行きましょう
えええ?吸血って吸血鬼・・・ヴァンパイアってことか・・・
「ヴァンパイアがいるっていうの?」
「マミーを見て,片付けをしていた者達が言っていましたぞ。」
「この国に伝わる伝説だそうですよ。」
乱麻も言う。乱麻は,市でいろいろ話を聞きだしてるみたいだね。
「吸血?エナジーって血?」
「いいえ。生命力ですね。」
よかった。血じゃないんだ。
『まあ。我々も基本はエナジーが糧となっておる。』
『そうじゃな。おぬしらも食べるじゃろう?つまり食べる相手のエナジーを貰っておるということじゃよ。』
なるほど・・・エナジーを摂取しているという点では同じと言うこと・・・
「でも,吸血伝説があると言うことは・・」
「猟奇的な事件もあるって事?」
あたしとイシュの言葉がかぶった。
「はい。猟奇事件ですね・・・」
乱麻が頷く。
「体中の血や水分が吸い取られたみたいに,マミーになっていると言う事件です。」
「もしかしたら・・・」
それって影達が関係している?
「いつ頃から?どの辺で多く発生しているの?」
「そうですね。聞いた話ですと・・・ちょうど14~5年前から・・・」
「一連のいろんな事が起きた頃って事ね。」
「その頃,誰かが召還術と一緒にこの国に入ってきた・・・」
「あんたのご両親がいなくなったのもこの頃」
考え込むあたし達に,あたし達だけに聞こえるようにドラヘとフラメが伝えてくれた。
『おそらく妾の召還もそれから程なく行われたのだろう』
『そしてわしが美優の世界に逃げたのもその頃じゃ.』
その頃・・・本当に一体何があったと言うんだろう?そして・・・この国の王はどこに?城にはほとんど誰もいなかった。本当に?
「ねえ。」
「ああ。」
それだけでお互い分かっちゃった。
「紫電。俺たちもう一度城に行ってくるわ。」
「それは・・・我々もご一緒させてください。」
「いや。龍にな・・・」
「龍で行くから,一緒には行けないよ。」
『全く。龍になるなんて言っちゃダメでしょ』
『まあ・・・ついうっかり・・・』
「塔の方も,なんか引っかかるの。そっちの調査も重要だわ。お願いね。」
紫電先生と乱麻をフォローするのも忘れちゃ駄目だよ。あそこにもなんか眠っていそうだよね。心配だなあ・・・二手に分かれる?いや。一人で対処しきれないかな。・・・ふう・・・こういうとき,自分がまだ子どもの仲間だなって思うんだよね。
「せめて夕飯を食べて明日ご出発ください。」
そう言われちゃった。確かにそうだ。お腹もぺこぺこだ。
・・・
でも・・・夕飯食べたらすぐ出発するよ。お部屋は1つだし,ベッドは2つしかないからね。あたしがそう言ったら,慌ててもう1つとりますっていったけどさ・・・やっぱり夜のうちに出発することにした。龍になってのびのびしてた方が楽だしね。
お弁当も沢山作って貰ったし。行きますか?




