138 内政編~戦争プロパガンダ映画公開~
〈シューツアル海にてロマニャー海軍潜水艦艦隊が敵艦隊を発見ただちに攻撃を行う。〉
上記の無線暗号が味方艦隊に送られる少し前にさかのぼる。
シューツアル海域を警戒活動を行っていた潜水艦艦隊は先頭艦であるUXS水上レーダーに艦影がかすかに写った。
「艦長、レーダーに艦あり。」
「どれだ?」
「かすかにですが、水上レーダーに艦影が写っています。敵味方識別信号を放てる距離まで近づけないでしょうか?」
「わかった。長官に連絡を入れる。」
このUXS潜水艦は最新鋭の水上、対空、対潜レーダーを備えており、もし敵味方識別信号で敵だと確定されれば、後方にあるミサイルを敵艦にむけて射つか、追跡魚雷H-6を射つことができた。
「艦長、司令艦より入電。〈先頭艦ノ指示ニ従ウ〉です。」
「よし、通信士!司令艦に打電〈コレヨリ我ノミ接触ヲ図ル〉以上!」
「は!」
通信士が打電すると返答がすぐに帰ってきた。
「司令艦より返答〈了解シタ。敵デアレバ直グニ救援ニ行ケルヨウ、ユックリト前進スル〉です。」
「返答。〈了解〉以上!機関中速!不明艦隊に敵味方識別信号が送れるギリ範囲まで全速前進!」
UXS単艦で不明艦隊に潜水艦がいることがわからないように深度70で近づき敵味方識別信号を発信した。
「不明艦隊、味方識別データに該当なし!」
「無線士!司令艦に打電〈不明艦隊、識別データ無シ!我コレヨリ潜望鏡デ確認後先制攻撃ヲ行ウ許可ヲ求ム〉以上。潜望鏡深度まで浮上!」
UXS潜水艦から司令艦へ打電すると、数十分で返答が帰ってきた。
「司令艦より返答〈了解シタ。許可スル〉以上です。」
「不明艦隊を敵と認識、注水開始!魚雷装填を行え。大型ニ、中型四、小型五十。大中小はミサイルと魚雷で対処する。ただし、小型一隻だけ残すように!」
『艦長、魚雷装填完了しました。』
魚雷室からの報告を受けた艦長は、向き調整を行い、魚雷発射命令を出した。
「魚雷一、二番発射!三、四番発射!五、六番発射!」
魚雷発射ボタンを押す魚雷員が復唱しながら魚雷発射ボタンを下から上にむけ魚雷が発射されていく。
「魚雷一、二番発射!三、四番発射!五、六番発射!」
魚雷発射室では、魚雷の調整や装填で忙しく、次から次へと魚雷を装填していく。
魚雷装填は、魚雷台に載せると自動で奥まで運んでくれて、魚雷の自動検知で装填されれば、ボタンが上になっているのが下になり、赤く番号が光ると発射スタンバイを表していた。
潜水艦から発射された魚雷は、初めに出した一、二番魚雷は小型艦に当たり、小型艦は爆沈、その後三、四番、五、六番が小型艦に当たり、爆沈し、その繰り返しが行われ、また、大中型にも魚雷が命中、武器庫が爆発し、機関停止、総員退艦命令が出された。
その後、旗艦にある大将旗が降りると中型に大将旗が上がった。
「潜望鏡員状況!」
「は、大型二隻とも後方にて爆発、爆炎により航行不能。中型は横転と転覆により轟沈。小型は十隻轟沈。二十隻魚雷回避、残り二十隻は左舷に魚雷命中。左舷浸水を確認。」
「よし!『こちら、艦長。ミサイル員!』」
『こちら、ミサイル発射室。』
『ミサイルにて攻撃を行う。準備せよ。』
『準備は出来ています。艦長!あとは、レーダーによる座標転送だけです。』
『わかった。』
レーダー員により、残り四十隻の小型艦に向けてミサイルへ座標を送ったが、最後の一発は発射されず、三十九発のミサイルが発射され、海中からの攻撃により混乱していた敵艦隊に轟音共に敵艦隊に向かってくるミサイルに驚愕したのであった。
発射されたミサイルは敵艦隊の艦橋や砲などに命中、艦長、司令戦死などで大混乱に陥った敵艦隊に、潜水艦から無線による降伏勧告と最後の一隻だけになっている小型艦に向けて救助命令を出した。
潜水艦は浮上すると共に、後方から浮上してきた潜水艦艦隊も救助を行い、近くの軍港へ小型艦を曳航し、軍警察と警察庁による取り調べとなるのであった。




