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入学式は?え?ないの?

入学式は?

 そんなものはないんだそうだ。後は,授業の組み立てを各自がして,届けを出して今日はおしまいだそうだ。もちろん新入生は一つの教室で説明を受けた後,先輩方に相談に乗って貰うらしい。


「美優さんは特別に私が授業の組み立てをアドバイスするわ。」

校長先生。ありがとうございます。

「私もお手伝いするために一緒に来たのよ。」

ローティおばあさんも言ってくれた。ありがとうと言うべきなのか・・・・


「本当の身内だと思って欲しいわ。」

おばあさん。

「夜な夜なすすり泣きが聞こえるから・・・」

げげげ・・・今,そんなこと言わなくたって・・・泣かない方がおかしいでしょ!!!

「そうなの・・・私のことも身内だと思って甘えてね。」

・・・・・


 あたしの授業は午前中は座学。午後は実習に分けられた。

 座学は魔法に関することがほとんどで,後は一般教養だ。この世界の歴史,文化・・民俗学なんてのもその中に入るらしい。あくまで一般教養で,詳しく学ぶには別の学校があるんだそうだよ。

 魔法を学ぶ者,薬学・医療を学ぶ者がここには集っているそうだ。いわゆる理系の人達の集まりって訳か・・・あたし文系なんだけど・・・これは困った。


この街にはもう一つ学校があって,そこには騎士科・剣士科があるんだってさ・・・ううん。一つの町に3つの学校か・・・生徒不足で困らないのかなあ???


組み立てが終わった頃,爺さんがやってきた。おばあさんほほを染めてうれしそうだね。これから二人でお昼をしてから帰るんだそうだ。二人して楽しそうに行ってしまったんだけど・・・

 私は?



 私はこれから自分のホームルームに行くことになるんだって。そこで担当の先生と顔を合わせ,クラスメートと出会うことになるらしい。ふうん。他の人達はもう会ってるんでしょ?あたしだけ後?なんかやだね。


「美優さん,心配しないで良いのよ。ここではね,友だち同士で相談して,自分に合わない教科を選択してしまわないように,皆それぞれ別の先輩方と組み立てをしているのよ。」

 なるほど・・・一緒に○○取ろうねなんてことがないってことか。いいね。つるむのも楽しいけどねえ・・・


「あなたの力のことだけど・・・」

ちょっと迷ったみたいに言葉を濁してから校長先生が続けた。


「結構大きい力として・・敏感な人には感じ取られてしまうかもしれないわ。当然誰より大きな力だからね。受付で渡されたリングにの裏側に,特別に碧い石がはまっているのが分かるかしら?」

 気が付かなかった。中指のリングを抜き取って裏側を見た。自分の名前みゆうの崩し文字と,碧い小さな石が見えた。

「その碧の石はあなたの力をセーブしてくれるはずなの。いつも身につけていてね。」

「わかりました。」


・・・・・ お腹空いた・・・


「お昼はどうすれば良いんですか?」

これ大事だよねえ・・

「食堂があるわ。担任との顔合わせの後で,今日はクラスごとに食堂でお昼にするはずよ。親睦って訳。良いアイディアでしょ。」

 ふうん。校長先生が考えたのかな。イヤに力が入ってるね。

・・バイキング形式だと良いなあ・・イシュに言わせると人の3倍は食べるらしいから,あたし。


校長先生に案内されて,教室に向かったよ。午前中の座学とやらは,ほとんどの学生が同じ物を受けるみたいだって教えて貰ったよ。良かった。


座る場所が決まっているからね。って言われてドアの前で別れた。ドアを開けて入っていったら,もうほとんどの学生が座っていた。あたしの場所は?


 一番前が一つぽっかり空いている。まさかあそこ?

お腹減った。ごはんごはん・・・

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