影の群れ
地下へは,転移して行くことはやめることになった。下手して穴に落ちたら二度と還って来れなくなりそうだからね。
廊下に転移して,ゆるゆると進む。床に足を下ろさない方が良いって言うから,あたし達の足は宙に浮いている。さらに空になっているので,空間を流れるように進める。
鎧も,シュウも,あたし達に背負われたり,懐に入れられたりして空になっている。自分だけじゃ出来ないんだって。あたし達にくっついてると,付属品と見なされて一緒に空になれるみたい。
ふうん。初めて知ったよ。でも確かにそうだよね。自分しか空になれなかったら,服とか持ち物とか困るもんねえ・・・
廊下は不気味なほど静か・・・って思ってたら,へ¥一つの部屋のドアが乱暴に開いたよ。なんだ?
立ち止まって様子をうかがう・・・あ。あの男達だ。
「なんだってんだ?」
「わからん。宰相の命令だから仕方あるまい。戻るぞ・・・」
「その宰相はどこに行ったんだ?」
ほとんど怒鳴るように会話しながら,すべるように去って行く。
・・・・・
『どうする?』
『今は,穴を塞ぐ方が先だろうな。』
『そうだね。ほっとくしかないか。紫電先生達があの町にいるから。何とかしてくれるよね。ちょっと,通信しといてよね。』
『・・・俺が?』
『俺が。あんたの国。あんたの部下でしょ。』
・・・・・
下に行くに連れ,どんどん薄暗く,じめっとした感じになってくる・・・やだなあ・・・あたし,お化け屋敷は苦手なんだよ。
『ここだ。』
フラメが一つの扉の前で言う。
『開ける?』
『う・・・』
触りたくない感じだよねえ・・・背中から,
『主。わしが開ける。出してくれ。』
って声がする。
あたしは背負っていたバット入れを開けた・・・と,鎧が,扉に突き刺さり,扉が凄い悲鳴を上げた。
『わっ』
驚いたことに扉は消え,沢山の影が飛び出してきた。わっぷ!!!
あたしは手に戻って来た鎧を振り回す。脇ではイシュが短刀を振り回してる。影はどんどん増えて来るみたい。
『きりがねえ!!!』
『美優!!!中に突進じゃ!!!』
簡単に言うな!!!影に押されそうだよ!!!
あれ?影にはあたし達が見えてるの?
『影にはあたし達は見えないのね?』
『そうじゃ。突進じゃあ!!!』
・・・・・影の中を突進するあたしとイシュ。影は霧なく沸いて出てくる・・・




