がらがらがっしゃ~~~ん
その人は歩いていって,謁見の間の奥にある椅子に座ってこっちをまっすぐ見た。
「ようこそ。我が城へ。」
『・・・見えてるんだ?』
『・・・見えてるみたいだぜ・・』
『かまを掛けておるだけじゃ。姿を現してはいかん。』
・・・・・
「お客人は恥ずかしがり屋と見える。」
あたし達は黙っている。
「まあよい。この城の秘密を探りに来たのであろう?いくらでも探るが良いぞ。決して見つかりはしないだろうからな。」
男はそう言って手元のベルを鳴らした。っと・・とたんに黒い影がいくつか現れたよ。
『お客人が我が城を回る。気にせず仕事を続けるように。』
シュッと黒い影達は四方へ散ったよ。わあ・・・
気のせいかな?この影。しっぽがあるみたい・・・
『おい。この影。人か?』
『さあ?』
「私はこの城の主。人は魔王と呼ぶな。」
『え・・・』
『大当たりかよ?』
『ドラヘもフラメも黙ってないで何とか言ってよ。』
「おまえ達が姿を見せずとも,おまえ達が何者かも当てることが出来る。」
・・・・・
「まだしゃべらぬか?」
ちょっといらだってるね。
「ええい。こうしてくれよう!!!」
側にあった大きな置物を投げてきたけど・・あたし達は空。通り抜けるだけだ。
・・・・・
黒い影は立ち上がって・・・・
「おまえ達が姿を見せなくも,我が城はおまえ達が侵入したのを知っている。いずれは城に捕らわれようぞ。」
って言って,扉をすり抜けてでてったよ。
『すり抜けすると危ないって事?』
『と言う警告に聞こえたが』
『この城にはそんな力はない。はったりだ。』
今まで黙ってたのに・・・
『ちょいと城を探りにあちこち思念を飛ばしておったのでな。この城の地下に大きな穴がある。』
『その穴は,塔にあった穴に似ておるのじゃ。』
『つまり?』
『この城は,別の世界の出入り口と言うことだな。』
・・・・・
・・・・・
『大きさは?』
『そうじゃのう。塔の部屋のざっと3倍』
『鎧に塞げる?』
『どうじゃろう。鎧?』
『なんだ?主の龍よ。』
ドラヘは主の龍なんだ?イシュのことはなんて言うんだろうねぇ?フラメは?
『この城にある,異界への出入り口の穴を塞げるか?』
・・・・・・
しばらくの沈黙の後・・・
『多分。ただ・・・もう少し力の入った玉があればなお良い。』
『玉?』
『わしの柄にはめたような石じゃよ。』
あたしとイシュは顔を見合わせた。
そんなのここにはないよね。
・・・
『この城の奥まった部屋に宝の部屋がある。そこにならありそうじゃ。』
『移動はすり抜けるの?ほんとに捕らわれたらどうするの?』
『なあに。転移するぞ。』
『知らない先なのに?』
『わしらが探っておる。大丈夫じゃ。』
・・・・・
転移した先は確かに宝の山だった。昔,両親と行ったネズミランドにある,カ○○の海賊のアトラクションのとこでみたように,無造作に宝が置いてある。
『下手に触ったら崩れそうだな。』
『それより,間に骸骨でもかくれていそうで怖いよ。』
あたし達の感想はまるっと無視された。
『鎧に選ばせるのじゃ。』
はいはい。あたしは背中のバット入れから鎧を出した。
鎧は空中で人型になり,しばらく宝の山を眺めてたけど・・・
いきなり,がらがらがっしゃ~~~~ん。山を崩し始めたじゃないの!!!こんなに大きな音!!聞こえちゃうよ!!!




