地下・・・
壁に鎧が手を触れる・・くにゃ・・・手が吸い込まれる・・・うわあ・・・なんかやだな。鎧は,首も突っ込んだ・・・大丈夫?手でくいくいと手招きしてる・・・仕方ない。目で合図をして二人一緒に飛び込んだ。
でたところは,山の中のようだった。
「ここどこ?」
「さてな。」
「礼の神殿のある山って訳じゃないよね?」
「違うだろ。このおまえが進入禁止を掛けたんだろ。おまえの魔法の気配はねえぜ。」
確かに。
『ここは,重いのう。』
「重い?」
『よどんでいると言って良い』
「確かに。そう言われれば,重苦しい感じだな。」
よく分からないけど。3人がそう言うならそうなんだろうな。ゆっくり辺りを見回し・・・
「「あっちだ。」」
おや。意見が合ったね。頷き合って,歩き出そうとしたとき,
「来る。」
何がなんて聞かないよ。もう目の前に来てるからね。
「来た。でしょ。」
一応訂正してみる。その間にも,イシュは,短剣を影の中で一番大きいのに投げつけた・・・と同時に短剣はシュウに変わる。鎧はとっくに影の中だね。あたしは,影を含めて全体に防護の膜をドーム型に張ったよ。また興が乗って炎を操りだしたら辺りも燃えちゃうもんね。それから,戦いは3人に任せて辺りを探る・・・影はどこから来たんだろう?影の移動痕跡は薄い。まるでわき出したかのようだ。湧き出す?あたしは慌てて地下に目を向けた。通路だ。
『山の中心に通じておるな。出入り口は後2~3カ所ありそうじゃ。先にそこを潰しておかねばのう。』
『相手は影だ。すり抜けてくるしゃろうて。』
『・・・どうすりゃいいんだ?』
おや。戦いは終わったの?みたらもう燃やされてる。山火事じゃ・・・あちあち・・・まずい。蒸し焼き!!!慌ててドームの中にブリザードを吹かせる。ついでに浄化も忘れない。
「便利だよな。」
『なんの。炎の浄化も美しいぞ。』
「「蒸し焼きになっちまうわ!!!」」
覆われている土の中からしみ出るように影は浮き出てくる・・・では。影が出られないようにするには?固める?だめだ・・・光?影だから・・・光がないと影にならない?いや・・暗くても出てた。関係ないんだ・・・
『考えるだけ無駄じゃな。』
『理屈じゃないのじゃ。』
なんだそれ・・・
「とりあえず,ここから入るぞ。」
「え~やっぱり入るの?」
舌には空洞がある。洞窟なのかな?
鎧がまた先に手を入れ,入り込む。
『主。入って来て良いぞ。』
ぐにゃっとゆがむ視界・・・うえ~~~
通路は暗い。当たり前か。灯りがない。
『見えないね。』
『ああ。』
『どれ・・・心眼を開くようにしてみるが良い。』
なんだそのご都合主義のような話は。初めて聞くぞ。
『当たり前じゃ。わしらも忘れておったのじゃ。わしらには当たり前の事じゃから,おぬしらには使い方を教えてもいなかった。』
簡単だった。見えるって思えば良いだけだった。なんだ。
通路は下ってる・・・どうも地下って嫌だよね。
『まあな。わしらは地上の者じゃからな。地面の舌はわしも得意ではないな。』
『わしは得意ですぞ。主。』
『?』
『こいつら地下に埋もれていた物を掘り出して鍛えてあるからだろ。』
『その通りですぞ。ご慧眼痛み入る。』
時々ついて行けないよね。
誰にも会わない・・・つるっとした地下の道・・・ホラー映画だとここらで・・・・
・・・でたっ
読んでくださってありがとうございます。また1日おきの更新になります。よろしくお願いします。




