弟・・・・??
凄い音が響き渡る・・・鎧が欲しいものって何?
何かを見付けたらしく,ぽいっとあたしに投げてよこした。
ドラヘがそれを見て,
『美優それをすぐはめろ。』
って言った。は?腕輪?
もう一つ飛んできた。
『イシュ。それをすぐはめろ』
やっぱり腕輪だ。
あたしに投げた腕輪は透き通った石がはまってる。ダイヤ?凄く大きい。もし本物だとしたら目の玉が飛び出るお値段かなあ・・・なんてしょうもないことを考えちゃった。
イシュの腕輪には真っ赤な石がはまってる。ルビー?
鎧は何かをまた見付けてこっちに放ってくる・・・今度はイシュが受け止めた。短刀じゃないの。
『それはわしの弟じゃ。こんな所に捕らわれていったとは。』
鎧がぶつぶつ言ってる。
『これ。俺が持ってても良いかな?』
『いいんじゃない?』
結構こった造りのそれはずっしり重いって。さすが鎧の弟・・・
『これも人になれるのか?』
『なれる。』
鎧が宝の上から降りてきた。
手に大きな球を持っている。
『龍玉じゃな。』
ドラヘがぽつんと言った。
『風龍のものだったはずじゃ。』
空色の大きな球。
『これと,弟がいれば,穴などすぐに塞げる。』
『それはどうかな・・・』
え?だれ?・・・・
あ・・・腕輪とか弟に気を取られて,周囲警戒してなかった。
『俺はしていたぜ。』
あ・・・そ・・・
でもいくつかの黒い影が,いつのまにか・・あたし達の周りに立ち上がってきている。
『行くぞ。』
『え?どこ?』
『とりあえず。さっきのところだ。』
イシュに言われてあたし達は転移した。
そう言えば,やってきた二人の男はどうなったんだろう?
謁見の間に戻って一息つく。
『鎧。大きな音を立てすぎだよ。』
『主が守ってくれるじゃろう?』
・・・
『それよりおまえの弟。どうするんだ?』
『呼び出してみてくだされ。』
『誰が?』
『主にはわしがおるゆえ,弟にはイシュ殿に使えるが良かろうと思うのじゃが。弟は,いかんせん頑固者。己から使えると言い出すかどうか・・・』
『じゃあほっとけば良いか。』
『いや。それもちと・・・』
なんなの?
『ついでにきくけど,あたし達に寄越した腕輪って?』
『それも破魔の力を持ちますのじゃ。魔を寄せ付けぬはずですぞ。』
『だから放り込まれてたのか・・・ってことは,あの宝の部屋って,本当は,ここの城の者なら入りたくない場所って事かな?』
疲れたし,お腹も空いてきたけど。
『そういや・・・あそこに出てきた影。小さめだったし,ふらふらしてたな。』
へえ。気が付かなかったよ。
『この城の主とやらが,また出てくるとやっかいだから,さっさと穴の所に行こうぜ。』
『短刀はどうするの?』
『めんどくせえやつはいらねえ。』
・・・
『そんなことは言わんでくれ』
・・
え?フラメ?
『妾ではない。』
『鎧?』
『わしではない。』
ドラヘはあたしの口でしゃべるからドラヘでもない・・・
『俺だ。兄者。今でる・・・』
ぽん・・・鎧寄りずっと若い。でもおじさんと言って良いくらいの,鎧より細い男が立ってた。
『イシュ殿。おぬしを俺の主と認めよう。』
なに?その上から目線。
『名付けてやってくだされ。』
鎧が言うけど・・・イシュの嫌そうな顔ったら・・・(*^O^*)
『・・・シュウでいいな。』
『よかろう。末永くよろしくな。』
『・・・・末永く・・・・・!!!???』(?_?)
『では参ろうか。』
ドラヘが気を取り直すように言った。
『地下へ?』
『地下へ。』
謁見の間はシンとしている。この静寂が怖いかも・・・/




