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巨大奇迷路~脱出の鍵は少女?~  作者: 心叶音
プロローグ
2/7

目的地

当選通知が来ていた日---あれからもうすでに一週間が過ぎようとしていた。


あの雨の日僕は結局耐えきれなくなり走って自宅へと急いだ。


幸い自宅までは近かった(しかし10分程度)ので熱にはかからなかった。


が、確実に風邪は引いてしまったらしく約一週間経った今でも風邪は治らない。


「にしても資料はいつ届くんだろうか」


実はあの時散々忘れようとしていたんだが、どうも逆にそればかりが気になって仕方がない。


友人にもまさかあんな子供騙しな抽選に参加し「当選したぞ!!」などとは到底言えまい。


「まずは会社に行こうか---」


こんなにうずうずして憂鬱な出勤も久しぶりだなと感慨にふける。




ガシャッ




ん?今音がしたか?


すぐにポストを確認する。


「あれ、今さっき入れてくれたのかな」


昨晩まで入ってなかったからのポストに怪しげな郵便物が一つ---僕は息をのんだ。


僕は周りを見渡しながら誰もいない事を確認し部屋に戻る。





「よし、開けるか」


あの後急遽予定を変更して会社には病気で休む事を伝えたのは言うまでもない。


にしても真っ白ないかにも怪しい封筒だ。


優しく開き中に入っている紙を取り出す。



---巨大奇迷路について---


「やっぱり資料なんだな」


これで資料じゃなかったら会社を休む必要は無くなっていたなと先に連絡をつけた事に少しひやひやする。


さて---。


資料にはルールみたいなものが書かれている。



1.この迷路の参加者は当選者だけであり部外者が参加した場合はその者に何らかの罰を与え、部外者を入れた協力者がいた場合はその者にも罰を与える。


2.参加者は原則として12人とする。

全員が必ずゴールしなければならない必要は特にはなく制限時間は一ヶ月。


3.所持金は特にはない。

所持物については検査を通った物については許可する。


4.迷路内にいる間は国内の法律は適用されず独自のこのルールだけが適用されその他は比較的自由である。


5.出口以外から脱走する場合もこれもまた罰を与える事とする。


6.食料については迷路内に目印となるいくつか存在している小屋の中に補給される。

なお小屋が見つからなかった場合の食料調達については一切責任を負わない。


7.食料を持ち運んでも分け与えてもよい。

小屋の食料については二日に一度役員が補給しに入ってくる。


8.役員に何かしらの危害を加えた場合罰を与える。


9.他人の所持物を奪う事については原則として罰はない。

それによって争いに発展したとしても責任を負わない。


10.出口から脱出した場合報酬が支払われる。

また、迷路内での出来事については黙認してもらう事とする。

これを破った者は後に罰を与える。


「---難しいな」


一通り目を通して溜め息をつく。


一つわかったのはこのイベントは僕が思っていたイベントとは色々意味が違うみたいだ。


正直興味というより恐怖に近いかもしれない。


「行くしかないのか」


行かなければ何かあるとは書かれてないがどう考えても罰を与えてくるんじゃないかと思ってしまう。


それに集合日時が明日だと---これは困った事になった。






次の日の朝、集合場所は意外にも私の自宅から数時間で行ける山あいらしくそこに広く存在しているらしいので車で向かう事にした。


しかしあそこの山は昔から行ってはいたが迷路が出来ていたとは初耳だった。


最近に出来ていたのだろうか---ますますこのイベントが怪しく感じる。





それに、15分程度車で向かっているのに看板すらなく目的地もあっているのかも不安になってきていた。





10分以上走っていると何やら何台かの車が並んで止まっており、さながら渋滞のように連なっていた。


また、ゆっくりと車をむかいいれる役員の顔は真顔であり黙々と作業をこなしているように見える。


僕の番になり車を施設の周りに並べるように指示され従う。


「なんてでっかい施設なんだ---」


ゆっくりと見上げるが車からは全貌を見る事が出来ない。

まるででかい無機質な刑務所だと思い立ったが不安を更に煽るだけだと感じ即座にその考えを排除した。


「お待ちしておりました」


?この声には聞き覚えがあった。


あの低い声---電話の主だ。


「まずは当選おめでとうございました。さて、ルールはきちんと読んでから来られた事を願っていますがどうでしたか?」


電話の主でありこの迷路を企画した支配人でもありそうな男は顔が細く目も細い。


まるでキツネのような顔立ちで怪しげな雰囲気ととてもマッチしていた。


「確かにルールはみましたけど、自信はないです」


「そうでしたか、まぁ後で集まった時にもう一度ルールは再確認させて頂きますのでご安心を」


にっこりと微笑む男はそのまま他の当選者へと向かっていくようだった。


「岡島様、施設をご案内します」


急に話が終わったかと言わんばかりにすぐに役員が話しかけてきた。


「は、はい---」


言われるがまま僕は役員の後ろをついていった。



---ん?


歩いている時に少し視線に気付く。


振り向くと小さな少女が僕を見ていた。


あの子も参加者なんだろうか---。


すると少女はすぐさま茂みに隠れるようにいなくなり、僕も施設の中へと足を踏み入れていった。

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