お腹空いたよ~~
わわわわ・・・あたしは慌てる・・でも,ドラヘもイシュも,フラメも鎧も・・・シュウも・・・誰も慌ててない・・・なぜ?
「なんだ。影じゃないぜ。」
『そうじゃな。これは・・・』
「主。大丈夫だ。ただのヘビだ。」
・・・・・・
「ち・・・違う!!!!」
あたしは怒鳴ったよ。全身の毛が総毛立ってるよっ。
って言う間にヘビは膨れあがっていく・・・
「これは・・」
あっけにとられたようなイシュの声・・・あたしは逃げる!!!逃げますよって走り出そうとしたところで,ドラヘに
『落ち着け。りゅうになって空になれ。』
って言われたけど,ヘビと重なるなんて嫌なこったい!!!!
『そういうな。急げ。』
あらら・・・ ヘビが炎を吹き出してきちゃったわ。あたしも負けずに氷と水を吹き付ける。じゅっじゅっと音がする。湯気が上がる。もうもうと湯気が辺りに立ちこめて・・・『蒸し風呂じゃな。』
『蒸し風呂って何だ?』
なんでそんな悠長な話してるの~~~
最後は凍らせてやっと終わった・・・ぜえぜえ・・・・ちょっとなんでタオルで顔とか拭いてるの?
『いやあ。蒸し風呂って初めて入ったぜ。』
『意外といいものじゃのう。』
『そうじゃろうて。』
『われわれはあまり湿気は好みませんのでな。主。』
・・・・・
凍った大蛇は,どうも手先というわけではなく,影響を受けた生き物なのではないかと言うことだった。多分,ちょうど穴が開いたとき側で寝ていたのではないか。そこで最初に影を奪われたうえに,魔界の影響をもろに受けたのではないかとも言っていた。ということは・・・
『このヘビの影がどこかにいると言うことじゃ。』
『あたしは長いくてにょろにょろした物は苦手なのよ。』
『うまくやってたじゃねえか。』
・・・・・
『今度はあんたが退治してよ。』
イシュを先頭に立ててあたしはすぐ後ろを歩くことにした。その後ろに鎧。シュウはイシュの懐だ。歩くのが苦手なのかな?
『来た・・・』
今度こそ?ヘビ?
『いや・・・獣どもの影だ。操ってるやつら何も考えてないな・・・人の影なら手が使える物を・・』
『牙と爪か?』
『そう言うことだ。』
こういうのは鎧とシュウが得意。二人の活躍で影はたちまち切り刻まれ,イシュが浄化していった。
「最近炎の量が調節できるようになってきたんだ。」
「へえ・・・その割りにあっち・・派手に燃えてるんだけど。」
あたしは水を吹き付けながら答える。
「まあ。たまにはそう言うときもあるさ。」
いつもじゃないのさ・・・後始末することを考えなさいよ。ぶつぶつ・・・
道は曲がりくねって下へ下へと伸びている・・なんかこれ以上降りてくのは気が進まない・・
『かび臭い・・・』
あたしは自分たちの回りの空気が浄化していくように魔法をかけた。あたしのは魔法じゃない魔法らしいけど・・・不思議な力だもん魔法って言って良いよね。
『なんかお腹が空いたね。』
『俺もそう思ってた。』
『体も伸ばしたいしね。』
『ああ。』
地中だし・・龍になって空になっても良いんだけど・・・ちょっと気が進まない。体のほとんどが,土と重なるんだよ。ちょっと・・・乙女の心境ではヨシとしないんだよねえ・・・イシュはさっさと空・・・そして龍になって・・・首だけもとってきた。
「おい。見付けたぞ。」
「え・・」
「穴だ。やべえ・・吸い込まれそうだったぜ。」
どうやらこの先少し言ったところに問題の穴があるらしい。いよいよか?
「誰もいなかったんだ。それが不気味かな。」
あたしは少し小走りになる。お腹が空いてることなんておいといて・・・だめだめ。お腹空いたよ~~
次回は16日です。あと10話程度で第1部は終わる予定です。




