村に魔族が見当たらない?と言われてもあんたらが、占領するのが早くて魔族の皆さんは、足早にまだ占領されていない後方の都市へ逃げていったよ。なんでも、残っていたら陵辱を受けるからって逃げていった。俺ら亜人種は、あんたらの国にいる亜人種から聞いていたから逃げなかった。実際に陵辱されたら直ぐに、あんたらの憲兵?って言うのに連れていかれたか、その場で処刑されてたな。」
「最後に関しては、申し訳ない。以上です。ありがとうございました。」
軍の事情聴衆官が頭を下げたあと、炊き出しで出てきていた料理部隊が、料理を振る舞っていた。
事情聴取官は、司令部として戦時徴収した舘に、報告書を持参して赴いていた。
軍師団長の部屋にて、今後の魔族に対する対策会議が行われていた。
そこに、報告書を持ってきた事情聴取官が入ってきた。
「どうだった?」
軍師団長が聞くと、亜人の大人や老人から聞いた事を、そのまま伝え、亜人らに関する報告書を提出していき、魔族が集結している都市も報告し退室した。
「都市攻略だな。先ずは、通じるかどうかわからんが、降伏勧告か民間人以外の退去勧告を行う。誰かやりたいやつは居ないか?まぁ、各々部下に聞いとくこと。やりたいやつがいたら、軍師団長部屋に来るように解散。」
それから数日が経ち、とある部隊から軍師団長室を訪ねてきた人物がいた。
「君かね?やりたいと言うのは?死ぬかもしれないぞ?」
「やります!何事も経験です。そして、私は死なないと思います。」
「お、おうわかった。では、戦時特例として一階級昇進を命ずる。部隊長クラスになってもらう。では、任したぞ。」
「は!」
使者として魔族がいる都市に、降伏か降伏しないのならば非戦闘員である民間人を退去要請を含めた書類を持って、都市を訪れた。
使者が都市の前まで来ると戦時体制をとっていると見受けられ、引き橋を門のところまで戻していた。
「頼もう、私はロマニャー帝国からの使者である。ここに親書がある。責任者を出してもらいたい!」
使者が用件を口上で伝え責任者が現れるのを持っていると、城壁から将軍格の責任者が現れた。
「門を開けよ。そして引き橋を掛けよ。使者殿どうぞ御通りを。」
引き橋を渡り城門を潜り抜けた使者は、ここにいる指揮官に、条件を書いた親書を渡した。
返事は、数時間後に帰って来た。
「使者殿、返事でございます。」
「拝見してもよろしいか?」
「は。」
使者が帰って来た返事をみると、我ら魔族は人間に信をおけずまた、ロマニャーからの降伏勧告には拒絶を表明する。だが、非戦闘員である女子供の魔族に対して、他種族と同等の待遇を求める。それによっては、都市は開け渡しても良い。と書かれていた。
しかと、受けとりました。
返事は直ぐに持ってくるゆえ、非戦闘員の脱出準備をしておくことと戦闘をするならば、別れをしておくように、去らばだ。
使者は、馬に股がり都市郊外に進軍してきていた侵攻軍の軍師団長のテントへと返事を持っていった。
テント前にいる衛兵に話をつけると、一人が入っていき、軍師団長に耳打ちしていた。
「此度はご苦労であった。そこに座っておれ」
使者となっていた部隊長は、片隅に用意された席に座ると、軍師団長は返事を読み始めた。
「なるほど、根本的に信用されてないか。都市守備しているこの指揮官は、話がまだわかる方かもしれない。非戦闘員に対する待遇か。部隊長よもう一度いってくれ、そして、こう伝えてくれ、全ての条件を飲む。だが、非戦闘員に関しては、書類上は捕虜扱いになるがれっきとした民間人として、接しまた他の捕虜同様、朝昼晩三食などの人道的扱いをする。あ、そうだ、脱出するなら4日間は攻撃はしない。とな」
腰かけていた部隊長は、返事をすると、腰を上げて走ってテントを出て、馬の手綱を握り、鐙に股がると都市へと向かっていった。
先程のことが伝わっていたのか、直ぐに門が開いて、指揮官の居るところへと案内された。
「返事は?」
「ロマニャー軍は、全ての条件を受け入れます。都市を明け渡し、書類上は捕虜待遇となりますが民間人として、他種族同様の扱いを致します。期間は4日間でございます。」
「4日間の内に明け渡します。女子供達をお願いいたします。」
「任せてくれ。条約は守るものだからな。」
返事をしてから、三日目の朝敵方からの使者がやって来て、退去の準備が出来たことと女子供達も用意が出来たことが伝えられ、侵攻軍の軍師団長は、都市の城門付近まで行き、本国からやって来た外務省外交員を使って、退去講和した。
外務省外交員、軍師団長、敵方の指揮官の署名をした。
停戦協約は無いため、背後からもつけるのだが、無事撤退が完了するための間は攻撃しないと文面化はしていないが約束していたため攻めなかった。
こうして、侵攻軍は目標地域の占領を終え後は、ゆっくりと攻撃を行い、調略を進めるのであった。




